NERVOSA『PERPETUAL CHAOS』(2021)
2021年1月22日にリリースされたNERVOSAの4thアルバム。
NERVOSAはブラジル・サンパウロ出身の女性スラッシュ/デスメタルバンド。2010年の結成から着実に経験を重ねていき、2014年にNapalm Recordsと契約して以降はヨーロッパを中心に人気を集めてきました。もともとメンバーチェンジの激しいバンドではありましたが、昨年プリカ・アマラル(G)以外のメンバーが全員脱退。新たにディーヴァ・サタニカ(Vo)、ミア・ウォラス(B)、エレニ・ノタ(Dr)という3人が加わり、ベース/ボーカル兼任から専任ボーカル、専任ベースを得たことで4人編成となりました。
ミア・ウォラスのみ知名度のそこそこ高いメンバーで、彼女は過去にABBATHやTRIUMPH OF DEATHなどで活躍した経歴の持ち主。また、ディーヴァ・サタニカもBLOODHUNTERというスペインのメロディック・デスメタルバンドで活動した経験の持ち主。吐き捨てるようなボーカルスタイル、イカしてます。
過去3作をすべて聴いているわけではないので、前作『DOWNFALL OF MANKIND』(2018年)との比較にとどまってしまいますが、全体の録音バランスやミックスは非常にブライトにまとまっており、この手のバンドにありがちな「音が潰れて各楽器の音が聴き取れない」「ドラムがチープ」という難点も見当たらず、非常に聴きやすい仕上がりと言えるでしょう。また、楽曲も幾分かレベルアップしているように見受けられますし、全体的にクオリティが向上したことは間違いないようです。
全曲2〜3分台という潔い曲構成も、性別を超越した残虐さとアグレッションを骨の髄まで味わうことができる直線的な攻撃性にぴったり。デスメタルやブラックメタルを経由しながらもオールドスクールなスラッシュメタルの魅力もしっかり維持した全力疾走スタイルは、間違いなく新旧スラッシュメタルファンを魅力するはずです。こういう作品は難しいことを考えず、爆音で頭を振るに限ります。
「Until The Very End」にはギルハーム・ミランダ(ENTOMBED A.D.)がギターで、「Genocidal Command」にはシュミーア(DESTRUCTION)がボーカルで、「Rebel Soul」にはエリックA.K.(FLOTSAM AND JETSAM)がボーカルでそれぞれゲスト参加して、アルバムに華を添えています。このへんのつながりからも、NERVOSAというバンドがどこを目指しているのか、どのへんのシーンにいるのかがご理解いただけるかと思います。
これらゲストアーティストが所属するバンドのファンも、間違いなく気に入るであろう本作。これを機に、NERVOSAの日本での知名度がさらに高まることを期待しています。
▼NERVOSA『PERPETUAL CHAOS』
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