VAN HALEN: A DIFFERENT KIND OF TRUTH TOUR 2013@東京ドーム(2013年6月21日)
最後にVAN HALENを観たのはサミー・ヘイガー時代、アルバム『BALANCE』(1995年)を携えて行われた代々木体育館での公演でした。同ツアーでは武道館もあったのかな。だけど、初日の次の日の2公演を観た記憶があります。その前の来日は1989年2月で、まだ高校生で上京するのにあまり自由が効かなかったし、その前となったら70年代なので行けるわけがない。さらに、『BALANCE』ツアーのあととなるとゲイリー・シェローン在籍時。そりゃあスルーしますよね。
ということで、18年ぶりのVAN HALEN。2007年にデイヴ・リー・ロスがバンドに復帰し、全米ツアーを行ったのちにニューアルバム『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』(2012年)を発表。満を持して同年中に来日が実現……のはずが、エディ・ヴァン・ヘイレンが大腸憩室炎の緊急手術を受けたため、翌年に延期。そして、2013年6月に念願の来日が確定したわけです。ところが、当時は僕、チケットを取っていなかったんですよね。アルバム発売から時間が空いて、若干萎えたというのもあったのかな。いや、そもそも最初の時点でチケット取ってなかったか。なんで取らなかったんだろうね。今となっては謎。
で、来日ツアーが始まって、初日名古屋公演のセトリを目にして……これは行かないとダメだ!と思い、当日券で駆け込んだんだ。ありがたいことに、売店が近くにあるバルコニー席を確保でき、ライブが始まる前からビールをたらふく飲んで気持ち作り。大切です。
さて、実際のライブですが。「Unchained」「Runnin' With The Devil」と、初期の王道2連発で完全にノックアウト。酔いもいい感じに回ってたから、終始一緒に歌ってました。金というか黄色というか、とにかく派手なジャケットを身に纏い、変な日本語を随所にフィーチャーするデイヴ。最高です。エディは白髪混じりの長髪を後ろで束ねたオールバック状態。体格も良さげで健康そうに見えました。とにかく派手に弾きまくるんですが、基本的には自分の持ち場を離れずプレイとコーラスに徹する形。息子のウルフギャング(B)はスクリーンで観ると、その幼さが目立ちます。ていうか、デイヴ・リー・ロス(58歳)、エディ・ヴァン・ヘイレン(58歳)、アレックス・ヴァン・ヘイレン(60歳)と、もはやおじいちゃんばかりなんだから、そりゃ目立つわな。で、最高齢のアレックスも初期のアップチューンを、原曲からテンポを一切落とすことなく忠実にプレイしていて好印象。やるじゃないですか。
序盤に『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』からの「She's The Woman」や「Tattoo」「China Town」あたりを織り交ぜていたけど、見事に初期楽曲に馴染んでいました。特に「She's The Woman」あたりはその傾向が顕著でしたね。「Tattoo」はVAN HAGAR時代のサウンドでデイヴに歌わせた感も多少ありますが、そこまで大きな違和感はなかったかな。
個人的ピークは、名古屋で演奏されていなかった「I'm The One」が織り込まれていたこと。あとで聞いたら、5年ぶりに演奏されたとのこと。ありがたい。ただ、この曲が加わった一方で、名古屋で演奏された「Atomic Punk」がカットされてしまいました。どちらも1stアルバム『VAN HALEN』(1978年)で1、2を争うほどに好きな曲なので残念。
初期のコンパクトな楽曲群を、派手な演出を用いることなく淡々と演奏し続ける様は、ある種異様にも映りましたが、そのぶんデイヴがエンターテイナーぶりを遺憾なく発揮していたのでノー問題。つうか、この人一時期日本に住んでいただけあって、そのへんの外国人が使わないような土着的な日本語を使うんですよ。例えば、「下手くそ」の「くそ」なんて、まさにそれ。それを、わざと“ガイジン”風の片言で話すから、ズルいったらありゃしない。あと曲中の煽りも上手。「Everybody Wants Some!!」では演奏を途中で止めたりして、飢餓感を見事に高めてくれる。そりゃ、ソロで観ていた80年代後半から90年代前半と比べたら動きも地味になったかもしれないけど、それでも現在のそのパフォーマンス力はほかのバンドのフロントマンとは比べものにならないほどに激しく派手なんだから。もともとのレベルが高すぎたってだけですよね。
そんな中、ライブでもっともストレンジな瞬間が終盤に訪れます。「外人任侠伝」と題した、デイヴ主演のショートフィルムが流れるのですが……東京ドームで異常にクオリティの高い任侠映画を見せられるわけですよ……あれ、小錦さん出てる……え、銭湯が舞台?……酔いが一気に醒めました(笑)。まあ、面白かったですけどね。これ、わざわざ日本で撮影したんですよね……なにしてんすか。「ツキニワカッテ、オシオキヨ」て(苦笑)。
そんな不思議な感覚に陥ったあと、「Ice Cream Man」「Panama」で再び現実に引き戻され、エディの長尺ソロパート。いやあ……圧巻でした。やっぱりうますぎるし、尋常じゃないテクニック。タッピングの技術はもちろん素晴らしいんだけど、実はピッキングによるプレイも正確無比なんですよね。それをドームの大画面を通じて再確認できたのは、2013年における大収穫だったかもしれません。
ラストは「Ain't Talkin' 'bout Love」「Jump」とデイヴ時代の2大ヒット曲で締めくくり。ほぼすべての楽曲が半音下げの原曲キーで披露された中、「Jump」だけはキーを上げていたことが印象的でした。デイヴ自身、そこまで声域が広いシンガーではないものの、昔と比べて上が出るようになったということなのか、それともエディがサミー時代の余韻でキーを上げた状態で演奏するのに慣れているから、そのままなのか。なんにせよ、最後の最後に若干の違和感を残して、2時間以上におよぶステージは幕を下ろしました。
選曲、演奏、パフォーマンス、すべて文句なし。この年齢でこれだけのものを見せてくれるだけでも感謝です。ああ、行ってよかった。
セットリスト
01. Unchained
02. Runnin' With The Devil
03. She's The Woman
04. I'm The One
05. Tattoo
06. Everybody Wants Some!!
07. Somebody Get Me A Doctor
08. China Town
09. Hear About It Later
10. (Oh) Pretty Woman
〜Drum Solo
11. You Really Got Me
12. Dance The Night Away
13. I'll Wait
14. And The Cradle Will Rock...
15. Hot For Teacher
16. Women In Love...
17. Romeo Delight
18. Mean Street
19. Beautiful Girls
〜VTR: 外人任侠伝 Dave's Short Film “Tokyo Story”
20. Ice Cream Man
21. Panama
〜Guitar Solo (feat.「Eruption」「Spanish Fly」「Cathedral」)
22. Ain't Talkin' 'bout Love
23. Jump