KK'S PRIEST『THE SINNER RIDES AGAIN』(2023)
2023年9月29日にリリースされたKK'S PRIESTの2ndアルバム。
デビュー作『SERMONS OF THE SINNER』(2021年)からちょうど2年ぶりの新作。前作はEX1 Recordsからのリリースでしたが、今作ではNapalm Recordsへと移籍。その結果、日本盤も今作からビクター配給となりました。
参加メンバーは前作から変わらずK.K.ダウニング(G/ex. JUDAS PRIEST)、ティム・“リッパー”・オーウェンズ(Vo/SPIRITS OF FIRE、A NEW REVENGE、ex. JUDAS PRIEST、ex. ICED EARTH、ex. YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCEなど)、A.J.ミルズ(G)、トニー・ニュートン(B)、ショーン・エルグ(Dr)の5人。プロデュースは引き続きK.K.が担当し、ミックスおよびマスタリングを“現代メタルシーン最高峰のデンマーク人エンジニア”ことヤコブ・ハンセン(ARCH ENEMY、DIZZY MIZZ LIZZY、VOLBEATなど)が手掛けています。
全9曲(日本盤ボーナストラック除く)ですべて“歌モノ”。前作が全10曲で内1曲が短尺インスト(オープニングSE)だったので、ボリューム的にはほぼ一緒なのですが、前作はトータルで約50分あったの対して今作は約40分と非常にコンパクト。そういえば、前作は8〜9分の長尺曲が2曲もあったんでした。それと比べたら、今作は4分台の楽曲が中心で、長尺曲もラストの「Wash Away Your Sins」の約6分半のみ。
ティムの暑苦しいハイトーン&スクリームとK.K.の「弾きすぎ!」ってくらい詰め込みすぎなギタープレイのせいもあって、前作は50分という尺が長く感じられたのですが、今作はどうでしょう。基本的なスタイルはまったく変わっておらず、序盤3曲でやはり聴き疲れを感じずにはいられません。そういったところに好き嫌い分かれるところもありますが、ただタイトルトラック「The Sinner Rides Again」以降の後半で多少変化が付けられており、なんとか途中離脱することなく最後まで楽しめました。
そういった意味では、個人的ハイライトはラスト2曲の「Pledge Your Souls」「Wash Away Your Sins」かな(とはいえ、「Wash Away Your Sins」はエンディングをフェードアウトで終わらせず、もうちょっとやり方あったんじゃなかろうか)。ティム、もうちょっと緩急を付けた歌い方をしたらシンガーとしてパーフェクトなのに、この怒り一辺倒な歌い方がワンパターンすぎて本当に勿体ない。K.K.の指示もあるのかもしれないけど(この人が一番怒りに満ちているでしょうから)、これじゃあいつまで経っても“本家”には勝てないし、“ある時期”の二番煎じに甘んじたままではないでしょうか。
そろそろ“らしさ+α”でオリジナリティを確立させないと、短命に終わってしまう気もするんだけどなあ。けど、オールドスクールなメタルファンの皆さんはそういう変化を求めてないんですかね。メタル作品としてはクオリティは高いんだろうけど、今の自分の趣味嗜好からはちょっとだけズレる1枚かもしれません。
▼KK'S PRIEST『THE SINNER RIDES AGAIN』
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