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カテゴリー「Andy Bell」の7件の記事

2022年4月22日 (金)

bdrmm『BEDROOM』(2020)

2020年7月3日にリリースされたbdrmmの1stアルバム。日本盤は同年7月8日発売。

bdrmm(“bedroom”と読む)は2016年にライアン・スミス(Vo, G)が宅録で制作したデモ音源がラジオで紹介されたことを機に、実弟のジョーダン・スミス(B)らとともに結成された英・ハル出身の5人組バンド。メンバーはスミス兄弟のほか、ジョー・ヴィッカーズ(G)、ダニー・ハル(Synth, Cho)、ルーク・アーヴィン(Dr)で、いくつかのシングルを経て2019年に現在のSonic Cathedral Recordingsと契約して以降、いくつかのEPを経てこのフルアルバムに到達。この春にはRIDEのUKツアーにサポートアクトとして帯同することも決定しています。

アルバムのレコーディングおよびミックスは、バンドと長く活動を共にしてきたFOREVER CULTのアレックス・グリーヴスが担当。シューゲイザーやドリームポップの範疇に含まれるその毒則的なサウンドは、同ジャンルのオリジネーターほどの強い個性は感じられないものの、デビュー作としては十分すぎるほどの完成度を誇る1枚に仕上がっています。

オープニングを飾る「Momo」はほぼインストゥルメンタルと呼んでも差し支えない構成で、いかにもアルバムの1曲目にふさわしい仕上がり。荒々しさや破綻といった要素こそ皆無ながらも、適度な美しさを放ちながら聴き手も自分たちならではの音世界へと導こうとします。だからこそ、続く「Push / Pull」「A Reason To Celebrate」といった楽曲がより個性的に、より力強く響くのではないでしょうか。

SCHOOL OF SEVEN BELLSやM83といったドリーミーなサウンドを武器としたバンドを多数輩出したSonic Cathedral Recordingsらしく、bdrmmの楽曲の多くもその傾向が強く、轟音ギターでかき乱すよりも空間系エフェクトを多用したアルペジオやフレージングでひんやりとした独創的世界を構築していく。「Push / Pull」や「If That What You Wanted To Hear?」などはまさにそういったスタイルの代表例と言えるでしょう。だからこそ、轟音ギターを多用した「If...」のようなスタイルの楽曲が逆に映える結果につながる。

また、「A Reason To Celebrate」にはMY BLOODY VALENTINEがアルバム『LOVELESS』(1991年)で試みたスタイルとの共通点も見受けられ、思わずニヤリとさせられるし、アルバムのおへそ部分に当たる「Happy」「(The Silence)」「(Un)Happy」の流れは起伏こそ大きくないものの、どこかドラマチックさが伝わってくる構成で往年のシューゲイザー作品とリンクしていることにも気づく。全体を通して、過去のオリジネーターたちへのリスペクトも伝わる良心的な内容と言えるかもしれません。

だからこそ、このバンドらしいオリジナリティをいち早く確立させて、ジャンルの壁を超えた存在に成長してほしい。そう願わずにはいられない、今後の飛躍が大いに期待できるデビュー作品です。

なお、日本盤にはボーナストラックとしてアンディ・ベル(RIDE)がGLOK名義でリミックスした「A Reason To Celebrate (GLOK Remix)」を追加収録。こちらも“いかにも”な仕上がりなので、ツアー帯同の件も含めぜひRIDEおよびアンディのファンに届いてほしい1曲(そして1枚)です。

 


▼bdrmm『BEDROOM』
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2022年2月26日 (土)

ANDY BELL『FLICKER』(2022)

2022年2月11日にリリースされたアンディ・ベルの2ndアルバム。日本盤は同年3月16日発売予定。

再結成後のRIDEでの活動が順調な中、デヴィッド・ボウイの死に触発されて2016年1月から初のソロアルバム制作が始まり、2020年10月に『THE VIEW FROM HALFWAY DOWN』というタイトルの処女作をリリースしたアンディ。そこから1年4ヶ月という短いスパンで届けられた本作は、2021年初頭から盟友ゲム・アーチャー(ex. HEAVY STEREO、ex. OASIS、ex BEADY EYE)とともにノースロンドンのスタジオで行ったレコーディングセッションが基盤になっているそうです。

