CRASHDÏET『AUTOMATON』(2022)
2022年4月29日にリリースされたCRASHDÏETの6thアルバム。日本盤は同年7月6日発売予定。
スウェーデンのグラムメタルバンドによる、前作『RUST』(2019年)から約2年7ヶ月ぶりの新作。2017年に加入した4代目フロントマン、ガブリエル・キーズ(Vo)参加2作目となり、その毒々しいビジュアルと相反し、北欧バンドらしい哀愁味の強い泣きメロを全面に打ち出した、親しみやすい1枚に仕上がっています。
いわゆるアリーナロック/スタジアムロック的手法を軸にしながら、豪快な80's USハードロックと北欧パワーメタル的なテイストを織り交ぜることで正統派ハードロックに近いスタンスで楽曲を構築。グラマラスなのは見た目だけで、その音楽性からはグラムロックのグの字も感じられません。だけど、そこが良い(個人的には)。これこそが2000'sグラムメタル。
そつなく作り込まれた楽曲の数々はどれもキャッチーで、1曲に必ず1ヶ所はシンガロングできそうなパートが用意されている。なもんで1、2度繰り返して聴いているうちに、自然と口ずさめている自分がいる。リズムのファットさ(およびドラムの手数の多さ)とギターの鋭角さはこの手のバンドにしては硬派な部類かもしれませんが、楽曲のポップさとの相性含めちょうどいいさじ加減ではないでしょうか。
ガブリエル・キーズの歌声もこの手のバンドらしさを強く打ち出したもので、そのパワフルなサウンドにも一切負けていない。が、このバンドの場合、過去にフロントを務めたデイヴ・レパード(R.I.P.)やサイモン・クルーズと曲者ばかりだっただけに、そこまで個性が強いというわけでもなガブリエルに関しては、そこだけが若干物足りないかもしれません。
そんな彼をフォローするかのように、「Powerline」にはSTEEL PANTHERのマイケル・スター(Vo)がゲスト参加。いや、音源を聴く限りではそこまででもなかったな(苦笑)。リモート参加で制作されたMVのクセはホント強すぎですけどね。
このアルバムで特に印象に残ったのが、マーティン・スウィート(G)の良質なギターソロ/フレーズ。リフワークはそこまで強烈ではないんだけど、ソロになった途端に独自の味を漂わせる。そう、「味」なんです。言い方を変えれば、痒い所に手が届く感じといいますか。派手すぎず地味すぎず、丁度良い。これって実はなかなか真似できるものではないんですよ。鉄壁のリズムワークとギターの存在感はさすが20年選手といったところでしょうか。
ビジュアル良し、楽曲良し、演奏良し。あとはボーカルがもうひと皮剥けてくれたら完璧かな。
▼CRASHDÏET『AUTOMATON』
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