COMEBACK KID『HEAVY STEPS』(2022)
2022年1月21日にリリースされたCOMEBACK KIDの7thアルバム。
COMEBACK KIDは2001年に結成された、カナダ出身の5人組ハードコアパンクバンド。2003年に1stアルバム『TURN IT AROUND』を発表したのを機に、ツアーを中心とした音楽活動を展開し続けます。2ndアルバム『WAKE THE DEAD』(2005年)以降はVictory Recordsから作品をリリースし続けますが、前作『OUTSIDER』(2017年)ではメタル系名門レーベルNuclear Blast Recordsへ移籍。本作は前作から約5年ぶりとなる、同レーベルからの2作目となります。
Nuclear Blast Records移籍第1弾アルバム『OUTSIDER』から約5年ぶりの新作。プロデュースはデビュー作『TURN IT AROUND』を手掛けたジョン・ポール・ピーターズ(CANCER BATS、PROPAGANDHIなど)が担当したほか、コ・プロデューサーとしてウィル・パットニー(KNOCKED LOOSE、SeeYouSpaceCowboy、EVERY TIME I DIEなど)が名を連ねています。また、「Crossed」にはフランスのGOJIRAからジョー・デュプランティエ、「Everything Relates」にはJJ・ピーターズ(DEEZ NUTS、ex. I KILLED THE PROM QUEEN)がゲスト参加。異色の共演を繰り広げています。
スピードと同じくらいグルーヴを重視した楽曲の数々は、モダンメタルを愛聴するリスナーの耳にも十分にアピールするものがあり、GOJIRAのジョーがゲスト参加しているからというトピックがなくてもしっかり届く内容だと感じました。かっちりしたギターリフを軸に進行していく楽曲と、キャッチーなシンガロングが随所に用意された曲構成、さらにはブレイクダウンを効果的に用いたアンサンブルなどは、決して新しいものとは言えない。なのに、そういった手練れのスタイルに古臭さがまったく感じられないのもまた事実で、ストリートに根付いたサウンドにも普遍的なものがあるんだなと、再認識することができました。
そういった即効性の強い作品ではありますが、唯一難癖をつけるとするならば、楽曲のバリエーションが思ったよりも広くないこと。もっとも、この手のバンドにそういった類のものを求めるのは非常識かもしれません。しかし、32分程度の尺のアルバムにも関わらず、全11曲を聴き通すのに若干の「かったるさ」を覚えてしまうのは問題ありではないかと思うのですが……。単純に自分の好みの問題かもしれませんが、8曲目あたりで退屈さを感じてしまったのもまた事実で、このへんは今後の課題かもしれませんね。
それでも、ラストナンバー「Menacing Weight」のアンセム感の強さは特筆すべきものがあったので、実は曲順の問題なのでは?とも思えてきました。全体的には悪くないと思えた作品だけに、詰めの部分であともう一歩といったところでしょうか。コラボの部分だけが取り沙汰されることの多いアルバムだけに、ちょっと勿体ない気がしました。
▼COMEBACK KID『HEAVY STEPS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)