アンディは昨年、EP3部作(4月に『THE INDICA GALLERY EP』、5月に『SEE MY FRIENDS EP』、6月に『ALL ON YOU EP』)をデジタルリリースしたほか、それらを1枚にまとめた『ANOTHER VIEW』もフィジカルリリース。さらにはアンビエント/エレクトロユニットGLOKでの1stアルバム『PATTERN RECOGNITION』も同年10月に発表しています。このコロナ禍(およびロックダウン下での生活)は彼からかつてないほどの創作意欲を導き出しているようです。

なにせこの2ndソロアルバム、全18曲/76分という大ボリューム。前作で展開されたフォーキー&サイケデリックなスタイルをさらに拡張させた、多岐にわたる楽曲群を楽しむことができます。その中には『NOWHERE』(1990年)などRIDEの初期を思わせるポップネス(サウンドはシューゲイザーというよりもドリームポップ的かな)が再燃している「Something Like You」も含まれており、RIDEの3作目『CARNIVAL OF LIGHT』(1994年)で見せたアーシーなスタイルの延長上にあるもの、4作目『TARANTULA』(1996年)で実践したブリットポップ的手法、 さらには近年のRIDEにも通ずるスタイルのものなど、“ソングライター/表現者 アンディ・ベル”のキャリアを総括するような仕上がり。また、「The Looking Glass」のように後期ビートルズのサイケデリアを再現したような、遊び心に満ちた楽曲も用意されており、我々がアンディ・ベルというアーティストに求めるすべてが揃った豪華な1枚と言えるのではないでしょうか。

正直、アルバムとしてのまとまりには欠ける雑多な仕上がりですが、その方向性含めどこかビートルズの『ホワイトアルバム』にも通ずるものがある。あのアルバムがバンド4人がそれぞれやりたい放題やった結果だったのに対し、今作は“初期RIDEのアンディ・ベル”“後期RIDEのアンディ・ベル”“再結成RIDEのアンディ・ベル”、そして“GLOKなどソロキャリアを積み重ねるアンディ・ベル”と4つの顔がめちゃくちゃなバランス感で混在する、トゥー・マッチな内容なのです。まあ、これも単なるこじつけですが(笑)、それくらいアンディが今やりたいことを制限なくやり遂げた結果ということは、このボリュームと内容で一目(耳)瞭然でしょう。

ここまで吐き出したからには、再びバンドに戻っていったときにまっさらな状態でセッションに臨むことができるのではないでしょうか。そういった意味でも、次のRIDEの第一歩が楽しみになる“通過点”のひとつです(とかいって、またすぐにソロ3作目に取り掛かっていそうな気もしますけどね。苦笑)。

 


▼ANDY BELL『FLICKER』
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2021年8月 1日 (日)

OASIS『FAMILIAR TO MILLIONS』(2000)

2000年11月13日にリリースされたOASISのライブアルバム。日本盤は同年11月15日発売。

OASIS初にして活動期間中唯一発表されたライブアルバムは、4thアルバム『STANDING ON THE SHOULDER OF GIANTS』(2000年)を携え実施されたワールドツアーの中から、そのハイライトとなった2000年7月21日のイギリスWembley Stadium公演を軸に収録したもの。レコーディングには参加していないものの、ツアーからメンバーとなったゲム・アーチャー(G/ex. HEAVY STEREO)、アンディ・ベル(B/ex. RIDE、ex. HURRICANE #1)にとって初のOASISの音源となります(スタジオ作品は5thアルバム『HEATHEN CHEMISTRY』より)。

できることなら初期メンバーでのフルライブアルバムも欲しかったなあと思うものの、ゲム&アンディが加わったことで演奏に安定感/安心感が加わったことでまとまったライブ作品の発表に踏み切ったというのもあるんでしょう。もちろん、かのWembley Stadiumをフルハウスにした歴史的ライブという要員も大きいでしょうけどね。

