INFECTIOUS GROOVES『THE PLAGUE THAT MAKES YOUR BOOTY MOVE... IT'S THE INFECTIOUS GROOVES』(1991)
1991年10月9日にリリースされたINFECTIOUS GROOVESの1stアルバム。日本盤は同年12月1日発売。
INFECTIOUS GROOVESはSUICIDAL TENDENCIESのマイク・ミューア(Vo)とJANE'S ADDICITONのステファン・パーキンス(Dr)を中心に、1989年に結成されたサイドプロジェクト。当時のメンバーはディーン・プレザンツ(G/1996年からSUICIDAL TENDENCIESのメンバー)、アダム・シーゲル(G/ex.EXCELなど)、ロバート・トゥルヒーヨ(B/METALLICA、ex. SUICIDAL TENDENCIES、ex. OZZY OSBOURNEなど)という布陣。今考えるとものすごいメンツですね。
音楽性は当時のSUICIDAL TENDENCIESにファンクロックのカラーを織り交ぜたミクスチャーロック。ソングライティングのクレジットを見ると、大半がマイクとロバートの共作で、SUICIDAL TENDENCIESでやれないスタイルをここで実践したのかなという気も。結果、すでにスラッシュシーンでは流れていたロバートがその存在感を本作でさらに強めることになります。
レコーディングにはSUICIDAL TENDENCIESのロッキン・ジョージ(G)や、のちにVELVET REVOLVERに加入するデイヴ・クシュナー(G)なども参加。リードトラック「Therapy」ではオジー・オズボーンがゲストボーカルで参加しており、曲タイトルを歌っているだけでその異様な存在感を発揮しております。
RED HOT CHILI PEPPERSにスラッシュメタルギターを乗せたようなその独特のサウンドは、当時すでにブレイクしていたFAITH NO MOREなどにも通ずるオルタナティヴ感が備わっており、その手のバンドに偏見なく触れてきたメタルファンにも好評を博した記憶が。ぶっちゃけ、本家SUICIDAL TENDENCIESよりこっちのほうがカッコいい!という声も少なくありませんでした(SUICIDAL TENDENCIES自体はもともとハードコアですから、そっちが苦手なメタルファンもいたでしょうし。個人的にはどっちも好きだったけど)。
ちょっとしたフレーズやプレイからは1991年という時代ならではの質感が伝わるものの、全体を通して聴くと意外と2021年にも通用するんじゃないかという気がします。それくらい古さがなく、フレッシュさが保たれていると同時に、この手のサウンドが1991年当時は先鋭的だったという事実を示しているのかなと。それくらいモダンなカッコよさがあり、いろいろ一周した今だからこそ再評価したい作品。と同時に、今の若い世代に届いてほしい1枚です。
なお、SUICIDAL TENDENCIES同様にINFECTIOUS GROOVESも今日に至るまで活動継続中。現在のメンバーはマイク、ロバート、ディーンのほか、元FAITH NO MOREのジム・マーティン(G)、現AVENGED SEVENFOLDのブルックス・ワッカーマン(Dr)の5人で、2020年には最新EP『TAKE U ON A RIDE - SUMMER SHRED SESSIONS VOL.1』を発表しています。
▼INFECTIOUS GROOVES『THE PLAGUE THAT MAKES YOUR BOOTY MOVE... IT'S THE INFECTIOUS GROOVES』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)