Guilty Kiss『Shooting Star Warrior』(2021)
2021年7月28日にリリースされたGuilty Kissの1stアルバム。
Guilty Kissはメディアミックスコンテンツ『ラブライブ!サンシャイン!!』内のスクールアイドルグループ・Aqoursのメンバー3人からなる“グループ内ユニット”。桜内梨子(CV:逢田梨香子)、津島善子(CV:小林愛香)、小原鞠莉(CV:鈴木愛奈)という、リアルで活動する声優陣においても歌唱力に定評のある3人が、ロックを軸にした楽曲を提供し続けているのですが、その楽曲群が初期から僕自身の琴線に触れるものばかりでして。曲によってはロックからかけ離れたものもあるのですが、このアルバムでは“Guilty Kiss is back.”をテーマに、初期からのテーマに立ち返った新曲を追加することでメタル/ラウド系リスナーにも引っ掛かりの多い内容に仕上がっているのです。
アルバムには3曲の新曲が用意されているのですが、これらの作曲を元ARTEMAのMEG&作曲家のKanata Okajima、編曲をMEGが担当。アルバムタイトルトラックであるオープニングナンバー「Shooting Star Warrior」は、MARILYN MANSONなどを思わせるシャッフルビートを用いたヘヴィロックサウンドで構成されています。そこにアニソン的キャッチーなメロディが乗ることで、ラウドロック的J-ROCKとして通用する1曲として昇華されているのではないでしょうか。
続く「Deep Sea Cocoon」はミディアムスローのダーク&ヘヴィナンバーで、Djent的なギターの刻みが挿入されることでモダンなメタルコアとしても十分に通用するバックトラックが用意されています。こちらも若干ダークながらも最低限のキャッチーさを損なわないメロディが備わっており、ラウドファンのみならずJ-ROCKリスナーにも十分アピールする仕上がりだと断言できます。
もうひとつの新曲「Nameless Love Song」は、シークエンスするハウス的トラックにヘヴィ&メロウなギターが重なる、ダンサブルな楽曲。バックトラックはどことなくTHE CHEMICAL BROTHERSからの影響も感じられますが、そこに印象的なギターリフを重ねることで……わかりやすく例えればB'z的に昇華されており、ヘヴィ系リスナー的の許容範囲に落ち着いたのではないでしょうか。実際、アルバムにはR&B寄りのダンストラックや90年代的なアッパーダンスチューンも含まれているのですが、この新曲がこれらのダンスサイドとヘヴィロックサイドを見事につないでいるような気がします。
すべてがすべてメタルファンにひっかかるものとは断言しませんが、ストレートなハードロックを表現したデビューシングル「Strawberry Trapper」、ゴシックメタル調のヘヴィさがど真ん中な2ndシングル「コワレヤスキ」などは、先の新曲群とあわせて聴いてほしい良曲(いや、傑作)。先日開催されたライブでは、先のMEGやThe Winking OwlのYomaがギタリストとして参加した生バンド編成だったこともあり、こちらもあわせてチェックしてもらいたいところ(まだアーカイブ視聴可能なので、アルバムを聴いて興味を持った方はぜひ)。
『ラブライブ!サンシャイン!!』にはこのほか、Aqoursのライバル的存在であるSaint Snowもニューメタル的テイストの楽曲を軸にしているので、できることならこちらのアルバムも……聴いてみたいなと……思うのですが……ぜひお願いします!(各方面に向けて)
▼Guilty Kiss『Shooting Star Warrior』
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