BLOODYWOOD『RAKSHAK』(レビュー) GREYHAVEN『THIS BRIGHT AND BEAUTIFUL WORLD』(レビュー) MICHAEL MONROE『I LIVE TOO FAST TO DIE YOUNG!』(レビュー) PORCUPINE TREE『CLOSURE / CONTINUATION』(レビュー) SOUL GLO『DIASPORA PROBLEMS』(レビュー)
今作に名を連ねているのがポピー(POPPY)、NINE INCH NAILS、エイダ・ルック、PlayThatBoiZay、MAENAD VEYL、LAMB OF GOD、THE BODY、BACKXWASH、Ho99o9、STREET SECTS、EKKSTACY、THE NEIGHBOURHOOD、PERTURBATORといった面々。メタル/ラウド/インダストリアル/ノイズなどのエクストリーム系とヒップホップ系がバランスよく配置されており、前作以上にメタル耳リスナーにもアピールする仕上がりです。
また、LAMB OF GOD参加の「Cold Blood」は完全にLAMB OF GODそのもので、途中に挿入されるインダストリアルチックなアレンジと相まって蹄鉄さが際立つ好演を楽しむことができます。これ、LAMB OF GODの新曲でもいいんじゃないか? そして、THE BODYとのコラボ曲「AD 1000」はこの2組ならではといいますか、いかにもな仕上がりに思わずニヤリ。そこからHo99o9とラッパーのBACKXWASHをフィーチャーした「Gnostic Flesh / Mortal Hell」へと続くのですが、こちらもHo99o9の良さとHEALTHの魅力が程よいバランスでミックスされており、重低音を効かせたHo99o9らしさとヒンヤリしたHEALTHらしさのブレンドがなんとも言えない不思議な魅力を生み出しています。
そんな中、STREET SECTSとの楽曲「The Joy Of Sect」はテクノポップ感の強いキャッチーな仕上がりで、アルバム全体の箸休めとしても効力の高い1曲に。とはいえ、癒しのようで実は気狂い具合も抜群という絶妙な仕上がりなので、気を緩めることができないのでご注意を。その後もEKKSTACYとの「Still Breathing」、THE NEIGHBOURHOODとの「No Escape」など比較的心地よい楽曲が続き、最後はHEALTH単独による「These Days 2.0.2.1.」で締めくくり。
HO99O9はtheOGM(Vo)、Eaddy(Vo, G, B, Synth)の2人を中心に結成された、米・ニュージャージー出身のラップコア/ヒップホップユニット。LAに拠点を移したあとにブランドン・ペルツボルン(Dr/ex. BLACK FLAG)が加わり、現在はトリオ編成で活動を続けています(ライブでは元THE DILLINGER ESCAPE PLANのドラマー、ビリー・ライマーも参加)。
ここ数年はミックステープやEPのリリースが続いていましたが、完全なるオリジナルアルバムとしては『UNITED STATES OF HORROR』(2017年)以来約5年ぶり。かのトラヴィス・バーカーがプロデュースを手がけるほか、コリィ・テイラー(Vo/SLIPKNOT、STONE SOUR)、ソウル・ウィリアムズ(Rap, Poetry Reading)、バン・B(Rap)、ジャシア(Rap)などいかにもな面々がゲスト参加することで、HO99O9の持つ雑食性をさらに強めることに成功しています。
異常に低音を効かせた現代的な質感を持つサウンド、要所要所に性急なブラストビートを用いたリズム、ゴリゴリにヘヴィなギターリフ、以上を適度にカットアップ&サンプリングし、さらにインダストリアル風味をまぶした方向性は、時に“アフロパンクなNINE INCH NAILS”のようであり、時に“若々しさを取り戻したMINISTRY”や“2022年によみがえった全盛期のTHE PRODIGY”のようにも映る。
かと思えば、「Battery Not Included」のようにハードコアとメタルにサイケデリックなポップスを掛け合わせた奇妙奇天烈な楽曲も存在し、完全にジャンル分けなんて不可能。コリィ・テイラーが極悪シャウトを聴かせる「Bite My Face」の緩急に富んだ奇抜なアレンジも、コリィ自身の作品では味わえない“ワルさ”が表現されており、ソウル・ウィリアムズのポエトリーがクールな「Skinhead」もこのグループならではの不思議さを醸し出している。さらに、デスメタルも逃げ出すほどにカオティックな「Lower Than Scum」、ドゥームメタルとヒップホップが闇の取引をしたような「Limits」や「Dead Or Asleep?」など、最後まで刺激満載な楽曲が豊富。気付けば何度もリピートしたくなく、常習性の高い危険な作品ではないでしょうか。