紅一点のジャミラ・ボーデン・アゾウズ(Vo)を擁するITHACAは英・ロンドン出身の5人組バンド。2012年の結成以降、『NARROW THE WAY』(2014年)、『TRESPASSERS』(2015年)といったEPを発表してきましたが、2019年2月発売の1stアルバム『THE LANGUAGE OF INJURY』でその知名度は少しずつ高まっていき、3年半ぶりのフルアルバムはその人気を確かなものへと導く決定打になりそうです。
2020年代らしいメタルコアを下地に、要所要所にゴシック要素が散りばめられた楽曲群はどれも非常に優れたもの。タイトルトラック「They Fear Us」を筆頭に、ジャミラの豪快さと繊細さを共存させたボーカル、ラウドさはもちろんのこと、テクニカルもしっかり併せ持つリズミカルなバンドアンサンブル、適度にスペーシーなミキシングなど、聴いていて飽きない作り込みが随所に施されています。
不穏さとヘヴィさが生み出す独特のアンサンブルがクライマックスに達するのが、ラスト2曲……「You Should Have Gone Back」と「Hold, Be Held」でしょう。「You Should Have Gone Back」でのエモーショナルなギターソロと血涙が溢れてきそうなアグレッションの対比、その流れを引き継ぎつつニューウェイヴ的浮遊感を高めていく「Hold, Be Held」での圧巻の表現力、そしてジャミラの美しい歌声といったら……2022年最高のアルバムクロージングだと断言させていただきます。