GO AHEAD AND DIE『GO AHEAD AND DIE』(2021)
2021年6月11日にリリースされたGO AHEAD AND DIEの1stアルバム。
GO AHEAD AND DIEは元SEPULTURA、現在はSOULFLYやKILLER BE KILLED、CAVALERA CONSPIRACYなどで活動するマックス・カヴァレラ(Vo, G)が、自身の息子イゴール・アマデウス・カヴァレラ(B, G, Vo)と新たに立ち上げたプロジェクト。「初期CELTIC FROSTやパンクから大きな影響を受けたデスメタルとスラッシュメタルのミックス」をテーマに、非常に80'sテイストが強いオールドスクールなエクストリームミュージックを展開しています。
レコーディングにはカヴァレラ親子に加え、ザック・コールマン(Dr/KHEMMIS、BLACK CURSE)が参加。マックスがボーカルを担当していること、またギターのリフワークが“スラッシュメタル以降”を彷彿とさせるものがあることから、90年代以降のデスメタルの流れを汲むテイストも感じられますが、全体的にはそのタイトなサウンドプロダクションやストレートなプレイも手伝って、80年代末のハードコア+メタル=クロスオーバー的な色合いも見え隠れします。
曲によっては初期グラインドコアっぽさもありますし、そういった意味ではスラッシュメタルというよりもパンクの色のほうが強く感じられます。マックスがこれまでに携わったバンド/プロジェクトの中では、もっともプリミティブなパンク/ハードコアなサウンドかもしれませんね。
楽曲的には実はあれこれチャレンジしているものの、いかんせんマックスのボーカルがいつもどおりなこともあり(かつクセが強いせいで)、全体を通して一本調子に聴こえてしまうのが難点かな。息子のイゴールも頑張っているんですが、突出した個性も感じられず(この手のスクリームで個性を際立たせるのは難しいですけどね)。新しいことに挑戦しているのに、いつも通りに思えてしまうのは非常にもったいないなと。
悪くはないです。いや、悪いわけがない。だけど、プラスアルファやこのプロジェクトだけの強みが見つけられない。マックスが関わる作品はすべて大歓迎というリスナーなら文句なしに楽しめる1枚だと思いますし、エクストリームメタルシーンにおいても非常にユニークな1枚なのは間違いありません。けど、個人的にはもうひとクセ欲しかったなと思いました。
こういう「親子でバンド作ったけど、親の個性が強すぎて子供の影が薄い」バンド、ほかにどういうのがありましたっけ?(VAN HALENのウルフギャングは途中加入なので除く) 日本だとこういう主張の強い親って誰がいたかなと思いまして……そんなことがふと気になってしまう1枚でした(内容とまったく関係ないですが)。
▼GO AHEAD AND DIE『GO AHEAD AND DIE』
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