ANGELS & AIRWAVES『LIFEFORMS』(2021)
2021年9月24日にリリースされたANGELS & AIRWAVESの6thアルバム。日本盤未発売。
当時BLINK-182のフロントマンだったトム・デロング(Vo, G)が同バンド活動休止中に結成したオルタナティヴロックバンド、前作『THE DREAM WALKER』(2014年)から7年ぶりのオリジナルアルバム。その後もEPを3作発表しており、新曲で構成された音源集としては『CHASING SHADOWS』(2016年)以来5年半ぶりとなり、どちらにしても過去最長のインターバルであることには間違いありません。
2016年当時のメンバーはトムとアイラン・ルービン(Dr)のみでしたが、今作はその2名に加えてデヴィッド・ケネディ(G)、マット・ルバノ(B)の4人で制作。プロデューサーには『THE DREAM WALKER』以降の共同制作者であるアーロン・ルービン(LOSTPROPHETS、SIMPLE PLANなど)を迎え、2018年春から3年かけてじっくり作り込んだ内容に仕上がっています。
僕自身、彼らのアルバムはGeffen Records時代の2作、1stアルバム『WE DON'T NEED TO WHISPER』(2006年)、2ndアルバム『I-EMPIRE』(2007年)程度しか聴いていなかったのですが、今作はその初期のスタイルを意識した作風とのこと。確かにポップパンクをベースにしながらも、その近くながらも微妙に外側にあるオルタナティヴロックやニューウェイヴを意識したサウンドはANGELS & AIRWAVESらしさに満ち溢れているものの、さらに進化/成長していることも伝わる作風かなと思いました。
一言で言ってしまえば、ジャンル分けの難しいロックといいましょうか。オルタナの枠内なんでしょうけど、そのスペーシーなサウンドメイク&アレンジはどこか80年代前半のRUSHを思わせるものもあり、かと思えば90年前後のUKロックを思わせるポップなギターロック風でもある。もちろんBLINK-182っぽさも随所から感じ取れるのですが、それ以上にANGELS & AIRWAVESならではのオリジナリティが確立されてしまっていることで、もはやBLINK-182との比較も意味のないものに感じられる。僕自身はBLINK-182にあまり思い入れがないので、むしろフラットに接することができるのですが、当時のファンからしたら今も複雑に響くのかもしれませんね……。
まあとにかく。良質なポップロック/オルタナロック/パワーポップアルバムだと思います。新しさよりも懐かしさのほうが強いのかもしれませんが、それすらも今の若い世代には新鮮に響くかもしれませんし、これはこれでアリなんじゃないでしょうか。気持ちよく楽しめる1枚ですね。
▼ANGELS & AIRWAVES『LIFEFORMS』
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