REVOLUTION SAINTS『RISE』(2020)
2020年1月下旬にリリースされたREVOLUTION SAINTSの3rdアルバム。日本盤は当初の予定より約1ヶ月遅れ、同年2月後半に発売予定です。
REVOLUTION SAINTSは再結成後のJOURNEYにスティーヴ・スミス(Dr)の後任として加入し5枚のオリジナル作品に参加したディーン・カストロノヴォ(そのほかBAD ENGLISHやHARDLINEなどでも活躍)がボーカルを務め、NIGHT RANGERのジャック・ブレイズ(B, Vo)、THE DEAD DAISIESやBURNING RAINに在籍し、過去にはLION、BAD MOON RISING、WHITESNAKE、DIOなどでも活躍したダグ・アルドリッチ(G)の3人で2014年に結成したスーパーグループ。これまでに『REVOLUTION SAINTS』(2015年)、『LIGHT IN THE DARK』(2017年)と2枚のアルバムを発表しています。
JOURNEY時代にもアルバムやライブでボーカルを披露し、その“らしさ”と歌唱力の高さでファンを驚かせたディーン。このバンドでは、その素晴らしい魅力が余すところなくフィーチャーされています。
以前もいろんなところで書いてきましたが、80年代から90年代前半にかけて登場したこの手のスーパーバンドって意外と長続きしないんですよね。理由のひとつとして挙げられるのは、過去のバンドで成功したメンバーたちによるエゴのぶつかり合い。あとはお金(笑)。ところが、ここ最近は2枚目、3枚目と長続きするスーパーバンドも増えている。それは、以前のように「1人1バンド」みたいな過去の常識が通用しなくなり、別に複数のバンドに籍を置いてもいいんだという風潮が当たり前になったことも大きいのでしょう。上に書いたように、ジャックは現在もNIGHT RANGERのメンバーですし、ダグに至ってはディーンとTHE DEAD DAISIESとしても活動しているわけですから。
そんなこのバンド。実は影の功労者が存在します。正式メンバーではないものの、レコーディングやツアーには必ず参加し、アルバムのプロデュースまで手掛けるアレッサンドロ・デル・ヴェッキオという人物。実はこれまでのアルバム収録曲すべてのソングライティング・クレジットに彼の名前が記されている(カバー曲を除く)ことから、REVOLUTION SAINTSはむしろ「アレッサンドロが書いたJOURNEYっぽい曲をディーンがスティーヴ・ペリーっぽく歌う」プロジェクトと呼ぶほうが正しいのかもしれません。
そんな本作ですが、オープニングの「When The Heartache Has Gone」から突っ走りまくってます。曲調といいシンセの音色といい、“あの頃のJOURNEY”。ぶっちゃけ、曲の完成度は過去2作より高まっているように感じます。しかも、バラードも含まれているけど基本的にはロックしまくりのスタイル。悪いわけがない。
適度なポップさが伴ったミドルナンバーとアップチューンが交互に飛び出す前半と、らしいピアノバラード「Closer」以降の緩急に富んだ構成。非常に聴きやすいです。しかも、曲によってはディーンとジャックのツインボーカルになっているし(ジャックがNIGHT RANGERのときほど声を張り上げていないのも好印象)、特に今回は曲によってはNIGHT RANGER色が強まっているのも興味深い。先の「Closer」なんて完全にそれですよね。かつ、アルバムラスト(ボートラ除く)のピアノバラード「Eyes Of A Child」がジャック&トミー・ショウの元DAMN YANKEES組による書き下ろし。そのほかにも、それっぽさが至るところに散りばめられているので、聴き込んでみると面白いかもしれません。
それにしても、本作でのダグのギタープレイ、素敵ですよね? THE DEAD DAISIESでもなかなか良いなと思っていたけど、本作におけるプレイはその比じゃないくらいに素晴らしい。実はダグってブルースベースのハードロックよりもこういったタイプのほうが合っているのかしら。
ということで、個人的にも非常のポイントの高い1枚。一回生で観てみたいです。
▼REVOLUTION SAINTS『RISE』
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