STARMEN『BY THE GRACE OF ROCK 'N' ROLL』(2021)
2021年2月26日に日本盤先行発売となったSTARMENの3rdアルバム。海外では3月12日にリリース予定。
昨年3月に『WELCOME TO MY WORLD』で日本デビューを果たし、同年夏には“幻のデビューアルバム”『KISS THE SKY』(2018年にデジタルリリース。2020年にリマスター&新ジャケットで初CD化)を発表するなど、立て続けにアルバムのリリースが続いたSTARMEN。日本ではレーベルを新たにAvalonへと移し、1年ぶりの新作を届けてくれました。
『WELCOME TO MY WORLD』は「AORのフィーリングとDEF LEPPARD、AC/DC、オジー・オズボーンをブレンディングさせたファンタスティックな楽曲を聴かせるバンド」という謳い文句がぴったりな、ハードロックというよりはAOR色の強いポップロック/グラムメタルでしたが、今作はもうちょっとハードロック色が強まったような印象を受けます。
80年代のメタリックなKISSを全体的に柔らかくしたような楽曲スタイルはそのままに、スウェーデン出身というルーツを大切にした繊細さやメロディアスさに磨きがかかった楽曲群は、確実にクオリティアップしていることが伝わります。また、タイトルトラック「By The Grace Of Rock 'N' Roll」を聴けば(MVを観れば)わかるように、フレーズごとに歌うメンバーが入れ替わっていたりする工夫も増え、そういったフックも随所に感じられる。かなり気合いが入ったレコーディングだったことが窺えるでしょう。
かと思えば、日本盤ボーナストラック「Ghosts」のようなモロ“北欧メタル”があったり、ジーン・シモンズ風のヘヴィチューン「Black Thunder White Lightning」もあるし、抜けの良いポップメタル「Kisses Of An Enemy」まで存在する。楽曲のバラエティ豊かさは前作以上に広がっていることで、何度リピートしても飽きが来ないんですよね。オープニングトラック「Shining Star」のボーカルトラックに手を加えた「Shining Star (Voice Outro)」で終わる構成もカッコいいし(これがあるから、日本盤ボーナストラックが4曲目なんですね)。
ただ、それでも難癖をつけるならば、「Ghosts」のようなアップチューンがアルバム本編に存在しないこと。この曲が含まれる日本盤はバランス的にも適度で良いなと思えましたが、その他の楽曲のBPMが比較的近いことから、もしかしたら数ヶ月もしたら飽きてしまうんじゃないか……なんて気もしています。そういった意味では、本作はぜひ日本盤で聴くべき1枚だなと思いました。
欲を言えば、もう1曲くらいアップテンポの楽曲があって、さらにバラードがあったら最高だったんだけど……そのへんは次回作に期待しましょう。
▼STARMEN『BY THE GRACE OF ROCK 'N' ROLL』
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