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カテゴリー「Joel Hoekstra's 13」の8件の記事

2022年11月18日 (金)

CHIP Z'NUFF『PERFECTLY IMPERFECT』(2022)

2022年3月18日にリリースされたチップ・ズナフENUFF Z'NUFF)の2ndソロアルバム。

GUNS N' ROSESのスティーヴン・アドラー(Dr)とタッグを組んだEP『ADLER Z'NUFF』収録の5曲をボーナストラックとして追加した全15曲入り1stアルバム『STRANGE TIME』(2015年)から、約2年ぶりの新作。前作がCleopatra Recordsからだったのに対し、今作は本家ENUFF Z'NUFFと同じくFrontiers Musicからのリリースとなり、日本盤もAvalon Lebelから同タイミングに発表されています。

気心知れた仲間たちとスタジオに集まって制作された前作と異なり、今作では多くのパートをチップ自身が担当。ドラムのみリック・ニールセン(G/CHEAP TRICK)の実子であり現在CHEAP TRICKで叩いているダックス・ニールセン、そして元GUNS N' ROSESのスティーヴン・アドラーが大半の楽曲でプレイし、ラストのMOTT THE HOOPLEカバー「Honaloochie Boogie」のみENUFF Z'NUFF現メンバーのダニエル・ヒルが叩いております。また、「Welcome To The Party」ではWHITESNAKEの一員でありJOEL HOEKSTRA'S 13ではレーベルメイトとなるジョエル・ホークストラ(G)がギターをプレイしています。

基本路線は前作『STRANGE TIME』……というか、現在のENUFF Z'NUFFとなんら変化はありません。なので、従来のENUFF Z'NUFFファンおよびチップVo体制移行後の彼らが好きなリスナーなら、問答無用で楽しめる1枚だと思います。それくらい「ソロでやる必要、ある?」って疑問に感じてしまう1枚。

ただ、視点を変えると「曲自体はENUFF Z'NUFFそのものだけど、演奏に関しては地味で突出したものが感じられない」と受け取ることもできる。ドラムは別として、上モノ(ギターなど)で個性を発揮しているのは先のジョエルがゲストプレイヤーとして参加した「Welcome To The Party」くらい。なもんで、優しい曲と優しい演奏(退屈とは言いませんが……)の連続でスルスル聴き進められて、気づいたら終わっている。しかも、特に大きな引っ掛かりもなく。そこだけがマイナスポイントかな。

ただ、そういった緩やかな方向性は今のチップの歌声にフィットしているのも事実。ドニー・ヴィが歌えばトゲの備わった良曲集という趣で楽しめるかもしれませんが、こういうチップらしいテイストもアリっちゃあアリだと思えるようになったのは収穫とも言えるかな。

1986〜7年頃にデモが制作されたENUFF Z'NUFFの未発表曲「Heaven In A Bottle」(当然ドニーとの共作)や、穏やかかつおおらかなメロディが印象的な「I Still Hail You」、ダークさが目立つ「Heroin」、カバーというよりはコピーに近い「Honaloochie Boogie」など特筆すべき楽曲も多く、実はENUFF Z'NUFFの最新作『FINER THAN SIN』(2022年)と対で語られるべき1枚かもしれません。

 


▼CHIP Z'NUFF『PERFECTLY IMPERFECT』
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2022年11月 1日 (火)

V.A.『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』(2015)

2015年3月3日にリリースされた、ランディ・ローズ(G/ex. OZZY OSBOURNE、ex. QUIET RIOT)のトリビュートアルバム。日本盤は同年3月25日発売。

ランディのトリビュートアルバムは、過去にオジーの楽曲のみを集めた『RANDY RHOADS TRIBUTE』(2000年)が発表されていますが、今作は1970年代のQUIET RIOT時代の楽曲も含む選曲。また、前作がピュアなHR/HM系アーティストによるものなら、今作はランディと同時代に登場したミュージシャンや活動を共にしたアーティスト、90年代以降のモダンなメタルを奏でるミュージシャンなど、より幅広さを感じさせる人選となっています。

