CELESTE『ASSASSINE(S)』(2022)
2022年1月28日にリリースされたCELESTEの6thアルバム。
CELESTEは2005年に結成された、フランス・リヨン出身の4人組バンド。もともとはハードコアパンクシーンから登場したバンドですが、その後に音楽性をブラックメタルをスラッジメタル、ポストハードコアの要素を織り交ぜた方向へと進化させ、2008年に『NIHILISTE(S)』でアルバムデビューを果たします。その後はコンスタントにリリース&ライブを重ね、2019年には初来日公演も実現させたばかりです。
新たにNuclear Blast Recordsと契約し届けられた、約4年2ヶ月ぶりの新作。彼らもほかのバンド同様に、このコロナ禍において1ヶ所に集まることができず、曲作りはそれぞれが各自に進めたとのこと。当初は可能な限りダークでバイオレントな音/楽曲を意識していたようですが、「もっとほかにできることはないか?」と自問自答する時間ができたことで、今回のようにギターソロなどでメロディアスさに積極的に取り組むことができたそうです。
結果としては、この試みがダーク&バイオレント側とメロディアス側の両者を際立たせる最良の形につながったのではないでしょうか。メロディが生み出す波とグルーヴメタルからの影響を感じさせるリズムのうねりが、楽曲に緩急を付けることに成功し、単なるポストハードコアともブラックメタルとも異なる世界を構築。モノトーンの世界の中で、絶妙な形でグラデーションが付けられていることでドラマチックさも強まっている。ある意味では同じフランス出身のGOJIRAにも通ずる要素も感じられ、同バンドのリスナーにも響くものが多少はあるのではないかと確信しています。
タイトルからもわかるように、歌詞はすべてフランス語で歌われているようですが、デス声で歌われることで歌詞の判別、聴き取りは不能。もともとフランス語は門外漢ですが、特に言語の違いを意識することなく、パーカッシヴなバンドアンサンブルとの相性含めて気持ちよく聴くことができました。
「(A)」のような楽曲からは抒情性に加え、先のGOJIRAなどの武器といえるプログメタル的要素も見え隠れしますが、このCELESTEの場合はそういったアレンジに関してはそこまで多くこだわっていない様子。ですが、メロディを強化させることでドラマチックな展開を多用するようになると、自然とそういう方向へも進んでいくのではないかと、今後の作品が楽しみにもなってきました。
まずは変化/進化の一端を見せ始めたという点で、バンドが第二段階に突入したことを宣言する1枚なのかな。ブラックメタルの範疇に含めるよりも、2000年代グルーヴメタルの延長線上に存在する作品として向き合うと、本作の真の魅力に気づけるのではないでしょうか。年間ベストクラスの作品とは言い難いものの、ネクストブレイクへ対する期待も込めて平均点より高めの点数を付けておきたい、そんな注目枠の佳作です。
▼CELESTE『ASSASSINE(S)』
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