にしても、よりにもよって『STANDING ON THE SHOULDER OF GIANTS』を携えたツアーというのが……。まあ、ゲム&アンディがスタジオレコーディングに参加していないことから、「Go Let It Out」や「Who Feels Love?」はもちろんのこと、アルバムのハイライト的な長尺曲「Gas Panic!」もこの編成でしっかり楽しめるというのはありがたい限りですが。

ちなみに、本作での「Wonderwall」はボーカルテイクのみ同年3月に行われた横浜アリーナ公演から引っ張ってきたものなんだとか。これは、Wembley Stadium公演にてリアム・ギャラガー(Vo)がしっかり歌わなかったため、現存するテイクの中から横アリでのボーカルテイクが選ばれたんだそう。いやいや、横アリだって……ねえ?(苦笑) あと、ラストに収められたビートルズのカバー「Helter Skelter」は2000年4月16日、米・ミルウォーキー州Riverside Theatreからのテイク。貴重な1曲ですね。貴重といえばもうひとつ、本作にはニール・ヤングのカバー「Hey Hey, My My (Into The Black)」も収録されています。

いわゆる代表曲はほぼ網羅されているので、7万人の聴衆による大合唱をフィーチャーした「Wonderwall」や「Cigarettes & Alcohol」「Don't Look Back In Anger」「Live Forever」などもしっかり堪能できます。これを聴いちゃったあとに来日公演に足を運ぶと……特にフェスでは物足りなさを感じていたんですが、それも2005年以降はどんどん解消され、最後の来日となった2009年のフジロックでは大雨の中感動の涙を流したことを今でもよく覚えています。

なお、本作にはジャケット色違いの“ハイライト盤”と称したCD1枚モノの輸入盤も存在します。赤みがかったアートワークのC2枚組が通常仕様ですが、青みがかったアートワークのものは全18曲入りの通常盤から5曲カットした13曲仕様となっているので、ご注意を。さらに、同タイトルの映像版も発売されており、こちらは圧巻の客席の様子を併せてお楽しみいただけるはずです。

また、OASISのライブアルバムは単品では本作のみとなりますが、ベストアルバム『TIME FLIES... 1994-2009』(2010年)初回限定盤にはノエル・ギャラガー(Vo, G)脱退1ヶ月前(フジロックの約1週間前)の2009年7月21日に実施されたライブの音源が、ボーナスディスクCD1枚に収められています。フルスケールではないですが、こちらもオススメです。

 


▼OASIS『FAMILIAR TO MILLIONS』
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OASIS『DIG OUT YOUR SOUL』(2008)

2008年10月6日にリリースされたOASISの7thアルバム。日本盤は同年10月1日先行発売。

前作『DON'T BELIEVE THE TRUTH』(2005年)発表後、日本では同年8月(『SUMMER SONIC』ヘッドライナーおよび名古屋)と11月(代々木第一体育館、大阪城ホール)と1年に二度も来日公演を行ったOASIS。2006年には初のベストアルバム『STOP THE CLOCK』のリリース、ロードムービー『LORD DON'T SLOW ME DOWN』の公開、ノエル・ギャラガー(Vo, G)の単独来日(MySpaceの企画でアコースティックライブ実施)など、充実した濃厚な日々を送り続けました。

2007年夏から次作の制作に突入したバンドは、デイヴ・サーディを再度プロデューサーに起用。サポートドラマーにザック・スターキー、キーボーディストに2002年のツアーからサポート参加するジェイ・ダーリントン(ex. KULA SHAKER)を迎え、『DON'T BELIEVE THE TRUTH』で到達したスタイルの“次”を提示する意欲作を完成させます(ザックはツアーには不参加)。

前作ではノエルとの共同プロデュースでしたが、今作ではデイヴがひとりでプロデュース/ミックスを手がけたこともあってか、非常にモダンな音像なのが印象的です。その影響もあり、楽曲のスタイルもどこか目新しさが感じられ、リアム・ギャラガー(Vo)、ノエル、アンディ・ベル(B/ex. RIDE、ex. HURRICANE #1)、ゲム・アーチャー(G/ex. HEAVY STEREO)体制で早くもネクストステップに突入したことが伺えます。これを吉とするか無しとするかで、評価は大きく異なるのではないでしょうか。