まあとにかく、オープニングの「Crazy Train」を聴いて多くのリスナーがひっくり返るのではないでしょうか。だって、ボーカルがサージ・タンキアンSYSTEM OF A DOWN)、ギターがトム・モレロRAGE AGAINST THE MACHINE)ですからね。正統派メタルリスナーやランディを妄信的に愛する方からは非難の嵐じゃないかな(苦笑)。ただ、個人的にはサージのボーカルにはオジー愛を感じたし、トムのギターもただコピーするんじゃなくて自分らしさを貫きながらランディのスタイルを表現しようとする強い意志も伝わりましたが、いかがでしょうか。

その後も、シンガーはオジーやケヴィン・ダブロウをコピーしつつ(ほとんどティム・リッパー・オーウェンズですが。笑)、ギタリストたちはランディの印象的なフレーズを随所に残しつつ、各々の個性を発揮させる。原曲レイプだ、けしからん!と怒る気持ちもわかりますが、だったらそもそもトリビュートアルバムだのカバーアルバムだの聴かないほうがいいし、これくらい遊んでくれるから聴きがいもあるわけで。個人的にはどれくらい原曲を“壊す”かが楽しみなわけで、そういう意味では本作は……ギターに関しては及第点だけど、それ以外のパートや楽曲アレンジに関しては普通すぎるかな。

そんな中、己を突き通しまくるチャック・ビリー(TESTAMENT)による「Mr. Crowley」が、サージ歌唱の「Crazy Train」並みによかったな。この曲では、今は亡きアレクシ・ライホ(G/BODOM AFTER MIDNIGHT、ex. CHILDREN OF BODOM)の泣きまくりギターも楽しめるので、なお良し。あと、ジョエル・ホーケストラ(G/WHITESNAKE)が頑張りまくりの「Killer Girls」も悪くなかったな。

逆に、実際にオジーバンドに在籍した経験を持つガス・G.(FIREWIND)による「Goodbye To Romance」や、ブラッド・ギルス(NIGHT RANGER)による「Suicide Solution」が、ランディ云々よりも自分らしさ全開なのが笑えます。特にガス・G.、君はやりすぎだ(笑)。

まあ、あれです。こういったカバーアルバムやトリビュートアルバムはマジになりすぎないのが一番。笑いながら「お、意外と良いじゃん」「いやいや、それはないでしょ」とかツッコミ入れつつ楽しむのが、精神衛生上もっとも好ましいと思います。

なお、本作はサブスクでも配信されていますが、2015年のCD/アナログ盤と曲順が若干異なっているのでご注意を(オリジナルの曲順はこのあたりでご確認いただけます)。

 


▼V.A.『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』
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2022年7月13日 (水)

NIGHT RANGER『HIGH ROAD』(2014)

2014年6月10日にリリースされたNIGHT RANGERの10thアルバム(“MOON RANGER”と呼ばれる特殊編成で1995年にリリースした『FEEDING OFF THE MOJO』を含めると11枚目)。日本盤は同年5月21日先行発売。

ジャック・ブレイズ(Vo, B)、ケリー・ケイギー(Vo, Dr)、ブラッド・ギルス(G)、ジョエル・ホークストラ(G)、エリック・レヴィー(Key)という布陣による、『SOMEWHERE IN CALIFORNIA』(2011年)に続く2作目のスタジオアルバム。原点回帰ともいえる王道アメリカンハードロックが展開された前作の流れを汲む作風で、前作の79位には及ばなかったものの全米で最高105位という数字を残しています。

タイトルトラック「High Road」に見られるように、全体を通してミディアムテンポ中心で若干落ち着いた感が強いテイストですが、1曲1曲の作り込みは前作以上。どの曲も基本的にジャック/ブラッド/ケリーのオリメン3人によるもので、ジョエルは「I'm Coming Home」「L.A. No Name」の2曲のみ、エリックは「Don't Live Here Anymore」「Only For You Only」「Brothers」の3曲に名を連ねています。

