POLARIS『THE DEATH OF ME』(2020)
オーストラリア・シドニー出身の5人組メタルコア・バンド、POLARISが2020年2月21日にリリースした2ndアルバム。日本盤未発売。
2012年の結成以降、シングルやEPを定期的に発表してきた彼らは、2017年11月にSharpTone Recordsから発表した1stフルアルバム『THE MORTAL COIL』で一気に知名度を上げます(同作は本国でチャート6位まで上昇)。特に日本のリスナーには、最近Crystal Lakeと海外ツアーを行ったことでその名を知ったという方も少ないないのかもしれません。
僕はこのアルバムで初めて彼らの音に触れたのですが(それこそ、最初は日本の同名バンドの新作か?と勘違いしたくらいですから……)、若干プログレッシヴメタルやジェント、ポストロックのテイストを含むメタルコア・サウンドは個人的にとても好みで、最後まで飽きることなく楽しめました。
ミドルテンポを中心に進行していく楽曲群は適度にメロディアス(クリーン・ボーカルを担当するギターのジェイク・スタインハウザーの手腕によるもの)で、要所要所に用意されたブレイクダウンも気持ち良い。かと思えば、「Masochist」にようにエモやメロディックパンクの要素を強く感じさせる楽曲があったり、「Landmine」に散りばめられたシンガロングパートと後半で見せるハードコア要素(しかも、ギタープレイに関してはオーソドックスなヘヴィメタルのカラーも存在)、「Vagabond」での攻撃的な序盤からサビで一気に広がる壮大なコーラス……この手のバンドにしては1曲1曲に異なる彩りが用意されており、本当に飽きが来ないんですよね。
アルバム後半もグルーヴメタル的なヘヴィさとスムーズさを併せ持つ「Creatures Of Habit」や、大きなリズムをベースに随所に用意された緩急のダイナミズムが抜群に気持ち良い「Above My Head」、本作中もっともエモーショナルさが際立つ「Martyr (Waves)」、ポストロック的なイントロのギターフレーズとエモーショナルなアレンジが楽曲の持つドラマチックさをより強めている「All Of This Is Fleeting」、ダークで攻撃的なスタイルでアルバムを締めくくる「The Descent」と良曲目白押し。約42分のトータルランニングがあっという間に感じられる1枚です。
正直、この手のメタルコアは出尽くした感があるし、よほど新たなスタイルに挑戦するなどしないと聴き手にインパクトを与えることは難しいのではないかと思っていたのですが、こうやって良い曲と良いアレンジ、良いパフォーマンスにこだわればまだまだ戦えることを証明してくれたのは、いちリスナーとしてもうれしい限り。全体的にも日本人好みのテイストだと思うので、ちょっとでも気になった方は騙されたと思ってぜひ一度聴いてみてください。
▼POLARIS『THE DEATH OF ME』
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