YEAR OF THE KNIFE『INTERNAL INCARCERATION』(2020)
2020年8月7日にリリースされたYEAR OF THE KNIFEの1stフルアルバム。日本盤未発売。
YEAR OF THE KNIFEはアメリカ・デラウェア州出身の5人組ハードコアバンド。2015年結成とまだ活動歴は浅いほうですが、2019年にPure Noise Recordsと契約すると、それまでに発表した2枚のEPに新曲を加えたコンピレーション・アルバム『ULTIMATE AGGRESSION』(2019年)をリリース。KNOCKED LOOSEやJESUS PIECE、BOSTON MANORなどを擁するレーベルからの注目新人ということで、大きな注目を集めることになります。
そのコンピから1年半という短いスパンで届けられたこのフルアルバムは、全13曲で32分という非常にコンパクトなのに強烈なインパクトが凝縮された1枚。プロデュースを手がけたのがCONVERGEのカート・バルー(CODE ORANGE、KVELERTAK、RUSSIAN CIRCLESなど)というのもあってか、非常に密度の高い超重量級ハードコアサウンドを楽しめる良作に仕上がっています。
大半の楽曲が1〜2分台で、最長でも「Eviction」の3分10秒。アルバム自体の曲間もかなり詰められているので、まるで組曲のように聴こえたり、複雑な変化(アレンジ)を持つ楽曲だなと思っていたら数曲過ぎていたとか、そんな錯覚も与えてくれます。もっと言えば、(この手のバンドにしては)超高音質のライブを30数分にわたり目の前で繰り広げているような、そんな生々しさを楽しむことができるのです。
この手のバンドではデスメタル以降のヘヴィメタルや、デスコア以降のヘヴィサウンドに影響を受けた者も少なくありませんが、本作を聴いて感じたのはこのYEAR OF THE KNIFEはメタリックな質感ではあるものの、モダンなヘヴィメタルのそれとは異なるカラーだなということ。カート・バルーが手がけていることもあってか、CONVERGE以降のハードコアといった印象も強く、中でもCODE ORANGEのような変態性が強くない、非常にストレートな音を鳴らすバンドなんだなと気づかされます。
この瞬発力と攻撃性、言葉を失うほどの衝動性……これがまだ1枚目のアルバムだという事実に気づくと、改めて圧倒させられるのではないでしょうか。各メンバーはそれぞれキャリアのある面々のようですが、これはとんでもない注目株が現れたなと。この手のサウンド/バンドが好きな人にはたまらないのではないでしょうか。特にCODE ORANGEが新作『UNDERNEATH』(2020年)で遂げた変貌についていけなくなった人たちが、このYEAR OF THE KNIFEに流れるなんてことになっても不思議じゃないくらい、有無を言わせぬカッコよさがある。2020年下半期最大の注目作です。
▼YEAR OF THE KNIFE『INTERNAL INCARCERATION』
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