王道感の強いポップロック調のタイトルトラック、ミドルテンポのハードロック「Knock Knock Never Stop」と序盤はアゲるテイストではないものの、3曲目「Rollin' On」での起伏に富んだアレンジで一気に熱量が高まる。バラードとまではいかないムーディーな「Don't Live Here Anymore」、比較的アップテンポ寄りのポップロック「I'm Coming Home」と、前半はかなりバラエティに富んだ楽曲が並びます。なんとなくですが、印象的には3作目『7 WISHES』(1985年)に似ているような。ただ、バラードで勝負している感があまり前面に出ていないところは今作の良いところかな。

後半は豪快なロックチューン「X Generation」で勢いを付けたかと思うと、彼ららしいピアノバラード「Only For You Only」でワンクッション起き、ミドルヘヴィの「Hang On」、流麗なギターフレーズが耳に残るハードチューン「St. Bartholomew」、ビートルズチックなサイケさをはらんだポップバラード「Brothers」とジョエルのアコギプレイを全面にフィーチャーしたインスト「L.A. No Name」でしっとりと締めくくります。

全体を通して「あれ、このフレーズ聴いたことあるぞ?」と思う瞬間が多々あるものの、どれも単なる焼き直しでは済まない良質な仕上がりで、前作で再び手に入れた“NIGHT RANGERらしさ”を見事に更新できているのではないでしょうか。今聴くと、実は何気に完成度の高い良盤であることに気付かされます。

ただ、リリースから間もなくしてジョエルが突如バンドを脱退し、WHITESNAKEに移籍するというひと波乱が起こり、このアルバムやジョエルに対してネガティブな感情が付いて回るようになりました。それもあって、しばらく本作に対して正当な評価を下せていなかった気がします。これは再結成後のアルバムで3本指に入る良作。ごめんよジャック、ケリー、ブラッド、エリック(ジョエルには謝らないスタイル)。

 


▼NIGHT RANGER『HIGH ROAD』
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2021年2月21日 (日)

JOEL HOEKSTRA'S 13『RUNNING GAMES』(2021)

2021年2月12日にリリースされたJOEL HOEKSTRA'S 13の2ndアルバム。日本盤は同年2月19日に発売。

その名の通り、JOEL HOEKSTRA'S 13は元NIGHT RANGER/現WHITESNAKEのジョエル・ホークストラ(G)によるソロプロジェクト。2015年に1作目『DYING TO LIVE』を発表しており、本作が約5年ぶりの新作となります。

前作ではラッセル・アレン(Vo/SYMPHONY X、ADRENALINE MOB)、ジェフ・スコット・ソート(Vo/SOTO、W.E.T.、SONS OF APOLLOなど)、ヴィニー・アピス(Dr/ex. BLACK SABBATH、ex. DIOなど)、トニー・フランクリン(B/ex. BLUE MURDER、ex. WHITESNAKEなど)が固定メンバーでしたが、今作ではそこに前作でのゲストメンバーだったデレク・シェリニアン(Key/BLACK COUNTRY COMMUNION、SONS OF APOLLO)を加えた編成にバージョンアップ。が、ジェフは今作ではリードボーカルではなくバック・ボーカルとしてクレジットされています(メインでまるまる1曲歌うようなことはありませんが、要所要所でジェフらしい歌声も聴こえてきます)。

実は僕、前作は聴いておりません。なので、ここは本作のみを聴いた率直な感想を書き残しておきたいと思います。

正直、ジョエルというギタリストに対する音楽的印象がほぼなく接したのですが(むしろ、NIGHT RANGERがいい感じに再浮上し始めた時期にWHITESNAKEに鞍替えしたことを根に持っており、ネガティブな印象が強かった)、オープニング「Finish Line」を聴いたときは「ああ、最近のWHITESNAKEにありそうな曲だな……『FLESH & BLOOD』(2019年)の元凶はお前か……っ!」と思ったものの、曲が進むにつれて……まあモダンなWHITESNAKE的な産業ロック調の楽曲もあるにはあるものの、それよりも本作の軸になっているのはいわゆる“メロハー(メロディックハードコア……じゃない、メロディックハードロック)”、それも欧州寄りの湿り気を残したメロハーなのかなと。4曲目「How Do You」あたりに到達して、そう感じました。

