VEXED『CULLING CUTURE』(2021)
2021年5月21日にリリースされたVEXEDの1stアルバム。日本盤未発売。
VEXEDは東イングランドのハートフォードシャーにて結成された、男女混合4人組デスコア/メタルコアバンド。詳細な結成時期はわかりませんが、ネットを巡回すると2019年頃から頭角を現し始め、THY ART IS MURDERのCJ・マクマホン(Vo)をフィーチャーした「Elite」で一躍注目度を高めることに。2020年にはNapalm Recordsとの契約がアナウンスされ、「Hideous」「Epiphany」「Misery」などのリード曲配信を経てこのフルアルバム発売まで漕ぎ着けました。
7弦ギターの低音を活かしたプログレッシヴかつテクニカルなメタルコアサウンドと、破壊力抜群な咆哮と時に織り交ぜられる艶やかなクリーントーンがキラリと光る紅一点ミーガン・ターゲット(Vo)のボーカルからは、新人離れした貫禄が伝わります。とても新人とは思えない存在感と完成度の高さは、ぶっちゃけキャリア3作目くらいといったところでしょうか。
リード曲「Hideous」や「Narcissist」「Weaponize」を筆頭としたゴリゴリのデスコアチックなヘヴィナンバーはひたすらカッコいいし、爆音で聴けば聴くほど脳が活性化されそうなほどの破壊力を持っている。かと思えば、「Epiphany」「Misery」「Aurora」などクリーントーンを効果的に活かしたメロディアスな楽曲の存在感も非常に高く、このバランス感は新人の1作目とは思えないほど技巧的。いやいや、完成度高すぎでしょ。
全11曲/38分があっという間に感じられるほど、全体を通して聴いたときの構成が本当によく作り込まれているし、何度繰り返し聴いても飽きがこない。そういった意味でも、先の「キャリア3作目」の例えは間違ってないなと、改めて実感できるはずです。
しかし、少しだけ難癖をつけるならば(別につけなくてもいいんだけど)、新人らしい破天荒さもちょっとは欲しかったなと。変に小慣れた感が感じられるデビューアルバムは、ある意味では素晴らしいんですが、もうちょっと未完成な部分があってもよかったんじゃないかという気もするんです。そうすることで、次作への期待がより高まるでしょうし……まあ、アルバム単位で考えればこれが正解なのは間違いないんですが、バンドを長いスパンで考えた場合少しは未熟さを見せてもよかったのかなと。
もちろん、感じ方はそれぞれ。この指摘も「デビュー作なのに最高傑作」みたいな良作だからこそ出てきたものなので、そこまで気にせずに、純粋に楽しむのが一番かと。まあとにかく、2021年デビュー組では9月にアルバム発売を控えたカナダ出身の女性VoメタルバンドSPIRITBOXと同じくらい高く評価されるべき存在だと思います。
▼VEXED『CULLING CUTURE』
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