HELL FREEZES OVER『Hellraiser』(2020)
2020年8月26日にリリースされたHELL FREEZES OVERの1stアルバム。
HELL FREEZES OVERは2010年代前半に結成された日本の5人組へヴィメタルバンド。僕が知ったのは前作にあたる1st EP『Speed Metal Assault』(2018年)リリース時で、購入してからしばらくして『RED BULL MUSIC FESTIVAL』の一環で開催されたメタルイベント『METAL MANIA』で初めてライブを観てノックアウトされたのでした。
そもそも、2010年代後半にこの音……1980年代初頭を彷彿とさせるピュアメタルがどう評価されるんだろう? 時代錯誤では? とEPを聴いたとき、一瞬だけ脳裏をかすめたのですが、そんな心配は余計なお世話でした。カッコければオールオッケー。説得力とか深みとかそんな難しいことを凌駕するパワー、これを前にしたら何も言えなくなるというか、全身の血液が逆流して脳天からピューっと吹き出しそうになるわけです。
そんな強烈なインパクトを残したファーストコンタクトから早2年。待望の1stフルアルバムの完成です。本作についてはすでに発売中のムック『ヘドバン』最新号にてレビューを書かせていただいており、そのおかげで一足先にアルバムを聴かせていただいておりました。で……そこからずーっとヘビロテ中。家で無心になりたいとき、移動中(コロナ感染を気にしながら)悶々としているとき、いつでも僕はこのアルバムを爆音で再生し続けています。
オールアナログ録音とかバッキングはすべて一発録りとか特筆すべきトピックはいろいろあるけど、まずはそういう細かいことを気にせずに、できるだけ大音量でひととおり聴いてもらいたい。同時代に活躍する同世代のバンドたちと比べものにならない、いや、比べようがないほどの熱量と、聴く者を良い意味でアッパラパーにさせてくれる躍動感と焦燥感は、現存するへヴィメタルバンドでは唯一無二ではないでしょうか。
適度な完成度の高さと、まだまだ伸び代が感じられる未完成な部分が程よいバランスで共存するこの感覚は、まさに1stアルバムでなければ出せないものであり、これを聴いていると……今から40年近く前に、MOTÖRHEADの『ACE OF SPADES』やIRON MAIDENの1stアルバム(ともに1980年)、ACCEPTの『RESTLESS AND WILD』(1982年)、METALLICAの『KILL 'EM ALL』(1983年)が発売された当時、これらの作品に初めて触れたメタルヘッズはこんな気持ちだったのかな?なんて想像してしまうんです。それくらいの名盤であり、最高の1stアルバムだと思います。
だからですね、こんな駄文を読む前に、まずは聴いて!
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