ブライアン・アダムスのベストアルバムを総括する(2022年版)
ブライアン・アダムスの最新オリジナルアルバム『SO HAPPY IT HURTS』(2022年)、素晴らしい内容でしたね。この新作を機に、ぜひ若い世代にも彼の名作たちに触れていただきたい(そのためのサブスクリプションサービスですしね)。しかし、数あるオリジナルアルバムのどれから手を出したらいいのか、せっかくならオイシイとこ取りして手軽に楽しみたい! そういう方のために、このエントリーでは複数制作されている彼のベストアルバム/グレイテストヒッツアルバムを簡単に紹介していきたいと思います。
紹介するのは、アーティスト主導で制作された4作品。レーベル主導で販売された『ICON』(2010年)は除外しています。このエントリーを頼りに、どの時代のどの作品が自分に適しているか、吟味してみてください(もちろん、ヒット曲/代表曲の被りが多いので、全部手を出す必要はありません)。
1993年11月2日発売の、ブライアン・アダムス初の公式ベストアルバム(日本盤は同年11月8日発売)。CD1枚モノ。
過去には日本限定で『HITS ON FIRE』(1988年)という2枚組作品(DISC 1が当時の最新作『INTO THE FIRE』、DISC 2に『CUTS LIKE A KNIFE』と『RECKLESS』からのヒットシングルに加え、アルバム未収録のシングルB面曲やライブテイクをコンパイル)が限定販売されましたが、ワールドワイドでのベストアルバムは今作が初めて。全米ブレイクのきっかけとなった3rdアルバム『CUTS LIKE A KNIFE』(1983年)からシングル3曲、メガヒットとなった4thアルバム『RECKLESS』(1984年)からは全米1位を記録した「Heaven」を含む6曲、5thアルバム『INTO THE FIRE』(1987年)からは「Heat Of The Night」1曲のみ、そして当時の最新オリジナルアルバムである6thアルバム『WAKING UP THE NEIGHBOURS』(1991年)からは世界的大ヒット曲「(Everything I Do) I Do It For You」を含む3曲をピックアップ。さらに、本作のみの新曲としてシングルヒット(全米7位/全英2位)もした「Please Forgive Me」が用意されています。
『CUTS LIKE A KNIFE』『RECKLESS』からのヒットシングルは網羅されていますが、『INTO THE FIRE』からは「Hearts On Fire」(全米26位/全英57位)、「Victim Of Love」(全米32位/全英68位)の2曲、『WAKING UP THE NEIGHBOURS』からは「There Will Never Be Another Tonight」(全米31位/全英32位)、「Thought I'd Died And Gone To Heaven」(全米13位/全英8位)、「All I Want Is You」(全英22位)あたりのシングル曲が選外に。かつ、このアルバムと同時期にリリースされ大ヒット中だった、映画『三銃士』の主題歌として制作されたロッド・スチュワート、スティングとのコラボ曲「All For Love」(全米1位/全英2位)も未収録となっています。
『WAKING UP THE NEIGHBOURS』が引き続きロングヒット中だった時期の1枚ということもあり、80年代のブライアンをおさらいするに最適な内容。ブレイク前の1stアルバム『BRYAN ADAMS』(1980年)、2ndアルバム『YOU WANT IT YOU GOT IT』(1981年)は気持ち良いくらいにスルーされているのも納得です。非シングル曲の「Kids Wanna Rock」(『RECKLESS』収録曲)も選ばれていることもあり、本作と『WAKING UP THE NEIGHBOURS』を持っていれば、この時点でのブライアン・アダムズはほぼ網羅できるといったところでしょうか。
実は、このテキストを書き始めて初めて気づいたのですが、先月まで配信されていた本ベストアルバム。いつの間にかサブスクから消えてます。あれ、もしかしてこの時点で企画倒れでは……(汗)。
▼BRYAN ADAMS『SO FAR SO GOOD』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD)
1999年11月15日発売の、ブライアン・アダムス2作目のベストアルバム(日本盤は同年11月17日発売)。CD1枚モノ。
『SO FAR SO GOOD』から6年のスパンを経て制作された本作ですが、その間にオリジナルアルバムは『18 'TIL I DIE』(1996年)と『ON A DAY LIKE TODAY』(1998年)の2枚しか出ておらず、かつ両作ともアメリカではかつてのようなヒットにはつながっていないこともあってか、本ベストアルバムが全米リリースされるのは2001年になってからでした。
全16曲の収録曲のうち『SO FAR SO GOOD』との被りは5曲と意外に少なめで、その内訳は4thアルバム『RECKLESS』から2曲(「Summer Of '69」「Run To You」と地味なセレクト)、6thアルバム『WAKING UP THE NEIGHBOURS』から2曲(「Can't Stop This Thing We Started」「(Everything I Do) I Do It For You」)、1stベストアルバム『SO FAR SO GOOD』から当時の新曲「Please Forgive Me」、アルバム未収録だったブライアン&ロッド・スチュワート&スティングによる「All For Love」(1993年)、7thアルバム『18 'TIL I DIE』から4曲、8thアルバム『ON A DAY LIKE TODAY』から3曲(うち「Cloud Number Nine」は未発表リミックスバージョン)、そして1997年に発表されたライブアルバム『MTV UNPLUGGED』のみ収録の新曲2曲(「I'm Ready」「Back To You」)と、本作のために制作された新曲「The Best Of Me」。『SO FAR SO GOOD』が80年代のUSヒットに寄せたものだとしたら、本作は90年代以降のUKヒットを総括した内容といったところでしょうか。
上記のように『SO FAR SO GOOD』との被りが比較的少ないこともあり、1993年以降の90年代を振り返る意味では非常に手軽な内容と言えます。とはいえ、本作も泣く泣くカットされた90年代のヒット曲が少なくないので、『SO FAR SO GOOD』同様にあくまでビギナー向けの1枚といったところでしょうか。
なお、本作も2022年2月までサブスク上で確認できたものの、気づけば『SO FAR SO GOOD』とともに消えてしまいました。
▼BRYAN ADAMS『THE BEST OF ME』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3)