そうと気づいてからは、「Heart Attack」のような曲を聴いても「ああ、そういう北欧メロハーバンドいるよねー」と好意的に受け取ることができるように。人の印象っていい加減というか、自分の中で引っかかる点を見つけられたらあとは可能な限りポジティブに受け取ろうとするんですね、「ジョエル、本当はこういうのやりたいんだ……じゃあWHITESNAKEは出稼ぎみたいなもんか!」とか(後半は違うな)。すごく聴きやすい、良質なメロディアスハードロックをたっぷり楽しめる1枚ではないでしょうか。本当に悪い印象はないです、平均点以上の楽曲ばかりですし。聴いていて楽しいし。

でも、そこまでというのもまた事実。正直な話、「これ!」という90点超えのキラーチューンが1曲だけでもあれば、さらに良い印象なんだけど。全曲70〜80点前後。「Cried Enough For You」あたりはいい線行ってるんだけど、もう一歩なんだよなあ……もちろん、全編においてこれだけのクオリティを保てていること自体すごいことなんですけどね。ただ、加えてギタリストとしての個性も……うん。結局、ソングライターとして大成したいのか、ギタリストとして出世したいのか、そのどっちも中途半端な印象を受けてしまうんですね。だから、これだけ豪華なメンツを揃えていても、そこまでスペシャルな印象を受けない。すべてにおいて「あと一歩」と感じてしまう勿体なさ。そこだけが本当に残念です。

何も考えずに楽しむには申し分のない1枚。ただ、年間ベストクラスではないかな。好きな人にはたまらないと思いますが、僕はたまに聴くくらいで丁度よい佳作かなと。コンスタントに続けるのなら、次に期待したい。それくらいには注目を続けておきます。

(改めて読み返してみたけど、比較的ネガティブに受け取れますよね。でも、僕的にはかなりポジティブに受け取った1枚です。そもそも気に入らなかったら紹介してないですからね!)

 


▼JOEL HOEKSTRA'S 13『RUNNING GAMES』
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2019年11月13日 (水)

MICHAEL SWEET『TEN』(2019)

2019年10月上旬にリリースされた、マイケル・スウィートSTRYPER)の8thソロアルバム。日本盤は1ヶ月遅れて、同年11月上旬に発売されています。

タイトルは10作目を表すってことで『TEN』なのかな。ジョージ・リンチとのSWEET & LYNCH名義の2作を含めると10作目ですしね。にしてもこの人、2013年から毎年何かしらアルバムを発表しているんですよね。2013年はSTRYPERで2作(リメイクアルバム『SECOND COMING』とオリジナルアルバム『NO MORE HELL TO PAY』)、2014年はソロアルバム『I'M NOT YOR SUICIDE』、2015年はSWEET & LYNCHで『ONLY TO RISE』とSTRYPERで『FALLEN』、2016年はソロ名義の『ONE SIDED WAR』、2017年がSWEET & LYNCHでの2作目『UNIFIED』、2018年はSTRYPERの最新作『GOD DAMN EVIL』、そして今年はこのソロアルバム。老いてなお盛ん。

