THE LOCAL BAND『LOCALS ONLY - DARK EDITION』(2015)
2015年12月2日にリリースされたTHE LOCAL BAND唯一のEP。日本先行でリリースされ、続いて12月4日に海外で発売されています。
THE LOCAL BANDはCHILDREN OF BODOM(当時)のアレキシ・ライホ(G, Vo)とTHE 69EYESのヨッシ69(Dr)が2013年頃、遊びで結成したカバーバンド。当時のメンバーはこの2人に加えてオリー・ヘルマン(Vo/RECKLESS LOVE)、アーチー・クルーズ(B/SANTA CRUZ)という面々。当初はPOISONやMOTLEY CRUEといったヘアメタルバンドのカバーが中心で、2015年10月には『LOUD PARK』出演のために初来日も果たしました(これが4回目のライブだったとか)。実際、僕も会場で見ましたが、上記2組に加えてDEF LEPPARDやBON JOVI、デヴィッド・リー・ロス、GUNS N' ROSES、SKID ROW、VAN HALENといった有名バンドの代表曲を披露して会場を沸かせました。いや、沸かせたっつうか単なるカラオケ大会と化してましたが(笑)。
で、この来日直前に制作されたのがこのEPで、本作には上記のライブで披露された楽曲は1曲も入っていないという有様(笑)。音源は結構マジ気味の選曲で、コリー・ハート「Sunglasses At The Night」、パット・ベネター「Promises In The Dark」、リトル・スティーヴン「Out Of The Darkness」、SIMON & GARFUNKEL「Hazy Shade Of Winter」(の、THE BANGLESバージョン)などHR/HMとはかけ離れたセレクト。“こっち側”の楽曲はオジー・オズボーン「Waiting For Darkness」くらいで、これにしても選曲は非常に地味&マニアック。
あと、僕が原曲を知らなかった2曲(THE VERONICAS「Untouched」、METROPOLIS「The Darkest Side Of The Night」)も含まれています。THE VERONICASはオーストラリアの女性デュオで、エレポップやパワーポップをベースに活動。この「Untouched」は2007年に全米17位、全英8位のヒットを記録しています。もうひとつのMETROPOLISはカナダのSSWスタン・マイスナーによるハードロックバンドで、「The Darkest Side Of The Night」は2000年にリリースされた唯一のアルバム『THE POWER OF THE NIGHT』の収録曲。もともとは映画『13日の金曜日 PART9 ジェイソンN.Y.へ』(1989年)のために制作されたものでしたが、当時はリリースされることなく、音源としては先のアルバムで初めて正式発売されています。この曲も“こっち側”でしたね。
どの曲も原曲に忠実にカバーされているので、オリジナルバージョンを知っている人ならすんなり入っていけると思います。コリー・ハートの曲なんて、しっかりシンセのリフも再現していますし。それにしてもこの曲、ハードロック調演奏が加わると、完全にヘアメタル/スタジアムロックに化けるんですね。驚きと同時に、やっぱりいい曲だなと再認識しました。
とにかくオリー・ヘルマンのボーカルがよろしいんです。適度なハスキーさと甘さがあり、こういったヘアメタルに最適。ってRECKLESS LOVE自体そっち側ですしね。アレキシもギタリストに徹しているものの、自身のメインバンドとは異なりボーカルを立てて一歩退いてる感が伝わってくる。このバランス感も絶妙ですね。
個々のエゴを押し出すよりも、原曲の良さを引き立てつつ演奏を楽しむ。遊びの延長だからこそ成し得た奇跡の1枚だと思います。どうせならヘアメタルバンドをカバーした盤も聴きたかったなあ……。
▼THE LOCAL BAND『LOCALS ONLY - DARK EDITION』
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