Happy 40th Anniversary!! Seiko Matsuda Concert Tour 2020〜2021 “Singles & Very Best Songs Collection!!”@日本武道館(2021年10月22日)
松田聖子の単独ライブを最後に観たのは、たぶん90年代後半だったかと思います。たぶん「あなたに逢いたくて〜Missing You〜」がバカ売れしたあとだったかな。以降はイベントだったり紅白のリハ現場だったりで歌う姿を目にしていましたが、じっくり単独公演を目にするのは20数年ぶり。しかし、今回目の当たりにしたステージの様子は20数年前と変わらず、いや、もっと言えば80年代の残り香を漂わせながらもエンターテイナーとして前進し続ける“聖子ちゃん”の姿がそこにありました。
オープニングからひとりドラムを叩きながら歌うという演出や、その後大勢のダンサーを交えながら歌い踊る姿、アコースティック編成で初期のアルバム曲をしっとり聴かせる構成(しかも、観客が掲げたボードに書かれたリクエスト曲を次々とワンフレーズ、アカペラで歌唱していく豪快なサービスっぷり!)、後半の王道アイドルを地で行く衣装&見せ方など、首尾一貫「アイドル・松田聖子」を全うする内容には、関心を超えて感動するばかり。なんなら途中から涙が溢れてきましたから。
個人的にはアコースティックコーナーの選曲がドツボで、リアルタイムで聴いていた曲もあれば20代になって後追いで知った曲もあり、いろんな意味で懐かしさでいっぱいに。還暦を目前に、以前のような高音は厳しくなったものの、それでも今できる精一杯の形で松田聖子であろうとする彼女の姿は、日本の芸能界やエンターテインメント界の頂点に君臨する者としての使命感すら伝わりました。すげえよ本当に。
個人的に驚いたのは、観客が声を上げたり一緒に歌ったりできない時世にも関わらず、観客にシンガロングさせるような曲(「赤いスイートピー」でのサビ入りやタイトル部分)でも客席にマイクを向けて歌わない姿勢(笑)。いや、冗談抜きであれは肝が据わっていないとできないと思うんです。だって、演奏だけになってしまって歌がゼロなわけですよ? ステージに立つ側としてはその“空白”がどれだけプレッシャーなのかは当人にしかわからないですが、それでも観る側としてもあの“空白”は怖いものなんですよ。にもかかわらず、笑顔でマイクを向ける聖子ちゃん。その姿や姿勢からは、ある種の覚悟も見え隠れして、この人はどんな状況であっても自分のスタイルを崩すことなく、松田聖子であろうとしているんだなと感動すらしました。
大半の楽曲がワンハーフだったりメドレーだったりしてしまうのは、40年にもおよぶ活動でそれだけ名曲やファンから求められる曲を生み出してきた証拠。改めて80年代のテレビが産んだスーパーアイドルが40年も第一線で活躍し続けている事実、ものすごい偉業だと思います。誰に向けてというわけではないですが、本当にいろいろ見習ってほしい。
自分にとってツアーのたびに毎回足を運ぶタイプのアーティストではないですが、今後も機会があったらできる限り観てみたいと思わされた、そんな極上のエンターテインメントショーでした。
セットリスト
01. It's Style '95
02. It's Style
03. Wanna Know How
04. 時間の国のアリス 〜Alice in the wonder of time〜
05. 渚のバルコニー
06. 秘密の花園
07. ピンクのモーツァルト
08. 瑠璃色の地球2020
<アコースティックセット>
09. ピーチ・シャーベット
10. 愛の神話
11. 雨のリゾート
12. 小さなラブソング
13. 瞳はダイアモンド 〜Diamond Eyes〜
14. ※アカペラで1フレーズ歌唱
・一千一秒物語
・蒼いフォトグラフ
・SUNSET BEACH
・Rock'n'Roll Good-bye
・櫻の園
・制服
・水色の朝
・私の愛
15. 時間旅行 〜I still miss you〜
16. SWEET MEMORIES 〜甘い記憶〜17. 赤いスイートピー(English Ver.) 〜 赤いスイートピー
18. 青い珊瑚礁 〜Blue Lagoon〜
19. メドレー
・裸足の季節
・風は秋色
・ハートのイアリング
・P・R・E・S・E・N・T
・天国のキッス
・チェリーブラッサム
・夏の扉<アンコール>
20. SQUALL
21. 40th Party
22. 20th Party