WIG WAM『NEVER SAY DIE』(2021)
2021年1月22日にリリースされたWIG WAMの再結成第1弾アルバム(通算5作目)。
ノルウェー出身のグラムメタル/ヘアメタルバンドWIG WAMは本国のみならず、ここ日本でも高い人気を誇る存在。2014年3月に一度解散するものの、2019年11月に再結成・再始動をアナウンスしますが。そして、2020年10月下旬に新曲「Never Say Die」のMVを公開すると同時に、翌2021年1月に同曲をアルバムタイトルに冠したニューアルバムをリリースすることをアナウンスしました。
グラム(Vo)、ティーニー(G)、フラッシュ(B)、スポーティー(Dr)という解散前と変わらぬ布陣で制作された今作は、結果としてラストアルバムとなった『WALL STREET』(2012年)から約9年ぶりのオリジナルアルバム。2000年代に登場した時点で「80年代のグラムメタルを彷彿とさせるビジュアルと、古き良き時代の王道ハードロック」という時代錯誤な存在だっただけに、解散から7年経とうが何しようがその音楽性やスタイルは普遍なわけです。つまり、本作でも「80's Metal Forever」なスタイルでクールなハードロックをかましてくれています。
タイトルトラック「Never Say Die」でバンドの復活を高らかに宣言すると、キラキラしたサウンドとメロディが心地よい「Hypnotized」「Shadows Of Eternity」でその気持ちをさらに高揚させ、ブルージーかつ壮大なノリを持つミディアムテンポの「Kilimanjaro」(タイトル……笑)で気づけば一緒にシンガロングしている自分に気づく、という。初めて聴いた曲でも初めて聴いた気がしない、80's HR/HMをトレースしつつメロディの良質さにこだわった楽曲群は、今回も我々を存分に楽しませてくれます。
中盤ではゴリっとした「Where Does It Hurt」、王道パワーバラード「My Kaleidoscope Ark」、拳を突き上げたくなるヘヴィなミドルチューン「Dirty Little Secret」や「Call Of The Wild」などで、前半からの高揚感を持続させつつ、ティーニーによる泣きメロ満載のソロプレイをたっぷりフィーチャーしたインスト「Northbound」でひと呼吸置き、ラストはスウィング感が加わったミディアムヘヴィ「Hard Love」、シンガロング必至のパワーバラード「Silver Lining」で締めくくり。日本盤にはさらに2ndアルバム『WIG WAMANIA』(2006年)収録の「Dare Devil Heat」の再録バージョンが追加され、爽快感を味わったままアルバムを聴き終えることができます。
ラストアルバム『WALL STREET』ではダークな側面も打ち出し始めたものの、楽曲の出来がイマイチだったこともあり好意的には受け入れられませんでしたが、そういった失敗も新作では見事な形で昇華されているのではないでしょうか。全体を覆う(以前よりも)硬派なイメージは、そういった経験から得た新たな個性と受け取ることもできるでしょう。そういった意味でも8〜9年のブランクは解散してでも必要だったのだなと実感させられる、問答無用の“最高の復活作”です。
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