MY DARKEST DAYS『MY DARKEST DAYS』(2010)
2010年9月にリリースされたMY DARKEST DAYSのデビューアルバム。日本盤未発売。
MY DARKEST DAYSは2005年に結成されたカナダ・オンタリオ州出身のハードロックバンド。同郷のチャド・クルーガー(Vo, G/NICKELBACK)が彼らを発掘し、2013年の解散までにチャドのプライベートレーベル・604 Recordsから2枚のアルバムを発表しています。
ということもあり、チャドはこのデビューアルバムのプロデュースにジョーイ・モイ(NICKELBACK、THEORY OF A DEADMANなど)とともに参加。アルバムで聴くことができるサウンド/楽曲もNICKELBACKの流れを組むポスト・グランジ/モダン・ハードロックの枠内にあるもので、NICKELBACKファンならば自然と受け入れられるテイストだと思います。
フロントマンのマット・ウォルスト(Vo, G)の歌声はチャドほどアクの強さやザラつきがなく、スルッと聴き進められるような質感。よく言えば耳なじみの良いポップさを持つ歌声で、悪く言えば突出した個性が感じられない……というのは言い過ぎでしょうか。ただ、高音域の伸びには一聴に値するものがあると思いますし、そこを活かしたミディアムバラード調の楽曲は彼らの武器でもあったのかな、と今になって感じています。
デビュー作ということもあってか、ゲストミュージシャンも豪華なものがあります。まず、チャド自身がソングライティングやボーカルで参加。そのチャドが加わったヒットシングル「Porn Star Dancing」ではリードギターをザック・ワイルド(BLACK LABEL SOCIETY、オジー・オズボーン)が担当しており、聴けば彼だとすぐにわかるワウを用いた豪快なソロとチョーキングを楽しむことができます。
また、同曲の別バージョンにはザックに代わってリュダクリスがボーカルでも参加。「Set It On Fire」ではオリアンティ(G)のプレイも耳にすることができます。さらに、オリジナル曲に加えDURAN DURANの1993年のヒット曲「Come Undone」のカバーも収録。こちらの女性ボーカルパートでは、同郷のジェシー・ジェイムズ・デッカーが花を添えています。
産業ハードロックをモダンテイストで味つけした、いわば「毒にも薬にもならない」類のバンド/アルバムかもしれませんが、アルバムとしての出来は平均点以上のものがあるのは確かです。
なお、2013年のMY DARKEST DAYS解散後、フロントマンのマットは実兄のブラッド・ウォルスト(B)が在籍するTHREE DAYS GRACEに電撃加入。THREE DAYS GRACEの近作を気に入っているリスナーならおなじみの1枚かもしれませんが、同バンドやALTER BRIDGEあたりのファンにも引っかかる要素満載なので、ぜひ一度チェックしてみてください。
▼MY DARKEST DAYS『MY DARKEST DAYS』
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