SUNBOMB『EVIL AND DIVINE』(2021)
2021年5月14日にリリースされたSUMBOMBの1stアルバム。
このバンドはSTRYPERのマイケル・スウィート(Vo, G)とL.A. GUNSのトレイシー・ガンズ(G)による最新プロジェクト。ともに80年代半ばから後半にかけて、LAメタルシーンの第一線で活躍したアーティストですが、正統派サウンドのクリスチャンメタル(STRYPER)とアウトローなUSハードロック(L.A. GUNS)がちょっと結びつかないだけに、最初はこの組み合わせに「?」となりました。が、このアルバムで鳴らされているサウドを聴くと「そうか、2人ともルーツはそこだもんね」と、妙に納得させられるものがありました。
随所で2バンドの要素を感じさせつつも、ここで表現されているのはJUDAS PRIESTやBLACK SABBATHからの影響が強いヨーロピアンな正統派ハードロック/ヘヴィメタル。オープニングナンバーの「Life」はSTRYPER的とも受け取れるけど、どちらかというとそのルーツであるJUDAS PRIEST的な香りが強いかな。続く「Take Me Away」は完全にBLACK SABBATHですね。オジー・オズボーン時代ともディオ時代とも受け取れるドゥーミー&ヘヴィなこの曲、昨今のSTRYPERでやっても違和感ないかも。
かと思えば、L.A. GUNSでやりそうな「Better End」もあるんだけど、これもUSハードロック/メタルというよりはヨーロッパの香りが強い。そこにマイケル・スウィートらしい荘厳なハーモニーが加わり、ギターソロでは(おそらくトレイシーによる)豪快さが演出される。うん、こういう曲を歌うマイケル・スウィートも悪くないね。
以降もマイケル&トレイシーの出自やルーツが大胆に表現された王道HR/HMを展開。マイケル・スウィートはソロも悪くないけど、結局パートナーにクセの強いアーティストが付くことでその個性がより際立つので(ジョージ・リンチ然り)、この意外な組み合わせも結果オーライだったと思いました。トレイシーらしいスラッシー&ハードコア的な「Born To Win」も、マイケルの色が加わることで突然変異しているし、かつこんな曲を歌うマイケルも新鮮ですし。作った側も、受け取る我々側もいろいろ得られるものが大きい1枚だと思います。
あと、バラードに関してもマイケル色というよりはトレイシーの色が強いのも、また面白い。「Been Said And Done」は完全にL.A. GUNSでやりそうなテイストですものね。脳内でフィル・ルイスが歌う姿が容易に想像できましたから(笑)。という感じで、STRYPERでもL.A. GUNSでもない(でも、両バンドにもありそうな色もある)面白バンド、どうせならもう1枚くらい作ってほしいなと思います。ここで受けた刺激は、確実に両バンドに持ち帰ることになるでしょうからね。
▼SUNBOMB『EVIL AND DIVINE』
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