BRKN LOVE『BRKN LOVE』(2020)
2020年2月中旬にリリースされた、BRKN LOVEの1stアルバム。日本盤未発売。
BRKN LOVE(Broken Loveと読むのでしょう)はカナダ・トロント出身のフロントマン、ジャスティン・ベンロロ(Vo, G)を中心にアメリカ・ロサンゼルスにて結成された4人組ロックバンド。昨年3月にメジャーのSpinefarm Records(Universal Music傘下)と契約した時点でジャスティンは21歳というその若さに驚かされますが、LED ZEPPELINを筆頭としたクラシックロックや、SOUNDGARDENやROYAL BLOODなど90年代〜テン年代のグランジ/オルタナティヴ・ロックをベースにしたストレートなハードロック・サウンドにも驚くのではないでしょうか。
海外メディアではすでに「SOUNDGARDENの再来」と騒がれているようですが、確かにジャスティンのルックスやカリスマ性はクリス・コーネルに通ずるものがあるように思います。サウンド自体もSOUNDGARDENの影響下にある、オルタナ経由のオーソドックスなハードロックですし。それに、現在の音楽シーンにおいてロックがここまで“オルタナティヴ”な存在になってしまったからこそ、新たなロックアイコンが必要なのも理解できます。
実際、年齢のわりに渋みを感じさせる、それでいて若さならではの躍動感もにじみ出た(と同時に適度なセンチメンタリズムの携えた)ロックナンバーの数々は僕個人としても大好物な部類ですし、現在までかなりの頻度でリピートしております。ただ、安直に「SOUNDGARDENの再来」と言い切ってしまうのは如何なものか?とも思うわけでして。「SOUNDGARDENの再来」と言い切るには、ちょっと多彩さに欠ける面も否めないんですよね。
デビューアルバムなので焦点を絞ったと言えばそれまでですが、SOUNDGARDENって結局「単なるツェッペリンの再来ではなく、80年代のアリーナロックに対するアンチテーゼ」的側面も大いにあったわけで、そこがあの当時のシーンにマッチしたと思うんです。ところが、このBRKN LOVEはここ数年のクラシックロック・リバイバルの潮流に乗って現れ、サウンドメイキングがここ5年くらいのオルタナティヴ・ロックをなぞったものである。つまり、メジャー感が強く、フォロワー的側面も非常に濃厚な存在なんですよ。
それ自体は決して悪いことではないですし、事実グランジ・ムーブメント真っ只中のシーンから(シアトルではなくロスから)STONE TEMPLE PILOTSというメガブレイクを果たすバンドも登場したくらいですから。そういった点では、このBRKN LOVEは「第二のストテン」的存在になってもおかしくないと思っています。実際、それくらいの魅力や才能は感じられますしね。
ただ、あの頃とまったく状況が異なりますし、そもそもロック自体が下火という世の中ですから、なかなか前途多難だと思います。それでも、こういう活きのいいバンドがメジャーから登場すると、ちょっとうれしいんですよ。まだまだ捨てたもんじゃないな、って思えるから。
衝撃は一切受けなかったけど、デビュー作としては平均点以上の出来。気づけばリピートしているという意味では、実は意外とスルメ度の高い1枚かもしれません。
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