ZAKK SABBATH『DOOMED FOREVER FOREVER DOOMED』(2024)
2024年3月1日にリリースされたZAKK SABBATHの2ndアルバム。日本盤未発売、デジタルリリースおよびストリーミングサービスでの配信なし。
前作『VERTIGO』(2020年)から3年半ぶりの新作。メンバーはザック・ワイルド(Vo, G/BLACK LABEL SOCIETY、OZZY OSBOURNE、PANTERA)、ブラスコ(B/OZZY OSBOURNE、ROB ZOMBIE)、ジョーイ・カスティロ(Dr/ex. QUEENS OF THE STONE AGE、ex. DANZIG、ex. EAGLES OF DEATH METALなど)と変わらず。
ザックの敬愛するBLACK SABBATHトリビュートの名目で結成した彼らですが、前作ではそのサバスの1stアルバム『BLACK SABBATH』(1970年)発売50周年を祝した完全カバー作でしたが、今作は続いてサバスの2ndアルバム『PARANOID』(1970年)と3rdアルバム『MASTER OF REALITY』(1971年)をまるまるカバーしたCD2枚組作品となっています。
DISC 1に『PARANOID』収録の8曲、DISC 2に『MASTER OF REALITY』収録の8曲がそれぞれ収められており、基本的なアレンジは原曲に忠実ながらもザックらしくほとんどの楽曲をダウンチューニングで演奏(「Planet Caravan」のようなアコースティックナンバーは原曲キーのまま)。トニー・アイオミ(G)へのリスペクトを表しつつ、随所で彼らしさを織り交ぜた個性的なプレイをたっぷり味わうことができます。
基本的にカバーというかコピーに近い演奏なので、原曲の雰囲気を損ねるようなことはないのですが、いかんせん1音とか1音半もダウンチューニングしているので、サバスの音に慣れた耳で聴くと若干の違和感は否めません。しかし、ザックの“なんちゃってオジー”風モノマネ歌唱が加わると、妙に納得して楽しめてしまうから不思議です。ザック、「War Pigs」の冒頭からノリノリですからね。
個人的には「Planet Caravan」で原曲にないハーモニーや、エンディングで聴けるエレキでのギターソロなどがフィーチャーされておりますが、このへんは現在PANTERAのツアーでこの曲に触れていることから触発されたものもあるのかもしれませんね。同じくスローナンバーの「Solitude」はピアノアレンジに変更されているのですが、レイドバック感を強調した「Hand Of Doom」同様どこかBLACK LABEL SOCIETY味があり新鮮に響きます。
そのほか、「Rat Salad」でのスリリングなアンサンブルや「Lord Of This World」や「Into The Void」での地を這うようなヘヴィさなど、この布陣ならではの名演が凝縮されているので、サバスの原曲を知らなくても十分に楽しめる内容だと思います。残念ながら、ZAKK SABBATHのアルバムはフィジカルでしか入手できない(聴くことができない)ので、ちょっとでも気になったらぜひ通販やCDショップで入手することをオススメします。
▼ZAKK SABBATH『DOOMED FOREVER FOREVER DOOMED』
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