ANAAL NATHRAKH『ENDARKENMENT』(2020)
2020年10月2日にリリースされたANAAL NATHRAKHの11thアルバム。
ANAAL NATHRAKHはヴィトリオール(Vo)、イルメイター(G, Programmimg)からなるイギリス・バーミンガム出身のエクストリームメタルバンド。ブラックメタルとグラインドコア、打ち込みビートによるインダストリアルメタルをミックスされた独特のサウンドと、サビになると仰々しく歌い上げるシンフォニックメタル調のメロディが独特の個性を作り出し、現在までにエクストリームシーンでは高い評価を得ています。また、日本にも2016年8月の初来日を機に、2017年6月、2019年2〜3月の3度にわたり訪れており、各好評を博しています。
意外にもこれまで不思議と手が伸びなかった彼ら。単純にタイミングだと思うのですが、今回この新作で初めて彼らの音に触れてみました。ブラックメタル的なトレモロリフと無慈悲なまでに突っ走るマシンビート(といっても機械的な音ではなく生ドラムを意識したものですが)、残虐性に満ち溢れたグロウル&スクリームと、突如訪れるスケール感の大きなメロディを朗々と歌い上げるボーカル。このコントラストがとにかく絶妙で、普通に聴いていたら疲れそうな音像の楽曲(おの音像も非常に“古き良き”ブラックメタルを髣髴とさせるものがあります)をスラスラと聴き進められるのも、彼らならではの手腕によるものなのかなと。
以前の作品を聴いていないので何とも言えませんが、本作はそこまでグラインドコア的な要素は感じられないかな、と。曲によってはサビにメジャーキーを用いることでちょっとバイキングメタルっぽくなっていたり(「Feeding The Death Machine」あたりですね)、メロディを奏でるようなツインリードこそありませんがどこかメロディックデスメタルを思い出させるものもある。事前に伝え聞いてようなイメージや印象は、本作からそこまで受けませんでした。それはそれで悪くないんですけどね。
ただ、楽曲に関しては予想していた以上にワンパターンかな。これ、メロディックテイストがなかったら10曲通して聴くのはキツイかも……と正直思ってしまいました。それもあって、2度3度と聴き返すうちに飽きがくるのもまた事実。真性ブラックメタルリスナーの皆さんからしたら、本作に対する評価ってどうなんでしょうね……気になるところです。
即効性は強烈だけど、持続性はそこまで強くない。年間ベストに入るような作品ではありませんが、この2020年10月上半期のベスト10には確実に入れておきたい1枚。これを機に、ちゃんと過去作も聴いてみます(それで一周してから戻ったら、感じ方がまた変わるかもしれませんしね)。
▼ANAAL NATHRAKH『ENDARKENMENT』
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