HEALTH『DISCO4::PART II』(2022)
2022年4月8日にデジタルリリースされたHEALTHの6thアルバム。海外でのフィジカル(CDおよびアナログ)は7月29日発売予定、日本盤発売は現時点では未定。
HEALTHは2005年から活動している、LA出身の3人組ノイズ/インダストリアルバンド。本作は2020年10月発売の『DISCO4::PART I』の続編にあたる内容で、前作同様各曲ごとに豪華なフィーチャーリングアーティストを迎えています。
今作に名を連ねているのがポピー(POPPY)、NINE INCH NAILS、エイダ・ルック、PlayThatBoiZay、MAENAD VEYL、LAMB OF GOD、THE BODY、BACKXWASH、Ho99o9、STREET SECTS、EKKSTACY、THE NEIGHBOURHOOD、PERTURBATORといった面々。メタル/ラウド/インダストリアル/ノイズなどのエクストリーム系とヒップホップ系がバランスよく配置されており、前作以上にメタル耳リスナーにもアピールする仕上がりです。
POPPYやトレント・レズナー(NIN)がフィーチャーされた「Dead Flowers」「Isn't Everyone」はそれぞれ、フィーチャリングアーティストの個性/色を全面に打ち出しつつも、HEALTHらしいインダストリアル感を程よいバランスで維持した良曲。特に後者はNINの新曲/リミックスと呼んでも差し支えない仕上がりで、NINの新作が待ち遠しかったファンには「これこれ!」とうれしくなってしまう1曲ではないでしょうか。
また、LAMB OF GOD参加の「Cold Blood」は完全にLAMB OF GODそのもので、途中に挿入されるインダストリアルチックなアレンジと相まって蹄鉄さが際立つ好演を楽しむことができます。これ、LAMB OF GODの新曲でもいいんじゃないか? そして、THE BODYとのコラボ曲「AD 1000」はこの2組ならではといいますか、いかにもな仕上がりに思わずニヤリ。そこからHo99o9とラッパーのBACKXWASHをフィーチャーした「Gnostic Flesh / Mortal Hell」へと続くのですが、こちらもHo99o9の良さとHEALTHの魅力が程よいバランスでミックスされており、重低音を効かせたHo99o9らしさとヒンヤリしたHEALTHらしさのブレンドがなんとも言えない不思議な魅力を生み出しています。
そんな中、STREET SECTSとの楽曲「The Joy Of Sect」はテクノポップ感の強いキャッチーな仕上がりで、アルバム全体の箸休めとしても効力の高い1曲に。とはいえ、癒しのようで実は気狂い具合も抜群という絶妙な仕上がりなので、気を緩めることができないのでご注意を。その後もEKKSTACYとの「Still Breathing」、THE NEIGHBOURHOODとの「No Escape」など比較的心地よい楽曲が続き、最後はHEALTH単独による「These Days 2.0.2.1.」で締めくくり。
打ち込みや(広意義での)ダンスミュージックに対して抵抗がなく、インダストリアルやボディミュージックも通過しているメタル/ラウド層には問答無用の1枚だと思います。と同時に、この手のジャンルに触れてこなかったヘヴィ系リスナーにも入門編としてうってつけの良作ではないでしょうか。本作を無事楽しむことができたら、ぜひ前作『DISCO4::PART I』もオススメです。
▼HEALTH『DISCO4::PART II』
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