ソングライティングに関してはノエルが全11曲中6曲を手がけており、「Bag It Up」「The Turning」「Waiting For The Rapture」「The Shock Of The Lightning」(全英3位)と冒頭4曲がノエル曲で占められているのも印象的。かつ、6曲目「(Get Off Your) High Horse Lady」と7曲目「Falling Down」(同10位)もノエル曲なので、アルバムの前半がほぼノエル色で染められていることになります。過去のOASISと比べたら比較的地味な部類に入るものの、モダンな音像と相まって同時代のガレージロックにも匹敵する豪快さが感じられるはずです。

他メンバーが書いた楽曲も良曲揃いで、リアムは「I'm Outta Time」(同12位)、「Ain't Got Nothin'」「Soldier On」の3曲を提供し、普段ノエルが提示していたセンチメンタルなカラーを補っている。アンディは「The Nature Of Reality」、ゲムは「To Be Where There's Life」と、やはりノエルにない色をそれぞれ提供しており、この対比が非常に面白いなと。バンドとして相互関係がしっかり築かれていることが、こういったクレジットからも透けて見えるような気がしてきます。

チャート的には全英1位、全米5位とひさしぶりに成功したように映りますが、売り上げ的には前作の半分程度まで落ち込み、1stアルバム『DEFINITELY MAYBE』(1994年)以来となる“全英1位シングルを含まないアルバム”という不名誉な記録を打ち立てることに。そして、2009年3月には東名阪と札幌を回るアリーナツアーを行い、同年7月には『FUJI ROCK FESTIVAL』初日ヘッドライナーとして再来日。しかし、その翌月にノエルが脱退を表明し、OASISは解散することになります。

結果として本作がラストアルバムとなってしまいましたが、ここには終わりを目前にした悲壮感もなければ、メンバー間の不和によるズレも見つからない。むしろ、“第3期OASIS”を確立させていこうとするポジティブさが伝わり、もしあのときノエルが脱退を思いとどまっていたら、幻の8thアルバムでどんなサウンドを聴かせてくれていたのか……なんて、たら・れば話を今さらしたくなってしまいます。

だからといって、彼らの再結成を望んでいるのかと言われると、実はまったくそんなことは思っておらず(苦笑)。あの時系列での続きが見たかっただけで、今のリアム&ノエルがまたOASISを再開させてもね……と思ってしまうわけです。それよりは、もっと気合いの入った双方のソロ作を聴きたいです。あと、アンディはRIDEで頑張っているので足引っ張らないで!(笑)

 


▼OASIS『DIG OUT YOUR SOUL』
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2021年7月27日 (火)

OASIS『DON'T BELIEVE THE TRUTH』(2005)

2005年5月30日にリリースされたOASISの6thアルバム。日本盤は同年5月25日に先行発売。

リアム・ギャラガー(Vo)、ノエル・ギャラガー(Vo, G)、アラン・ホワイト(Dr)にアンディ・ベル(B/ex. RIDE、ex. HURRICANE #1)、ゲム・アーチャー(G/ex. HEAVY STEREO)という新編成で“第2のデビューアルバム”ともいえる前作『HEATHEN CHEMISTRY』(2002年)を制作し、大ヒットにつなげたOASIS。しかし、2004年に10年近くにわたりバンドに在籍したアランが脱退してしまい、早くも新編成が崩壊します。

バンドは新たなドラマーとして、リンゴ・スター(ex. THE BEATLES)の実子ザック・スターキー(THE WHOなど)をサポートメンバーに迎え、レコーディングに突入。プロデューサーのひとりにデイヴ・サーディー(HELMETSLAYERSYSTEM OF A DOWNなど)が参加した本作は一聴すると地味に映るものの、実は“『(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY?』(1995年)再び”という精神性と、“バンド”感を再び取り戻そうとする気概が入り混じった非常に意欲的な1枚ではないかと思うのです。