さて、今回のソロアルバムですが、全12曲中11曲にフィーチャリングアーティストとしてゲストプレイヤーを迎えて制作しています。その内訳もジェフ・ルーミズ(G / ARCH ENEMY)、Marzi Montazeri(G / EXHORDER、ex. PHILIP H. ANSELMO & THE ILLEGALS)、ガスG.(G / FIREWIND)、ジョエル・ホークストラ(G / WHITESNAKE、ex. NIGHT RANGER)、トレイシー・ガンズ(G / L.A. GUNS)、リック・ワード(G / FOZZY)、トッド・ラ・トゥーレ(Vo / QUEENSRYCHE)、ウィル・ハント(Dr / EVANESCENCE)などと、とにかく豪華なメンツ。思えば前作『ONE SIDED WAR』にもウィル・ハントやジョエル・ホークストラは参加していたので、おなじみのメンツって感じですかね。

本作、元々は10曲入りの構成が基本で、「With You Till The End」と「Son Of Man」の2曲がボーナストラック扱いだったので、本来は10曲入りだから『TEN』って意味だったのかな。今となってはどうでもいい話ですが。

気になる中身ですが、2曲を除いてすべてマイケル・スウィート単独で書き下ろしたオリジナル曲。残り2曲もマイケルとジョエル・ホークストラとの共作なので、まあ全曲マイケルのオリジナルと言い切っても間違いではないでしょう。なので、従来のソロ作品の延長線上にある“メタリックで、かつポップで親しみやすいHR/HM路線”をキープしています。ファストナンバーやミドルヘヴィ、バラードとバランスよく配分されており、どの楽曲もツボを心得た作風です。が、最近のSTRYPERよりもシンプルさが際立つ楽曲が多い印象も。そこで好き嫌い(いや、嫌いはないな。好みから外れるくらいか)が分かれるかも。

ゲストプレイヤーに関しては……正直、“らしい”ものもあるし、別にクレジットがなければ気づかないといったものもある。セールスのための打ち出し方としては正しいんでしょうけど、個人的にはおまけ程度かな。とにかく曲が良くて、マイケルが力強く歌ってくれたらそれでよし。

そういった意味では、マイケルが関わる作品はどれも好きという人には間違いなく引っかかる1枚だし、STRYPERのように豪華なコーラスを重視するメロハー好きにはちょっと違うかな?と感じるんでしょうか。それはそれとして、純粋によく作り込まれたメロディアスハードロック作品のひとつであることには違いありません。うん、今回も力作でした。

 


▼MICHAEL SWEET『TEN』
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2019年5月11日 (土)

WHITESNAKE『FLESH & BLOOD』(2019)

WHITESNAKE通算12枚目のオリジナルアルバム。スタジオ作品としてはDEEP PURPLEのカバーアルバム『THE PURPLE ALBUM』(2015年)以来となりますが、純粋な新作という意味では『FOREVERMORE』(2011年)から8年も経っているんですね。驚きです。

レコーディングメンバーはデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)、レブ・ビーチ(G / WINGER)、ジョエル・ホークストラ(G / ex. NIGHT RANGER)、マイケル・デヴィン(B)、トミー・アルドリッジ(Dr)、ミケーレ・ルッピ(Key)という布陣。ミケーレ以外は『THE PURPLE ALBUM』制作時と同じメンツですが、あれはカバーアルバムですしね。今回は演奏以上にソングライティング面での才能が大いに求められるわけですから……。

『GOOD TO BE BAD』(2008年)と『FOREVERMORE』ではダグ・アルドリッチ(G / THE DEAD DAISIES、BURNING RAIN)がカヴァーデイルの片腕となり楽曲制作を行い、ファンをそれなりに納得させる楽曲群……つまり、大ブレイクした『WHITESNAKE』(1987年)前後の作風を維持しつつ、初期のブルースロック、ソウルフィーリングを散りばめ、モダンなアレンジを施すことに成功しました。さて、今回はどうでしょう?

