URIAH HEEP『LOOK AT YOURSELF』(1971)
1971年11月にリリースされたURIAH HEEPの3rdアルバム。日本では『対自核』の邦題で長きにわたり親しまれてきた1枚です。
タイトルトラック「Look At Yourself」や「July Morning」といった名曲が収められていることから、本作を入門編としてURIAH HEEPの音に触れるというビギナーも昔は多かったのではないでしょうか。かくいう自分もそのクチで、GAMMA RAYがデビューアルバム『HEADING FOR TOMORROW』(1990年)で「Look At Yourself」をカバーしていたのをきっかけに同曲に触れ(もちろん『対自核』という邦題やジャケットのことは存じておりましたが、曲は聴く機会なく)、19歳のときに初めてこのアルバムに手を出したのでした。
……「出したのでした。」と書いておきながらなんですが、実はURIAH HEEPって本作とベスト盤くらいしかまともに聴いたことがなかったんですよ、つい最近まで。それこそ、今みたいにサブスクで手軽に聴くことができれば「あ、そういやほかのアルバムって聴いたことないな。ちょっといろいろつまんでみよう」ということになるのですが、レンタルCDショップも洋楽は下火になり、いくら安くなったとはいえ輸入盤であれこれ購入するというのもね。うん、なかなかハードル高いですよね。
ホント、今の人たちは羨ましいです(笑)。
さて、本編に戻ります。サブスクではリイシューなどでボーナストラックがいっぱい入っていますが、アルバム本編はA面3曲、B面4曲の計7曲入りで約41分という適度な尺。A面はいきなり「Look At Yourself」からパワフルにスタートします。今さら何も言うことなしの名曲。あ、GAMMA RAYもいいけど、日本のザ・ピーナッツのカバー(ライブテイク)もパーカッションを原曲以上の強調したカッコいいアレンジでオススメです。
続く「I Wanna Be Free」も適度なポップさがあってなかなかですが、本サイドのクライマックスは10分半におよぶ大作「July Morning」ですよね。ハードロックとプログレの中間と言いたくなるようなこの叙情的なナンバー、いかにも日本人好みのメロディとコード使いがたまらないなと。ケン・ヘンズレー(Key)のオルガン、ゲストプレイヤーのマンフレッド・マンによるモーグ・シンセがまた良いんですよね(そういえば、あとから知ったのですが、デヴィッド・バイロンという専任シンガーがいながら、「Look At Yourself」はケンが歌っているという不思議)。
B面もサイケなハードロックにミック・ボックス(G)のスライドプレイを前面にフィーチャーした「Tears In My Eyes」や、ケンのオルガンプレイを思う存分楽しめる8分半におよぶ「Shadow Of Grief」とダイナミックな楽曲が続きます。かと思えばソウルフルな「What Should Be Done」が変化球で飛び込んできたり、最後はハードブギー「Love Machine」でパワフルに締めくくったりと、なんだかんだでブリティッシュハードロック好きにはたまらない内容ではないでしょうか。
9月には本作発表後にバンドに加入したリー・カースレイク(Dr/のちにオジー・オズボーンのソロ作品にも参加)が亡くなり、それもあって名前をよく目にして久しぶりにほかのアルバムを聴いていたところでした。それに加えて、つい数日前にはケン・ヘンズレーの訃報が飛び込んできたばかり。ここ数日、またURIAH HEEPブームが来て、このアルバムまでたどり着いたところでした。本当にいいアルバムですね。子供の頃に聴いたときより、今のほうがしっくり来るものがあります(それだけ年を取ったってことかしら……)。
▼URIAH HEEP『LOOK AT YOURSELF』
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