MANIC STREET PREACHERS『I LIVE THROUGH THESE MOMENTS AGAIN AND AGAIN: DUETS 1992-2021』(2021)
2021年11月30日に公開されたMANIC STREET PREACHERSのオフィシャルプレイリスト。Spofifyのみで配信中。
メジャーデビュー30周年という記念すべきタイミングであった2021年、マニックスは最新オリジナルアルバム『THE ULTRA VIVID LAMENT』をリリースするのみにとどまりました。しかしその結果、同作は『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』(1998年)以来23年ぶりに全英1位を獲得することとなりました。
そういったアニバーサリーイヤーに記念碑的作品を生み出すことができたバンドは、あえてフィジカルアイテムを制作するのではなく、サブスクリプションサービスのプレイリストを複数制作するという今ならではの手法で30年のまとめに入ることになります。
その1作目として発表されたのが、このデュエット曲/コラボ楽曲をひとまとめにしたコンピレーションアルバム的プレイリスト。1stアルバム『GENERATION TERRORISTS』(1992年)における「Little Baby Nothing」(withトレイシー・ローズ)を筆頭に、THE CARDIGANSのニナ・パーソンを迎えたヒット曲「Your Love Alone Is Not Enough」やECHO & THE BUNNYMENのイアン・マカロックをフィーチャーした「Some Kind Of Nothingness」、最新作からの「The Secret He Had Missed」や「Blank Diary Entry」(前者はジュリア・カミング、後者はマーク・ラネガンが参加)など、バンドの歴史をコラボレーションという側面から総括する内容に仕上がっています(収録曲の詳細はオフィシャルサイトにて確認を)。
この中には、マニックスのオリジナルアルバム未収録だった貴重なテイクも複数存在します。その中にはトム・ジョーンズのアルバム『RELOAD』(1999年)でジェイムズ・ディーン・ブラッドフィールド(Vo, G)がゲスト参加した「I'm Left, You're Right, She's Gone」、サラ・クラックネルのアルバム『RED KITE』(2015年)でニッキー・ワイヤー(B, Vo)が客演した「Nothing Left To Talk About」といったマニックスの作品外の楽曲や、SUPER FURRY ANIMALSのグリフ・リース(Vo)がリードボーカル&アコースティックギターで参加したライブ音源「Let Robeson Sing」のようなレアテイクも含まれており、アルバム以外にまで手を伸ばせなかったライト層にもうれしい内容となっています。
この中には特筆すべき1曲も含まれています。それが、ウェールズ人アーティストのグウェノーをフィーチャーした「Spectators Of Suicide」です。同曲はもともと1991年のシングル「You Love Us」のHeavenlyバージョン(インディーズ盤)に含まれていたもので、のちに『GENERATION TERRORISTS』で別アレンジにて収録されています。今回のコラボバーバージョンは昨年12月に海外で出版された書籍『BELIEVE IN MAGIC: THE FIRST 30 YEARS OF HEAVENLY RECORDINGS』のために新たにレコーディングされた音源で、このプレイリスト公開にあわせてサブスクでも聴けるようになりました。この非常にレアな再録バージョンを聴けるだけでも、本プレイリストの価値はかなり高いと言えるでしょう。
▼MANIC STREET PREACHERS『I LIVE THROUGH THESE MOMENTS AGAIN AND AGAIN: DUETS 1992-2021』
マニックスはこれ以外にも、最新作『THE ULTRA VIVID LAMENT』のイスパイア元となる楽曲を集めたプレイリスト『THE ULTRA VIVID LAMENT - INSPIRATIONS & INFLUENCES』も公開中。ABBAやラナ・デル・レイ、THE GO-BETWEENS、サイモン&ガーファンクル、BIG THIEF、ニーナ・シモン、NICK CAVE & THE BAD SEEDSなどバラエティに富んだ28曲を楽しむことができます。こちらも新作の副読本として、あわせて楽しんでおきたいところです。