本作ではレブとジョエルが初めてソングライティングに参加していますが、全体的には『WHITESNAKE』というよりも続く『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)ジミー・ペイジとの『COVERDALE・PAGE』(1993年)の頃の空気感に近い印象を受けます。

先行リリースされた「Shut Up & Kiss Me」はドライブ感の強いアップテンポのハードロックチューンでしたが、ブリティッシュというよりはアメリカンな音作り&曲調でした。別にジョエルが参加してるからってわけではないけど、ぶっちゃけNIGHT RANGERがやっても違和感ない楽曲といいますか。悪くはないし、むしろいい曲なんだけど「これをWHITESNAKEが今やる意味とは?」と考え込んでしまいました。

その後先行カットされた「Trouble Is Your Middle Name」も「Hey You (You Make Me Rock)」も、印象としては「Shut Up & Kiss Me」と一緒。悪くはないんだけど、このバンドがこういったタイプの楽曲をやる意味ばかりを考えてしまうという。

で、そんな不安を抱えたままアルバムと向き合ったのですが、やはり印象は最初に抱いたものから変わることはありませんでした。

ハードロックアルバムとしては非常に良質だし、即効性の強い曲が多いと思うんです。ちゃんと『FOREVERMORE』までのカラーを引き継いでいるし、曲によっては確かに80年代初頭〜中盤の香りが感じられるものも少しだけど存在する。でも、そこに乗っかるフラッシーなギターソロ……これ、必要?

そう、これなんですよ。『SLIP OF THE TONGUE』時のスティーヴ・ヴァイ(G)を思い浮かべてしまったのです。あそこまでトリッキーではないけど、それにしても……っていうね。

オープニングナンバー「Good To See You Again」は初期WHITESNAKEファンにも引っかかりがあるであろう良曲ですが、続く「Gonna Be Alright」の不思議な感じ……ああ、これがCOVERDALE・PAGEの“幻の2ndアルバム”に収録される予定だった楽曲なのか。ってアウトテイクじゃん(苦笑)。

「Always & Forever」の突き抜けるような能天気さ、「When I Think Of You (Color Me Blue)」のアクのなさは本当に『SLIP OF THE TONGUE』のそれだし、タイトルトラック「Flesh & Blood」もDAMN YANKEESあたりにやらせたいミドルナンバーだし(笑)。

「Crying In The Rain」を彷彿とさせる「Heart Of Stone」は歌メロが弱いし、「Get Up」はもっと泥臭くできなかったのかなと不満が込み上げてくるし。だけど、アコースティックナンバー「After All」は非常に良いと思うんです。結局、こういう肩の力が抜けた楽曲で一番本領発揮するというね、悲しいかな。

で、本編ラストの「Sands Of Time」も『SLIP OF THE TONGUE』的だし……嗚呼。

いや、『SLIP OF THE TONGUE』はそこまで嫌いじゃないですよ。むしろ好きな部類のアルバム。だけど、従来のファンは今これを求めているわけではないし、むしろあれを2019年に焼き直す意味がわからない。リリース30周年だから? え、そんな理由!?

冗談はさておき。やっぱりここ10年くらいのWHITESNAKEの楽曲は、どうもシンセの主張が強すぎて「う〜ん……」と感じてしまうものが多いんですよね。全部が全部必要かな? と思ってしまう。半分くらいシンセなしでもまったく通用すると思うんだけどな。あるいはオルガン主体にするとか。

あ〜〜〜〜っ、なんかモヤモヤする!(苦笑) 無駄に曲が良いから思いっきり貶せないんだよ!(苦笑)

……と、通常の倍以上かけて本作についてああだこうだと述べてみましたが、最終的にはこれを読んだあなたの耳で感じたものがすべてだと思います。ただ、僕は全面的には受け入れられなかった。それだけのことです。

 


▼WHITESNAKE『FLESH & BLOOD』
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2017年2月26日 (日)

WHITESNAKE『THE PURPLE ALBUM』(2015)

2008年に『GOOD TO BE BAD』、2011年に『FOREVERMORE』というオリジナルアルバムを発表し、それぞれ英米で(80年代には及ばないものの)まずまずの成績を残してきたWHITESNAKE。4年ぶりの新作として発表されたのが、デヴィッド・カヴァーデイル(Vo)がDEEP PURPLE在籍時に制作した3枚のアルバム、『BURN』(1974年)、『STORMBRINGER』(1974年)、『COME TASTE THE BAND』(1975年)からセレクトされた楽曲をセルフカバーした通算12枚目のスタジオアルバム『THE PURPLE ALBUM』です。