まず、アルバムの冒頭を飾る「Turn Up The Sun」がアンディの楽曲という時点で“ノエル一強体制”が終焉したことを匂わせているし、さらにアンディはもう1曲「Keep The Dream Alive」を提供している。ゲムも単独で書いた「A Bell Will Ring」のほか、リアムとの共作「Love Like A Bomb」も用意。リアムも単独で「The Meaning Of Soul」「Guess God Thinks I'm Abel」を提供しており、ノエル楽曲はリードシングル「Lyla」(全英1位)や「The Importance Of Being Idle」(同1位)、「Let There Be Love」(同2位)など5曲にとどまっており、全キャリア中もっともノエル色の薄い1枚と言えるのではないでしょうか。

冒頭2曲が非常に地味なこともあり、リリース当時はあまり印象がよくなかった本作。実はアルバムとしての充実度は中後期でもっとも高い力作ではないかと確信しています。アンディ曲はHURRICANE #1色濃厚ながらも、リアムが歌うことでしっかりOASIS化しているし、ゲムの曲もしかり。そして、リアムが書いたアルバムの中で良いスパイスとなっており、OASISの新たな可能性をしっかり提示している。

この色彩豊かさ、“『(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY?』再び”を無意識のうちに狙ったものだったんだろうな。きっとその想いは、ノエルではなくほかのメンバーが漠然としてイメージしていたものだったのかも……というのは言い過ぎでしょうか。

OASIS現役期間中で、個人的にはもっとも聴く頻度の低かったアルバムですが、実はここ5年くらいで一番リピートする機会が増えたのが本作。古き良きブリティッシュロック(ブリットポップに非ず)を2000年代にリバイバルさせ、かつ90年代半ばの自身をもう一度よみがえらせようとした挑戦の1枚。ぜひ偏見なしに触れてみることをオススメします。

 


▼OASIS『DON'T BELIEVE THE TRUTH』
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OASIS『HEATHEN CHEMISTRY』(2002)

2002年7月1日にリリースされたOASISの5thアルバム。日本盤は同年6月26日に先行発売。

前作『STANDING ON THE SHOULDER OF GIANTS』(2000年)リアム(Vo)&ノエル(Vo, G)のギャラガー兄弟、アラン・ホワイト(Dr)というイレギュラーな編成で完成させたOASIS。アルバム完成後にはアンディ・ベル(B/ex. RIDE、ex. HURRICANE #1)、ゲム・アーチャー(G/ex. HEAVY STEREO)という“Creation Recordsオールスターズ”が参加して、ツアーを敢行します。

2001年秋から新体制で初のアルバム制作に突入したOASISは、バンドのセルフプロデュースのみならず、リアムやアンディ、ゲムも楽曲提供するなどバンドらしさをさらに強める結果に。アルバムは全英1位を獲得し、セールス的にも前作以上を記録。「The Hindu Times」(同1位)、「Stop Crying Your Heart Out」(同2位)、「Little By Little」(同2位)、「Songbird」(同3位)とヒットシングルも多数生まれました。

新編成で約1年にわたりツアーを重ねた結果、バンドとしてのまとまりの強さを確かなものとし、そこからアルバム作りに入ったことから前作以上にバンドのグルーヴ感が存分に楽しめる1枚と言えるのではないでしょうか。かつ、リアムのソングライターとしての成長がアルバムに広がりを与えており(本作では「Songbird」をはじめ3曲提供)、ゲム(「Hung In A Bad Place」)やアンディ(1分強のインスト「A Quick Peep」)はまだまだバンドへの貢献度は低いものの、ソングライターが4人に増えたことで初期3作とは異なる“OASIS第2章”の序章にふさわしい内容に仕上がったと言えます。

