ERRA『AUGMENT』(2013)
2013年10月29日にリリースされたERRAの2ndアルバム。日本盤未発売。
ERRAは2009年に結成されたアラバマ州バーミングハム出身の5人組バンド。2011年の1stアルバム『IMPULSE』が一部で話題となり、当時は日本盤もリリースされたほど。とはいえ、僕は同作の頃はスルーしてしまっており、この2作目で初めてそのサウンドに触れ、ハマったのでした。
当時のメンバーはギャリソン・リー(Unclean Vo)、ジェシー・キャッシュ(G, B, Clean Vo)、アラン・リグドン(G, B)、アレックス・バルー(Dr)の4人。前任ベーシストのアダム・ヒックスが2012年に脱退したことを受け、レコーディングはギタリストの2人が兼任したようです。なお、ギャリソンとアランは本作リリース後の2014年に脱退しています。
プロデューサーは前作から引き続きブライアン・フッド(Crystal Lake、THE DEVIL WEARS PRADA、MEMPHIS MAY FIREなど)が担当。軸はメタルコアなのですが、ギターのリフワークやリズムの変拍子などジェントの流れにあるスタイルで、曲によってはプログレメタル的なテイストも見え隠れします。基本的にはアンクリーンボーカルのスクリームで押し、サビで壮大なメロディをクリーンボーカルが歌うという形。これはほかのメタルコア/ジェント系と一緒なのですが、クリーンパートのメロディが非常に練られており、サビに入った瞬間に目の前が開けるような錯覚に陥る……この感覚が非常に気持ちよく、凡百のメタルコア/ジェントメタルバンドとは一線を画する存在であることがご理解いただけるはずです。
リフワークもただジェント的な刻みをするのみならず、メロディアスな単音弾きを多用したリフも豊富で、これが楽曲の色付けが多彩さを増している。この2つを巧みに使い分けることで、ヘヴィさとキャッチーさをバランスよく備えることに成功。インストゥルメタルのみに耳を傾けていてもまったく飽きることがないのは、非常に大きな個性と言えるのではないでしょうか。
かと思えば、メロディックハードコア的なカラーも内包しており、そういった顔が突如現れてリスナーをドキリとさせる。こいつら、相当な曲者だな(笑)。
まあ、そうはいってもメインになるのは上記に挙げたようなジェント的側面と、壮大さを伴うプログレメタル的な色合いかな。PERIPHERYとも異なるそのカラーは2作目とは思えないほどの貫禄があるし、一度聴いたらクセになる要素満載なんですよね。購入以来、久しぶりに引っ張り出して聴いてみたけど、その魅力はやっぱり色褪せないですわ。
そういった要素がバンドを良き方向へと導き、結果本作は初の全米チャート入り(最高117位)を記録。次作『DRIFT』(2016年)からは名門Sumerian Recordsへと移籍しましたが、2020年夏にはUNFDに移籍し新曲「Snowblood」をリリースしたばかり。こちらもクセになる要素満載で、来年初頭あたりにリリースされるであろう5thアルバムへの期待も高まるばかりです。
▼ERRA『AUGMENT』
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