CLEANBREAK『COMING HOME』(2022)
2022年7月8日にリリースされたCLEANBREAKの1stアルバム。
CLEANBREAKはジェームズ・ダービン(Vo/DURBIN、ex. QUIET RIOT)、マイク・フリンツ(G/RIOT)、ペリー・リチャードソン(B/STRYPER、ex. FIREHOUSE)、ロバート・スウィート(Dr/STRYPER)という面々で結成されたスーパーバンドのひとつ。「RIOTやFIFTH ANGELのような伝統的アメリカン・ヘヴィメタルへのオマージュ」をテーマに、時代錯誤な80'sヘヴィメタルを現代に昇華させた(というよりも蘇らせた)ようなピュアメタルが、アルバム全編にわたり展開されています。
ジェームズ・ダービンは短期間QUIET RIOTに在籍したものの、もともとはオーディション番組『アメリカン・アイドル』でJUDAS PRIESTを歌うような生粋のメタル野郎。昨年リリースされたDURBINでのアルバム『THE BEAST AWAKENS』(2021年)でも骨の髄までピュアなメタルを追求していました。このCLEANBREAKはその延長線上にあるもので、個人の名前を打ち出すよりも“バンドのひとり”に徹してDURBINでの世界観を追求した、というのが正しいかもしれません。
楽曲自体は良くも悪くも「ああ、なるほどね(笑)」とニヤニヤしてしまう、王道感の強いUSヘヴィメタル。スピードよりもヘヴィさにこだわったミドルチューン中心で、ダービンのパワフルで伸びやかなボーカルを活かしつつ、熟練メンバーたちが安定感の強い演奏を聴かせています。個々が参加するバンド(RIOT、STRYPERなど)との共通点も見られますが、アレンジにはよい意味で“2000年代以降”の質感も散りばめられています。
ですが、そのへんは本当に味付け程度といったところで、やっぱり軸になる楽曲が往年のUSメタルを彷彿とさせるものなので、新しさ以上に懐かしさが伝わる内容かな。「We Are The Warriors」なんていかにもなタイトル(笑)の楽曲は、80年代前半〜半ばに耳にしたらきっと夢中になったであろう名曲。「The Pain Of Goodbye」も同系統の良曲ですね。
スピードチューン「Still Fighting」もそのクサさに思わず苦笑してしまいますが、モダンメタルなんてもってのほか!と思っている一部の層にはキラーチューンとして響くのではないでしょうか。ホント、35〜40年前の中学生時代にこれ聴いたら一発でハマッたと思います。ですが、今は2022年。こういったスタイルをこの時代に追求するこだわりも理解できますが、個人的にはどうしてもノスタルジックになってしまいます。そこだけは、どうしても譲れないかな。
どの曲も非常によく出来ていますし、驚きや刺激は皆無ですが安心して楽しめる1枚。腐した言い方になってしまいますが、「大人のヘヴィメタル」と呼んでしまいたくなる、ある一定層には安定の良作ではないでしょうか。僕も進んで毎日聴くような内容ではないものの、たまにふとしたときに聴いて「こういう時代も良かったな」と過去を懐かしんでみたいと思います。
▼CLEANBREAK『COMING HOME』
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