OUR HOLLOW, OUR HOME『BURN IN THE FLOOD』(2021)
2021年5月28日にリリースされたOUR HOLLOW, OUR HOMEの最新アルバム。日本盤未発売。
OUR HOLLOW, OUR HOMEはイギリス・サウサンプトン出身の5人組メタルコアバンド。2015年頃からさまざまな音源を発表しておりますが、オリジナルアルバムは『HARTSICK』(2017年)、『IN MOENT // IN MEMORY』(2018年)に続く3作目のようです。
オープニングを飾るタイトルトラック「Burn In The Flood」が示すように、本作はメロディック・メタルコアを軸に、重低音とクランチを効かせたギターとスペーシーなサウンドメイクが印象に残る1枚。ラップメタルを通過したボーカルスタイルはどこか懐かしさを感じさせるものがありますが、全体を通じてUKメタルコアバンドらしさに満ちあふれた安心の内容と言えるのではないでしょうか。
近年はBRING ME THE HORIZONの世界的大躍進を筆頭に、ARCHITECTSの全英1位獲得など明るい話題の多い英メタル/ラウドシーンですが、その中でも彼らはちょっと特殊というか独特な香りが感じられます。それが先の“懐かしさ”にもつながるのですが、それは単にラップメタル以降というだけでなく、1〜2世代前のメタルコア……具体的に言えばFUNERAL FOR A FRIENDあたりの香りがすると言えば、なんとなくおわかりいわだけるでしょうか「Better Daze」なんてまさにその筆頭だし、「Blood」のようなアコースティックバラードが存在するのもなんとなくFFAFに通ずるところがあるし。そこにBRING ME THE HORIZON以降のモダンテイストを散りばめた、いわば英国産メタルコア史のハイブリッド的存在なんじゃないか……そんな気がしています。
だから、新作なのに「ずっと慣れ親しんできた」錯覚に陥るし、不思議と嫌いになれない魅力に満ちている。どこかモサいメロディもFFAF的だし、なのにキラキラしたスペーシーなアレンジはモダンという不思議な感覚もある。で、慣れ親しんできたものだったらすぐに飽きそうなところを、なんだかんだで何度も楽しめる。要は隙なく徹底的に作り込まれているんでしょうね。
また、本作では「Nerv」にオリ・ダンカンソン(THECITYISOURS)、「Remember Me」にRyo(Crystal Lake)、「Children Of Manus」にロキエ・キーオ(ALPHA WOLF)といったゲストシンガーが参加して華を添えています。特に「Remember Me」のカッコよさといったら……たまらんですね。
イギリスからまだまだこういうバンドの良作が定期的に届けられるあたり、アメリカのシーンに比べると依然ロック/メタル健在と思わずにはいられません。間違いなくOUR HOLLOW, OUR HOMEにとって最高傑作と断言できる本作が、高い評価を獲得することを願わずにはいられません。
▼OUR HOLLOW, OUR HOME『BURN IN THE FLOOD』
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