CHAMBER『COST OF SACRIFICE』(2020)
2020年10月23日にリリースされたCHAMBERの1stフルアルバム。日本盤未発売。
CHAMBERはアメリカ・テネシー州ナッシュビル出身のハードコアバンド。昨年夏にPure Noise Recordsへと移籍し、8曲入りEP『RIPPING / PULLING / TEARING』を発表しています。当時のアー写やMVを確認するとツインギターの5人組でしたが、最新のアー写ではジェイコブ・リリー(Vo)、ゲイブ・マニュエル(G)、クリス・スミス(B)、テイラー・カーペンター(Dr)というシングルギターの4人編成に変わっています。短期間で1人抜けたのね。
ですが、届けられたフルアルバム(EPから2曲増えた10曲入り。たった2曲の違いでEPからアルバムに変わるのね)を聴くと、シングルギターに変わったからといってそのアグレッシヴさ、音の変態度は変わることなく、むしろパワーアップしているように映りました。
本アルバムに向けて次々に配信されてきた新曲を耳にして、アルバムへの期待度は増すばかりでしたが、実際届けられた本作はそんな期待を軽く凌駕する内容/仕上がり。同じPure Noise Records所属のYEAR OF THE KNIFEの1stフルアルバム『INTERNAL INCARCERATION』(2020年)も本年度を代表する力作でしたが、このCHAMBERのアルバムもそれに匹敵する重要作と言えるでしょう。
90年代のグルーヴメタル経由のハードコア/メタルコアバンドが、インダストリアルに寄り道したりと紆余曲折ありながらも、ゴールにたどり着いたらオリジナリティを確立していた。そんな変遷がこの1枚から感じ取ることができるのですが、アッパーで無軌道な前半とミドル&ヘヴィで音像にこだわった後半との対比が非常に面白く、1枚のアルバムの中にやりたいこと全部詰め込んだ感が強く伝わります。
前半ではブレイクダウンを上手に活用した王道のメタルコアチューンありつつ、ハーモニクスを効果的に用いたギタープレイの気持ち良さと相まって気持ちよく楽しめる楽曲ばかり。かと思えば、後半は「Numb (Transfuse)」「The Edge of Every Lie」「Disassemble:Ressemble」の3曲で示すディープな世界観が架空の映画のサウンドトラックにように響き、前半とは異なるサウンドスケープを描いてくれる。だからこそ、アルバムラストを飾るタイトルトラック「Cost Of Sacrifice」がよりカラフルに聴こえるわけです。この構成、お見事としか言いようがないわ。
にしても、Pure Noise Recordsは本当にバラエティに富んだ新人をたくさん見つけてきますね。最近はあまり“レーベル買い”みたなことやってなかったけど、ここ1年くらいずっとBandcamp経由でいろんなバンドの音源を購入しているかも。CHAMBERもそのひとつなんですが、ビジュアル的にはちょっとアレだけど(笑)、この先が楽しみになる存在のひとつです。いやあ、いいアルバムにめぐり会えた!
▼CHAMBER『COST OF SACRIFICE』
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