思えばWHITESNAKEは90年代にも「Soldier Of Fortune」(『STORMBRINGER』収録)をカバーしていましたし、もっとさかのぼれば70年代に「Mistreated」(『BURN』収録)もピックアップしていましたしね。ただ、前者に関しては非常にレアな機会に歌われていただけだし、後者は持ち曲が少ない時期にライブで披露していたという理由があったわけで、そこに変な意味合いはなかったはず。ところが、2000年代に入ってからの再結成では「Burn」からライブを始めたり、その「Burn」と「Stormbringer」をメドレー形式で演奏したりと急にパープル曲が増え始めた。当時はラッキーと思いつつ、「なぜ今パープルよ?」という複雑な心境になったものでした。

そんなですから、このアルバムを制作すると決まったときは、やはりモヤモヤした気持ちに。最近ライブでカヴァーデイルが声出なくなってきてるからチューニング下げまくりなところに、一番若々しかった時代の曲をセルフカバーって……はい、不安しかありませんでした。しかも、本作制作前には2000年代のWHITESNAKEにとって重要な存在だったダグ・アルドリッジ(G)が脱退。替わりに加入したのがNIGHT RANGERのジョエル・ホークストラだっていうんだから……ジョエルにブルースのブの字も感じたいことないし、どちらかというともう1人のギタリスト、レブ・ビーチと同系統だと思っていたので、不安以外のなにものでもありませんでしたよ。

いざ完成した『THE PURPLE ALBUM』は、予想通りチューニング下げまくり。ただ、「Stormbringer」や「Love Child」「The Gypsy」みたいなヘヴィで引きずるようなミドルチューンにはローチューニングは合ってるかな。とはいえ、「Burn」はやっぱり原曲のキーあってこそだという思いが強いし、「Sail Away」のアレンジも凡庸。名曲中の名曲「Soldier Of Fortune」もわざわざチューニング下げなくても歌えたんじゃないかと思うんですが……原曲への思いが強いだけに、ちょっと残念でなりません。

曲によっては新たな解釈が加えられており、“あくまでWHITESNAKEのアルバムですよ”との主張が感じられる。もちろんそれは正しいんだけど、だったらそのテイストの新曲を作れなかったのかなと。オリジナル曲半分、お遊びで新解釈のカバー半分みたいな作品作りもできたはずなのに、ただ曲数が多くて長いアルバムで終わっちゃってる気がします。そして、やっぱりデヴィッドの衰えだけが目立ってしまうという……だからこそ新曲で勝負してほしかったな。

かなりネガティブなことばかり書いてしまいましたが、すべてがすべて悪いというわけではないですよ。上に挙げたようなミドルヘヴィナンバーは原曲に匹敵するカッコよさが感じられたし、なにより個人的には久しぶりに聴いた『COME TASTE THE BAND』からの楽曲がこんなに良かったっけ?という新たな発見もありましたし。このアルバム、20代前半に聴いたっきりだったので、これを機に改めて聴き直そうと思ったくらいですから。そこに気づかせてくれたという点においては、僕にとっても意味のあるアルバムだったのかもしれません。聴く頻度は非常に低いですけどね(苦笑)。

最後に。本作は2012年に亡くなったDEEP PURPLE、WHITESNAKEのキーボーディスト、ジョン・ロードに捧げられた作品とのこと。本当にそうだとしたら、なおさらオリジナル曲を届けてほしかったな……シンガーとしての寿命も(普通に考えたら)この先決して長くはないだけに……という、好きすぎるからこその苦言でした。



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2017年2月12日 (日)

NIGHT RANGER『SOMEWHERE IN CALIFORNIA』(2011)

