UMBRA VITAE『SHADOW OF LIFE』(2020)
2020年10月23日リリースの、UMBRA VITAEの1stアルバム。日本盤は海外に先駆け、10月21日に発売されました。
本作はすでに今年5月初旬にデジタルリリース/ストリーミング配信がスタートしていましたが、約半年という期間を経てついにフィジカルリリース。当初は6月頃にフィジカル/デジタルでのリリースが予定されていましたが、コロナ禍の影響でプレス工場が閉鎖され、先にデジタル配信、追ってフィジカルリリースという形が取られました。
UMBRA VITAEはCONVERGE、WEAR YOUR WOUNDS(以下、WYW)のフロントマンであるジェイコブ・バノン(Vo)が新たに立ち上げた新バンド。メンバーはジェコブのほか、マイク・マッケンジー(G/THE RED CHORD、STOMACH EARTH)、ショーン・マーティン(G/TWITCHING TONGUE、ex. HATEBREED)、グレッグ・ウィークス(B/THE RED CHORD、LABOR HEXなど)、ジョン・ライス(Dr/UNCLE ACID & THE DEADBEATS、ex. JOB FOR A COWBOY)というUSハードコア/エクストリームミュージック界のスーパースターばかり。
このうち、ジェイコブとマイク、ショーンはWYWのメンバー。実はWEAR YOUR WOUNDSの2ndアルバム『RUST ON THE GATES OF HEAVEN』(2019年)の制作中に、アグレッシヴではない音楽への反動としてジェイコブのルーツであるデスメタルにスポットを当てたプロジェクト案が浮上。WYWのツアー終了後に、マイク経由でグレッグ、ジョンというリズム隊を招聘し、CONVERGEのカート・バルー(G)をレコーディングエンジニアに迎えてレコーディングに突入するわけです。
ジェイコブがここまでメタル色の強い楽曲で、アグレッシヴにグロウルしたりホイッスルボイスを響かせたりするのも随分と久しぶりのこと。CONVERGEの近作もヘヴィではあるものの、こういった直接的なアグレッシヴさはどんどん薄れているので、非常に懐かしい気持ちと新鮮さを当時に味わうことができるはずです。
大半が2〜3分台の楽曲群は、伝統的なデスメタルをベースにシリアスで叙情的な歌詞を乗せた形に仕上げられており、グラインドコアからデスメタルへとスタイルチェンジした90年代初頭のNAPALM DEATHを髣髴とさせるものがあります。つまり、そここそがジェイコブのルーツであり、今回目指した場所だったのでしょう。全10曲(ボーナストラック除く)で26分というトータルランニング含め、古き良き時代のデスメタル(あるいはハードコア/グラインドコア)を2020年によみがえらせた良質な1枚と断言できます。
なお、日本盤にはボーナストラックとしてホラー映画のエンドロールに流れていそうなインストナンバー「Decadence Descends」を追加収録。この曲が加わることで、アルバムのエンディングにより深遠さが増すことになります。ここはぜひ、日本盤CDを購入してみてはどうでしょう?
あと、これは完全なる宣伝ですが、アルバムのライナーを筆者が執筆しております。バンドの成り立ちやより詳細な解説はそちらにすべて載っているので、ここではこの程度に収めておきますね(笑)。
▼UMBRA VITAE『SHADOW OF LIFE』
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