CAPRA『IN TRANSMISSION』(2021)
2021年4月23日にリリースされたCAPRAの1stアルバム。現時点で日本盤未発売。
CAPRAは2016年、タイラー・ハーパー(G)とジェレミー・ランダッツォ(Dr)を中心に結成されたアメリカ・ルイジアナ州ラファイエット出身の4人組ハードコア/メタルコアバンド。現メンバーはタイラー&ジェレミーのほか、ベン・パラモア(B)と紅一点のクロウ・ロータス(Vo)という構成で、昨年5月に自主制作EP『CAPRA』を発表したあとにMetal Blade Records傘下のBlacklight Media Recordsと契約。本作は同レーベルからの第1弾作品となります。
90年代後半から2000年代初頭のハードコアをベースにしながらも、要所要所にメタルコアの要素を散りばめたしなやかさ、曲の切れ目なく進行するアルバム構成からは近代的なテイストも伝わり、非常に好感が持てる1枚に仕上がっています。曲によってはブラックメタル以降のデスメタル的スタイルも見受けられ、バンドとしてもさまざまなエクストリームメタルから影響を受けていることが伝わります。
クロウ・ロータスのボーカルもグロウルなどに頼ることなく、そのヒステリックな咆哮が他の同系統バンドと一線を画する個性につながっているようにも感じます。このへんは好き嫌いの好みがはっきりしてしまいそうですが、個人的には懐かしさと新鮮さが同居するこのボーカル、非常に好みです。全11曲で32分という程よいトータルランニングも手伝って、終始ハイテンションなボーカルに疲れることもありません。「Mutt」などで聴くことができる男性メンバーのスクリームも良いアクセントとなっているんじゃないでしょうか。
2〜3分台の楽曲の中で複雑に展開するスタイルはこの手のバンドならではで、特に本作は冒頭の「[Exordium]」から5曲目「Torture Ship」あたりまで矢継ぎ早で展開していくので、実質5曲でも実は数10曲体感したかのような錯覚を覚えます。それくらい情報量が多い濃厚な作品なので、尺的にも実はこれくらいがちょうどいいんですよね。
ルーキーならではの前のめり感と、新人とは思えないほどの完成度が共存する本作は、デビューアルバムとしては平均点以上に仕上がりではないでしょうか。ここに誰もが納得するようなキラーチューンがひとつ加わることで、バンドとしてさらに一段高くステップアップできるはずですし、その可能性は十分に秘めている存在だと思います。こういうご時世なのでライブを観て判断することは難しいですが、もしフェスなどを通じて彼らのステージを目にすることができたら、間違いなく知名度が一気に上昇することになるのではないでしょうか。そう思わずにはいられないほどに愛おしい、ここ最近のヘビーローテーション作のひとつです。
▼CAPRA『IN TRANSMISSION』
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