SURVIVOR『EYE OF THE TIGER』(1982)
1982年6月8日にリリースされたSURVIVORの3rdアルバム。
アルバムからのリード曲にして、映画『ロッキー3』のテーマソングとしてシングル化されたタイトルトラック「Eye Of The Tiger」が6週連続全米1位(同年間チャート2位)を記録し、シングルのみで800万枚を超えるヒット曲に。さらに「American Heartbeat」(同17位)や「The One That Really Matters」(同74位)といったスマッシュヒットも生まれ、アルバム自体も全米2位まで上昇するミリオンヒット作となりました。
当時のメンバーはデイヴ・ビックラー(Vo)、フランキー・サリヴァン(G)、ジム・ピートリック(Key, G)、ステアン・エリス(B)、マーク・ドラウベイ(Dr)。プロデュースはメンバーのフランキーが担当し、レコーディングエンジニアにはフィル・ボナーノ(STYX、CHEAP TRICK、ENUFF Z'NUFFなど)と、のちにGUNS N' ROSESのデビュー作『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)で名を上げるマイク・クリンクが参加という、実はロック史的には特筆しておくべきポイントを含む1枚でもあります。
どうしても「Eye Of The Tiger」の印象が強い1枚ですが(だって、アルバムの1曲目)、実は本作が本領発揮するのは続く2曲目「Feels Like Love」以降。この軽やかで疾走感の強いアメリカンロックを筆頭に、AC/DCを彷彿とさせるミディアムナンバー「Hesitation Dance」、ノリの良いハードロックチューン「The One That Really Matters」、ピアノやシンセの音色が心地よいマイナーキーの「I'm Not That Man Anymore」と佳曲が続きます。この4曲だけでもだいぶバンドの印象が変わるのではないでしょうか。
アナログB面の冒頭を飾る6曲目「Children Of The Night」でのアコギを活用したダイナミックなアレンジ、バンドの繊細な部分を前面に打ち出したメロウなバラード「Ever Since The World Began」、個人的には「Eye Of The Tiger」以上の完成度を誇ると確信する名曲「American Heartbeat」と聴き応えのある楽曲が連発され、最後はパワーバラード調のミディアムナンバー「Silver Girl」で締め括り。非常によく練り込まれた、完成度の高いハードロック/産業ロックアルバムだと思います。
映画『ロッキー』関連の主題歌のイメージが付きまとい、ハードロックバンドとして正当な評価を受けにくい彼らですが、本作や2代目シンガーのジミ・ジェイミソン初参加の5thアルバム『VITAL SIGNS』(1984年)はアメリカンハードロック/産業ロック/AOR好きなら抑えておくべき名盤だと断言しておきます。
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