BURY TOMORROW『THE SEVENTH SUN』(2023)
2023年3月31日にリリースされたBURY TOMORROWの7thアルバム。
初の全英TOP10入り(最高10位)を記録した前作『CANNIBAL』(2020年)から約2年半ぶりの新作。コロナによるロックダウンの影響でリリースが予定より遅れたものの、アルバムはセールス的に好記録を残すことができました。が、その後のツアーはすべて中止・延期に。こういった影響もあってか、2021年夏にはオリジナルメンバーのジェイソン・キャメロン(G, Clean Vo)が脱退してしまいます。しかし、バンドは新たにエド・ハートウェdル(G)とトム・プレンダーガスト(Key, Clean Vo)を迎え、6人編成で活動再開。少しずつライブを開催する中で、2022年3月には「Death (Ever Colder)」、6月には「Life (Paradise Denied)」を立て続けに配信リリースし、健在ぶりをアピールします。
そして、ついに完成したニューアルバム『THE SEVENTH SUN』。過去2作から引き続き、アルバムのプロデュースを手がけたのはダン・ウェラー(SikThのギタリスト)。先の配信ナンバー2曲はアルバム本編に含まれていないものの(日本盤にはボーナストラックとして追加収録)、それを補って余るほど良曲揃いの力作に仕上がっています。
クリーンボーカルが交代したことで、どれだけ前作から自然な流れで本作と向き合うことができるのか心配もありましたが、先の配信楽曲で徐々に慣れてきたこともあってか、アルバムは強烈なオープニング曲「The Seventh Sun」から安心して(かつ、興奮したまま)最後まで楽しむことができるはずです。
前作の洗練された作風は本作にも引き継がれていますが、今回はそれ以前に作品に存在していた暴力的なアグレッションが復調しており、そこも含めて全体のバランス感に優れている。ダニエル・ウィンター・ベイツ(Unclean Vo)もより迫力を増し、トムのクリーンボーカルとの対比も良好。互いが双方の良さ・魅力を見事に引き出すことに成功しており、非常に充実したボーカルワークを楽しめるはずです。かつ、「Heretic」には盟友WHILE SHE SLEEPSのロズ・テイラー(Vo)、「The Carcass King」にはタトゥーアーティスト/ミュージシャンのコディ・フロストがそれぞれゲスト参加し、多彩さを加えています。
多彩さといえば、楽曲の幅の広がりも本作の大きな特徴。ドラマチックさとブルータルさが混在するタイトルトラックのほか、キャッチーな王道メタルコア「Abandon Us」や「Recovery?」、殺傷力抜群の「Force Divide」や「Wrath」、ゴシックテイストの強いメロウなミディアムチューン「Majesty」、コディ・フロスト含む3人のシンガーの特性が見事に発揮された「The Carcass King」など捨て曲ゼロなうえに、キラーチューンも満載。バンドとして確実なステップアップを遂げたと同時に、メンバーチェンジが功を奏した起死回生の1枚ではないでしょうか。
現時点ではまだ英国チャートの結果は出ていませんが、できることなら前作を超える数字を残してほしいですし、それを受けて来日にも期待したい……そう心の底から強く思えるほどの力作です。
▼BURY TOMORROW『THE SEVENTH SUN』
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