NIGHT RANGERが2011年初夏に発表した、通算9枚目(“MOON RANGER”と呼ばれる特殊編成で1995年にリリースした『FEEDING OFF THE MOJO』を含めると10枚目)のオリジナルアルバム。再結成後もしっかり参加していたジェフ・ワトソンが脱退し、新たにジョエル・ホークストラ(G)が加わって最初のアルバムになります。と同時に、NIGHT RANGERがついに“らしさ”を取り戻した記念すべき1枚ではないかと思っています。

1996年のオリジナル編成での再結成以降、1人抜け、また1人抜けとメンバーチェンジを繰り返しながら新陳代謝を続けてきた彼ら。一時は新作を10年近くもリリースできない期間もありましたが、ジェフ・ワトソン脱退後にバンドとしてのエンジンに再び火がついたのか、ジャック・ブレイズ(Vo, B)、ケリー・ケイギー(Vo, Dr)、ブラッド・ギルス(G)のオリメン3人に先のジョエル、そしてエリック・レヴィー(Key)という新たな布陣で4年ぶりのオリジナルアルバムを完成させるのです。

いざ完成した本作は、まずオープニングの「Growin' Up In California」でノックアウトさせられます。往年の「(You Can Still) Rock In America」を彷彿とさせる曲調、そしてあの“時代錯誤なシンセ”はないもののイントロのツインリードでぐっと心を鷲掴みにされ、ジャックのボーカルとジャック&ケリーのハーモニー、テクニカルなギターソロの応酬とすべてが“全盛期のNIGHT RANGER”をイメージさせるものばかり。『NEVERLAND』(1997年)も『SEVEN』(1998年)も良かったんだけど、待ってたのはこれなんですよね、うん。

その後もNIGHT RANGERらしい楽曲が続きます。ヘヴィな「Lay It On Me」、軽快かつキャッチーな「Bye Bye Baby (Not Tonight)」、ポップながらお豪快なハードロックチューン「No Time To Lose Ya」、イントロの泣きメロにグッとくるマイナーキーの「End Of The Day」、そしてNIGHT RANGERにとってもうひとつの“大きな武器”である王道パワーバラード「Time Of Our Lives」と、とにかく粒ぞろい。80年代の“バラードバンド”的レッテルを払拭しようと意識したのか、バラードは先の「Time Of Our Lives」のみ。基本的にはキャッチーなメロディを持つアップテンポ〜ミドルテンポのロックナンバーが中心で、彼らが今何をしたいのかが明確に理解できる1枚に仕上がっています。

思えば、バラードはあれだけヒット曲があるんだから、ぶっちゃけ過去の楽曲のみでことが済む気がするし、それだったらロックバンドとしての“今”を形として証明したほうがいいのではないか……きっとそんな思いが強かったんでしょう。「俺たち、まだまだやれるし!」って。「Growin' Up In California」から始まって、ドラマチックでスケール感の大きい「Say It With Love」で幕を降ろす構成もバッチリですしね。

僕自身もこのアルバムを聴いて「NIGHT RANGER、やっぱりイイじゃん!」と改めて思えたし、きっと同じように感じた往年のファンは多かったんじゃないかと信じています。大人の貫禄と「まだまだやれる!」っていう若々しさが混在した良作です。

 


▼NIGHT RANGER『SOMEWHERE IN CALIFORNIA』
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Williams AA= AAAMYYY ABBA Abbath AC/DC Acacia Strain, the Accept Ace Frehley Adam Lambert Adrian Younge Aerosmith AFI After the Burial Afterglow Ahab aiko Air (France) AIR (Japan) AKB48 ALAZEA Alcatrazz Alcest Aldious Alexisonfire Alice Cooper Alice in Chains Allman Brothers Band, the Almighty, the Alter Bridge Altitudes & Attitude Amaranthe American Head Charge American Hi-Fi Amorphis Anaal Nathrakh Anaïs Anchoress, the Anderson .Paak Andrew W.K. 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