HAMMER KING『HAMMER KING』(2021)
2021年6月11日にリリースされたHAMMER KINGの4thアルバム。
HAMMER KINGは2015年に結成されたドイツ出身の4人組バンド。フロントマンのタイタン・フォックスV(Vo, g)は過去にロス・ザ・ボス(ex. MANOWAR)のバンドで歌っていた経験の持ち主で、当のHAMMER KINGもMANOWARに匹敵する男臭さ満載のパワーメタルを聴かせてくれます。現在のメンバーはタイタン、ジーノ・ワイルド(G)、グラディウス・サンダースワード(B)、ドルフ・アイダン・マカラン(Dr)の4人。
バンド名をタイトルに冠した本作は勝負作のように感じられますが、過去のアルバムから大きな変化は見受けられず。と言っても、この手のバンドに求められるヘヴィでスピード感の強いサウンド&楽曲、ドラマチックなアレンジ、キャッチーなメロディと地を這うようなシンガロングといった必要な要素がすべて揃っており、すべてにおいて“かゆいところに手が届く”1枚と言えるでしょう。
タイタンのボーカルはMANOWARほどいかつくなく(笑)、適度な憂いと繊細さも備わっており、力でねじ伏せるような楽曲にその声が乗ったときにまったく暑苦しさを感じさせません。これはパワーメタルバンドにとってはリスナーの間口を広げるのに一役買う高ポイントだと思うのですが、いかがでしょうか。それとも、生粋なパワーメタルファンからしたら「ヤワい」と感じられるのでしょうか。僕にはこれくらいがちょうど良く、リピートするにも最適なバランス感だと思いました。
疾走感あふれるパワーチューン「Hammerschlag」にはTANKARDのアンドレアス“ゲッレ”ジェレミア(Vo)、EPICAのアイザック・デラハイ(G)、WARKINGSのザ・クルセイダー(G)がゲスト参加。新旧・欧州パワーメタル同盟と言わんばかりの豪華な共演(というか狂演か)を楽しむことができます。また、日本盤のみこの「Hammerschlag」の“HKバージョン”(ゲスト抜きテイク)も収録されているので、ぜひ聴き比べてみることをオススメします。
スピードナンバーとミドルテンポのヘヴィーチューンが交互に並んだ構成含め、最後までスルスル聴き進められてしまう、平均点を軽く超える良作。個人的にはリフワークがIRON MAIDENを彷彿とさせる「Into The Storm」、MANOWAR直系のドラマチック“漢”パワーメタル「King Of Kings」が特にお気に入りです。ピュアなメロディック・ヘヴィメタル/パワーメタルに少しでも興味がある方なら、間違いなく気に入る1枚ではないでしょうか。
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