THE BANGLES『DIFFERENT LIGHT』(1986)
1986年1月にリリースされたTHE BANGLES(当時はBANGLES表記)の2ndアルバム。
前作『ALL OVER THE PLACE』(1984年)は大きなヒットにつながることはありませんでしたが、本作はプリンスが提供したリードシングル「Manic Monday」が全米2位の大ヒットに。その後もジュールズ・シアーのカバー「If She Knew What She Wants」(同29位)がスマッシュヒットし、本作からの3rdシングル「Walk Like An Egyptian」はついに全米1位を獲得。同曲は1987年のBillboard年間チャートでも1位に輝く大ヒットとなりました。ほかにも本作からは「Walking Down Your Street」(同11位)と、計4曲のシングルヒットが誕生。アルバム自体も全米2位まで上昇し、アメリカのみで300万枚以上を売り上げるキャリア最大のヒット作となりました。
本作は全12曲中2曲がカバー(先の「If She Knew What She Wants」と、BIG STARの名曲「September Gurls」)、2曲が作家提供曲(「Manic Monday」「Walk Like An Egyptian」)とバンド以外のカラーも強いアルバムですが、それにより楽曲のバラエティ豊かさや曲調の幅広さを表現できています。また、単なるガールズ・ガレージポップバンド/パワーポップバンドで終わることなく、「Manic Monday」のように大衆性の強い名曲や「Walk Like An Egyptian」のようなポップシーンにも浸透するキャッチーな1曲を生み出せたことは、このバンドにとって大きな強みになったのでいでしょうか。
ですが、そういった“イロモノ”的側面がこのバンドを正しく評価する上での妨げにもなっており、事実本作と出会った中学生当時は今よりも本作を正しく評価できていなかったように思います。よくリピートする曲といえば上記のようなヒットシングルばかり。むしろ、ほかのアルバム曲のほうが蛇足と勘違いしてしまったほどです。
ところが、今となってみるとタイトルトラック「In A Different Light」や「Let It Go」「Angels Don't Fall In Love」「Following」「Not Like You」、そして名カバー「September Gurls」のような楽曲にこそこのバンドの本質が表れているような気がしてなりません。そこに普遍性の高い「Manic Monday」や「If She Knew What She Wants」「Walking Down Your Street」などが加わることで、パワーポップバンドとしてのこのバンドの個性をより際立たせることにつながるわけですから……そう考えると、むしろ「Walk Like An Egyptian」こそ“異端”なんですよね。ちょっと浮いてるといいますか。
でも、そこも含めてTHE BANGLESらしいのかもしれません。同タイプの楽曲は以降のアルバムには収録されていませんが、あの起爆剤があったからこそ続く「Hazy Shade Of Winter」のカバーや3rdアルバム『EVERYTHING』(1988年)が生まれるわけですから。
▼THE BANGLES『DIFFERENT LIGHT』
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