BETWEEN THE BURIED AND ME『COLORS II』(2021)
2021年8月20日にリリースされたBETWEEN THE BURIED AND MEの10thアルバム。日本盤未発売。
短期間のうちに連発された二部作『AUTOMATA I』『AUTOMATA II』(ともに2018年)から3年ぶりの新作は、バンド初期の出世作にして代表作『COLORS』(2007年)の続編。『COLORS』は全8曲/64分がまるで1曲のように連なった構成で、聴いているとどこからどこまでが1曲かわからなくなるほどで、かつエクストリームメタルやプログメタルの要素のみならず、ジャズやブルーグラス、アコースティックポップなどさまざまなテイストが散りばめられた、一言では語りきれない強烈な1枚でした。
その正統的続編にあたる今作は、前作以上のボリューム(全12曲/79分)で、さらに包括するジャンルも前作以上。かつ、より曲の切れ目がわからなくなるような構成となっています。なにせ、冒頭の「Monochrome」からしてポストロックか?と思わせる世界観で聴き手を驚かせ、そのまま自然な形でヘヴィな「The Double Helix Of Extinction」へとつながっていくんですから。さらに、「Revolution In Limbo」は9分超、「Never Seen / Future Shock」は約12分、ラストの「Human Is Hell (Another One With Love)」なんて15分超えですからね(笑)。その1曲の中に複数の楽曲の要素が詰め込まれた組曲形式になっているので、CDやストリーミングを再生させているとき、プレイヤーを意識しなければ「今何曲目?」と前作以上に感じるはずです。
クリーントーンでしっとり歌うスタイルとヘヴィなグロウルを見事に使い分けたトミー・ギルス・ロジャース(Vo, Key)の歌唱力はしっかり完成の域に達し、彼の歌を支える楽器陣のテクニックも『COLORS』の頃よりも卓越したものへとレベルアップしている。「Prehistory」あたりの緩急に富んだアレンジは、もはやDREAM THEATERとの比較などでは語りきれない個性と言えるでしょう。
リードトラック「Fix The Error」にはゲストドラマーとしてマイク・ポートノイ(SONS OF APOLLO、ex. DREAM THEATER)、ナヴェネ・コーパーウェイス(ENTHEOS)、ケネス・シャクル(CANDIRIA)が参加。3人は1ブロック目、2ブロック目、3ブロック目でそれぞれドラムソロを披露しています。こういう複数ドラマーのフィーチャーの仕方、あるのね。
メタルコアから始まり、プログレッシヴメタルの要素を強めていくことで独自の個性を確立。そこからさらに道を極めることで誰にも追いつけないポジションにまで到達した彼らの、至高の1枚。こんなの生で、かつ目の前で完全再現された日にゃゲボ吐きますよ(苦笑)。恐ろしいまでに強烈で完璧な傑作の誕生です。
▼BETWEEN THE BURIED AND ME『COLORS II』
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