ノエルのソングライターとしての才能は相変わらずですが、多少“第2のデビューアルバム”を意識したのか、大人になったノエルが初期衝動を取り戻そうとしている感も伝わってくる。オープニングを飾るストレートな王道ロック「The Hindu Times」はまさにその象徴的な存在ではないでしょうか。と同時に、前作での実験もなかったことにせず、「Force Of Nature」で昇華させている。さらに、過去と次作以降をつなぐ「(Probably) All In The Mind」や「Better Man」も用意されており、ある意味ではバンド後期へと向けたもうひとつの過渡期的作品と言えなくもないのかな。

とはいえ、ロックバンドとしての躍動感と高揚感は満載だし、ガキンチョだった初期から大人の階段を登り始めたギャラガー兄弟の成長が窺えるという点でも魅力的な1枚ではないでしょうか(余談ですが、「(Probably) All In The Mind」のギターソロ、「Born On A Different Cloud」のスライドギター、「Better Man」のギター&バックボーカルでジョニー・マーがゲスト参加しています。UKロックファンはそこも聴きどころかなと)。

 


▼OASIS『HEATHEN CHEMISTRY』
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2021年7月25日 (日)

ANDY BELL『THE VIEW FROM HALFWAY DOWN』(2020)

2020年10月9日にリリースされたアンディ・ベルの1stソロアルバム。日本盤は同年10月7日に先行発売。

アンディ・ベルはご存知のとおりRIDEのフロントマン(Vo, G)のひとりで、RIDE解散中にはHURRICANE #1のギタリストを経てOASISのベーシスト、さらにはリアル・ギャラガー主導によるBEADY EYEのギタリストとして活躍してきたアーティストです。RIDE以外でボーカリストとして活躍することはなかったので、特にOASIS加入以降はアンディのソロアルバムを心待ちにしていたというオールドファンは少なくなかったはずです(筆者もそのひとり)。

このソロアルバムはもともと、2016年1月のデヴィッド・ボウイの死に触発されて制作がスタートしたんだとか。OASIS〜BEADY EYE時代の盟友ゲム・アーチャー(ex. HEAVY STREO)のスタジオでいくつかの楽曲を作り上げたものの、RIDEが再結成後初となるアルバム『WEATHER DIARIES』(2017年)制作に乗り出したこともあり、ソロアルバムは一度暗礁に乗り上げます。以降もRIDEは順調に活動を続け、2019年夏には再始動後2作目となる『THIS IS NOT A SAFE PLACE』をリリース。しかし、2020年に入ると新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンで、すべてがストップしてしまいます。

この空白の時間を通じて、アンディはソロアルバム制作を再開。ちょうど同年8月に50歳の誕生日を迎えることもあり、これまでの音楽人生を総括するような内容のアルバムを完成させます。

内容はRIDE的な要素も若干感じられるものの、かといってシューゲイザーかといわれるとまったくそんなことはなく。むしろRIDEの3作目『CARNIVAL OF LIGHT』(1994年)で見せたソングライターとしての成熟ぶりにさらに拍車がかかったかのような、非常に聴き応えのある楽曲群を楽しむことができます。

60年代のビートルズやTHE BYRDSを経て、80〜90年代のTHE STONE ROSESやSPACEMEN 3、THE LA'Sを通過したサイケデリック感とフォーキーさ、近年のアンビエント/エレクトロユニットGLOKを通じて得たテイスト、そしてRIDE以降の音楽活動で培った作曲家/表現者としての技量が遺憾なく発揮された楽曲の数々は、全体的に穏やかながらも安心して楽しめるものばかり。RIDEでやれそうでやれないであろう作風も少なくなく、人生の折り返し地点を追加したアンディのリアルが伝わる良作と言えるのではないでしょうか。

RIDEファンはもちろんのこと、特に『CARNIVAL OF LIGHT』や再始動後の2作を気に入っているリスナーなら、すんなり受け入れられるはず。もちろんRIDEにあるような派手さは皆無ですが、バンドの4分の1ならではのエッセンスは見事に健在。今後定期的にソロ作に着手するのかどうかはわかりませんが、できることなら節目節目でこのように内向的でサイケデリックな作品を届けてもらえるとうれしいかな。

 


▼ANDY BELL『THE VIEW FROM HALFWAY DOWN』
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