INTER ARMA『GARBERS DAYS REVISITED』(2020)
2020年7月上旬発売の、INTER ARMAのカバーアルバム。日本盤未発売。
INTER ARMAはバージニア州リッチモンド出身の5人組みスラッジ/デス/ポスト・メタルバンド。2006年の結成以降、これまでに4枚のオリジナルアルバムを発表しており、今作は4thアルバム『SULPHUR ENGLISH』(2019年)に続くスタジオ作品となります。
このバンドに関してはほぼ知識がなく、本作で初めて触れることになります。カバーの内訳は以下のとおり(カッコ内は原曲アーティスト名)。
01. Scarecrow [MINISTRY]
02. Southern Man [ニール・ヤング]
03. Hard Times [CRO-MAGS]
04. March Of The Pigs [NINE INCH NAILS]
05. The Girl Who Lives On Heaven Hill [HÜSKER DÜ]
06. In League With Satan [VENOM]
07. Runnin' Down A Dream [TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS]
08. Purple Rain [PRINCE & THE REVOLUTION]
メタルというよりはオルタナ・メタル/インダストリアル系、ブラックメタルやクロスオーバー系ハードコアが中心で、そこにニール・ヤングやトム・ペティ、プリンスといった王道(かな?)をミックスしたセレクト。カバー自体も比較的原曲に忠実なものが多く、MINISTRY「Scarecrow」やNIN「March Of The Pigs」なんてマシーンビートをそのままヒューマンビートに置き換えたくらいで、まんまですよね。
かと思えば、ニール・ヤング「Southern Man」はスラッジ色かつエモ味が激増したヘヴィバージョンに生まれ変わっている。「Runnin' Down A Dream」も原曲よりハードロック色が増しており好印象だし、素直に歌うあたりにバンドとしてのカバーのこだわりが垣間見えます。
「Hard Times」や「The Girl Who Lives On Heaven Hill」あたりのどハードコアなカバーも捨てがたいし、その流れで取り上げた元祖ブラックメタルVENOMのカバーもナイスセンス。そんな中、最後の最後にスラッジー&サイケデリックなテイストに仕立てた「Purple Rain」も素晴らしい。全8曲で37分という短さと合間って、腹八分目で楽しめる好カバー集です。
このアルバムが入口となって、ここから過去作をさかのぼって聴いてみようかなと思える、そんなきっかけを与えてくれた貴重な1枚です。アルバムタイトルはMETALLICAの名カバー集が元ネタなのもご愛嬌。そこも含めて愛すべき良作ですね。
▼INTER ARMA『GARBERS DAYS REVISITED』
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