RIVERDOGS『RIVERDOGS』(1990)
1990年5月にリリースされたRIVERDOGSの1stアルバム。日本盤は『荒野の呼び声』というなかなかアレな邦題を付けられ(笑)、同年6月に発表されています。
WHITESNAKEを脱退後、ルー・グラム(ex. FOREIGNER)の2ndソロアルバム『LONG HARD LOOK』(1989年)にゲスト参加するなどして音楽活動をつないでいたヴィヴィアン・キャンベル(G)。そんな彼が1989年にバンド活動を再開させたのが、このRIVERDOGSでした。
アートワークからもわかるように、当時のメンバーはヴィヴィアンのほかロブ・ラモース(Vo)、ニック・プロフィ(B)の3人。ドラマーはセッションメンバーが参加し、本作完成後にマーク・ダンゼイセン(Dr)が加入しています。
マイケル・モンローの『NOT FAKIN' IT』(1989年)などで知られるマイケル・フロンデリをプロデューサーに迎えて制作された本作では、適度にレイドバックしたアメリカン・ハードロックが展開されており、ロブの声質や歌唱法もあって、どこか80年代前半〜半ばのWHITESNAKEを彷彿とさせるものがあります。しかし、当時のデヴィッド・カヴァーデイルほど高音でシャウトすることなく、ロブの中音域を中心とした歌唱は非常に心地よいものがあり、そのブルージーな楽曲と相まって非常に聴きやすく仕上げられています。
「Toy Soldier」や「Holy War」「America」などキャッチーな楽曲も多いものの、全体的には比較的地味な印象。ヴィヴィアンのギタープレイも非常に適材適所といいますか、無駄に弾きすぎずにボーカルを立てることに徹している。このへんは、翌年にリリースされたSHADOW KING唯一のアルバム『SHADOWN KING』(1991年)や、その後加入するDEF LEPPARDでの活動にも通ずるものがあり、彼が何をしたくて音楽活動(バンド活動)を続けていたのかが垣間見えるのではないでしょうか。
もちろん、ギタリストとしての見せ場も豊富に用意されています。「Big House」では比較的長めで派手なギターソロもフィーチャーされていますし、この押し引きのバランス感こそがヴィヴィアンの個性と言えなくもありません。DIOやWHITESNAKEで見せた派手さには敵いませんが、これはこれで彼らしいのではないでしょうか。なにより曲調やアルバムの雰囲気にぴったりですしね。
……と、ここまで書くと、いかに彼は曲作りに力を入れてきたのかと思われるでしょう。しかし、ヴィヴィアンの本作におけるソングライターとしての貢献度はそこまで高くなく、10曲中4曲に共作者としてクレジットされるのみ。ロブ中心で曲作りが行われていることから、ロブのバンドにヴィヴィアンが加入したと見るのが正しいのかもしれません。そう考えると、ヴィヴィアンが中心となって動くバンドってほとんどないんですよね(SHADOW KINGはルー・グラムのソロ延長ですし、LAST IN LINEもちょっと違うし)。そのエゴの弱さこそがヴィヴィアン・キャンベルそのものなんでしょうけどね。
にしても、リリースから30年経っても色褪せることのない、本当に良いアルバムです。発売されてから数年ずっと聴きまくっていたし、「こういうバンドをやりたい」と思わせてくれた、僕にとって非常に重要な1枚です。
▼RIVERDOGS『RIVERDOGS』
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