LYNYRD SKYNYRD『LYNYRD SKYNYRD 1991』(1991)
1991年6月11日にリリースされたLYNYRD SKYNYRDの6thアルバム。日本盤は同年7月25日発売。
1977年10月の飛行機事故でロニー・ヴァン・ザント(Vo)、スティーヴ・ゲインズ(G)、キャシー・ゲインズ(Vo)らが死亡。この不幸な出来事により、LYNYRD SKYNYRDは一度解散します。そこから10年後の1987年、オリジナルメンバーのゲイリー・ロッシントン(G)、エド・キング(G)らを中心に、ロニーの実弟であるジョニー・ヴァン・ザント(Vo)を新たなフロントマンとして迎えて再結成を果たします。
本作はその、再結成第1弾アルバムにあたり、70年代の初作品同様にトム・ダウド(エリック・クラプトン、ロッド・スチュワート、EAGLES、PRIMAL SCREAMなど)をプロデューサーに迎えて制作。前作から16年ぶり、しかも(実の兄弟とはいえ)フロントマンの交代などもあり、作風的には前作に当たる『STREET SURVIVORS』(1975年)の続き/延長というわけにはいかず、80年代後半〜90年代初頭らしい質感の楽曲で構成されています。
正直、サザンロックの範疇から若干はみ出しているような印象も受け、それが聴きやすさにもつながっており、自分のようなサザンロックに苦手意識を持っていた若輩リスナーには触れやすかった記憶があります。オープニングを飾る「Smokestack Lightning」のアップテンポ感は完全にアメリカンハードロック寄りですし、「Southern Women」や「Backstreet Crawle」におけるファンキーなノリ、「Pure & Simple」でのレイドバックしたバラード感は同時期にブレイクしていたTHE BLACK CROWESとも通ずるものがあり、その流れから本作に触れたら非常に入っていきやすいと思うんです。
もっと言えば、『DONE WITH MIRRORS』(1985年)あたりのAEROSMITHっぽさもあったりする。要するに……野暮ったくて地味、という意味なんですが(笑)。メジャー感の強い派手さこそないものの、アリーナロック級のノリは確実に擁している。先の「Smokestack Lightning」や「Good Thing」「It's A Killer」あたりは完全にそっち側の楽曲ですものね。
そうそう、本作がリリースされた時期ってちょうどTESLAがアコースティックライブアルバム『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』(1990年)をヒットさせたタイミングとも重なり、そのへんとの共通点も少なくない。というわけで、ここまでに名前を挙げてきたバンドや作品に興味がある方なら、少なからず引っかかる1枚だと思うので、騙されたと思って手にしてみることをオススメします。特に70年代の諸作品はちょっとユルすぎると感じるHR/HM寄りのリスナーは、本作から入門してみてはどうでしょう。
▼LYNYRD SKYNYRD『LYNYRD SKYNYRD 1991』
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