WITHERFALL『CURSE OF AUTUMN』(2021)
2021年3月5日にリリースされたWITHERFALLの3rdアルバム。日本盤は同年3月10日発売。
WITHERFALLは2013年、ジェイク・ドレイヤー(G/2016〜21年にはICED EARTHにも在籍)とジョセフ・マイケル(Vo/2018年からはSANCTUARYにも参加)を中心に結成された。LA出身のメロディックメタルバンド。2017年10月(日本盤は2018年3月)に1stアルバム『NOCTURNES AND REQUIEMS』を発表しますが、同作完成直前の2016年12月にメンバーのアダム・セイガン(Dr)が悪性リンパ腫により亡くなるという悲劇に見舞われます。しかし、バンドは歩みを止めることなく、翌2018年11月(日本盤は2019年2月)に2ndアルバム『A PRELUDE TO SORROW』をリリース。海外盤リリースと同タイミングとなる同年11月には、KAMELOTのオープニングアクトとして初来日も果たしました。
前作から2年4ヶ月ぶりとなる新作。その間にはHELLOWEEN「A Tale That Wasn’t Right」などのカバー曲を含む8曲入りEP『VINTAGE』(2019年)も発表していましたが、まとまった新曲をたっぷり楽しめるという点では、待望の1枚と言えるでしょう。プロデュースをジェイク&ジョセフ、最近アメリカの国会議事堂乱入の暴動で逮捕されるという話題でその名を広めてしまったICED EARTHのジョン・シェイファーが担当。コロナ禍のロックダウンによりツアー活動が中止され、2020年4月にはジェイク&ジョセフ、アンソニー・クロフォード(B)のオリメンにゲストドラマーとしてマルコ・ミンネマン(Dr)を迎えてスタジオ入りしたとのことです。
オープニングを飾る1分に満たないインスト「Deliver Us Into The Arms Of Eternal Silence」から「The Last Scar」へとなだれ込むドラマチックな流れ、8分半近くにもおよぶ「Tempest」の緩急に富んだアレンジとジェイクのエモーショナルなギタープレイなど、全体を通して激しさと切なさを交互に交えた劇的な演出は過去イチの完成度。かと思えば、アルバムタイトルトラック「Curse Of Autumn」が1分半程度のフォーキーな楽曲ということにも驚かされます(曲終盤で激しさを増し、そのまま次の「The Unyielding Grip Of Each Passing Day」へと続くのですが)。
いわゆるプログレッシヴメタルの範疇に入るバンドなのかもしれませんが、単なるプログレメタルとも一線を画する個性が感じられるし、かといってパワーメタルやネオクラシカル系ともちょっとだけ違う。なんてことを考えていると、終盤に登場する15分超の力作「...And They All Blew Away」に圧倒され、BOSTON「Long Time」をアコースティックテイストで切なくカバーしたテイクで幕を閉じる……ものすごく壮大なアルバムだなあ、と呆気に取られるはずです(笑)。なお、日本盤にはこの「Long Time」のバンドアレンジ・バージョンも追加収録されており、こちらもオススメです。
メロディアスなヘヴィメタルが好きで、適度にプログレッシヴでスラッシーなテイストが好みというリスナーには、うってつけの1枚。長きにわたりじっくり楽しめる良盤です。
▼WITHERFALL『CURSE OF AUTUMN』
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