SOPHIA LIVE 2022 "SOPHIA"@日本武道館(2022年10月11日)
SOPHIAのライブを観たのは90年代後半、当時の連れに同行する形で武道館にて。記憶が曖昧だったのでWikiなどで調べてみると、どうやら初武道館(1997年8月)だったようです。で、それが最初で最後の生SOPHIA。メジャーデビュー当初から音源は聴いていたものの、積極的に興味を持って聴くようになったのはアルバム『ALIVE』(1998年)〜『マテリアル』(1999年)あたり。この2枚は本当によく聴きました。
で、そこから20数年を経て、自らSOPHIAのライブに行く日が来るとは。2013年の無期限活動休止から9年を経て、オリジナルメンバーで復活を果たした同年代バンドの勇姿を見届けようと、25年ぶりに思い出の地・日本武道館へと足を運びました。
当時は男性客は1割にも満たなかったんじゃ?と思うほど、自分の存在が浮いていましたが、今回は比較的多め(松岡充さんもMCでおっしゃってましたが、3割くらいはいたのでは)。かつ、当時のファンがそのまま年を重ねてスライドしてきたような客層に、妙にほっこり。まあ、復活後のメディア露出は9月のMステでの『街』パフォーマンスだけでしたしね。
詳細なレポートは各メディアに譲るとして、ここでは個人的に印象に残ったことを記しておきます。
会場はステージ後方の1〜2階席も解放した360度お客さんに囲まれる形に。開演30分前も当日券売り場に並ぶ長蛇の列を見かけたので、ほぼ完売に近い形だったようです。で、内容に関して。序盤〜中盤はMCなしで、『ALIVE』『マテリアル』期の楽曲とドキュメンタリー的映像&文字要素を用いたスクリーン演出の相性も相まって、ヒリヒリするシリアスめな構成が印象的でした。そんな中で、「Early summer rain」「ゴキゲン鳥 〜crawler is crazy〜」といったキャッチーなシングル曲が良い味を出しており、改めて1曲1曲の完成度の高さを確認することができました。
かつ、バンドの形態としても非常に異色な存在でもあるんだなと再認識。当時のV系およびその流れにあるバンドの中でも、ギターの比重がそこまで高くなく、かといってキーボードを大々的に前面に打ち出したプログレ志向というわけでもない。ロックバンド然とした佇まいはあるものの、それ以上に「良い楽曲を届けることが大前提。そのためには各楽器のバランスも随時変えていく」という姿勢が伝わり、そのへんはデビュー時から長く在籍したTOY'S FACTORYらしい(というか、ミスチル以降の)姿勢でもあるのかなと感じました。そこ志向は『ALIVE』『マテリアル』あたりで最初のピークを迎えたのかな。それこそ、ヒットシングル「黒いブーツ 〜oh my friend〜」でのギターの比重の低さなんて、改めて驚かされるものがありますからね。
そんな感じで、かなり個性的なアンサンブルと楽曲のクオリティの高さを生で味わいながら、その独特の世界観に浸っていくのですが……中盤のMC以降は、緩やかさとシリアスさの高低差が加わる。さすが関西人といいますか、同年代のおっちゃんたちがワチャワチャ楽しげに会話する様子は、ほっこりすると同時に不思議と泣けてくるものがある……その平和さに涙腺が緩むというのも、自分も年をとった証拠でしょうかね(苦笑)。
全21曲で約3時間半。基本的にアンコールがないスタイルというのは事前に知っていましたが、この日はトークが弾みすぎて(笑)、時間の都合で21時半に終了。セットリストを振り返るとほぼTOY'S FACTORY時代の楽曲で、EMI〜ユニバーサル期1曲(「エンドロール」)、エイベックス期1曲(「cod-E 〜Eの暗号〜」)と、「ファンが観たいSOPHIA」に徹底した内容でした。MCでも後期〜末期は「歯車が狂っていた」とおっしゃっていたので、こういうセトリになったのも納得といいますか、再始動一発目としては順当な選曲ではないでしょうか。90年代のヒットシングルが網羅され、ライブの要となるアルバム曲も随所に散りばめられた形は、僕のような一見に近いお客さんにも優しいものでしたからね。
あと、これはMCでの発言を受けて感じたことですが……この復活を経て、SOPHIAはバンドとしての“思春期”をようやく終えることができたのかなと。いろんな挫折を経て、それらすべてを現実のものと受け止めることができるようになった今、第二の青春がスタートした。それは、思春期を終えた今だからこそ経験できる、大人だからこそ味わえる青春なのかなと。実はこれって、長くバンドを続ける上では非常に大切なことだと思っていて、その境地に到達できた人たちはこの先相当強くなると思っているんです。だから、きっとここからのSOPHIAは大丈夫……そんなことをライブ中、何度も感じました。
2023年1月8日には地元・大阪城ホールでのライブも決まり、今後は個々の音楽活動、生活とのバランスをとりながらSOPHIAとしての活動を継続していくとのこと。年齢的にも以前のように毎年ツアーを行うというよりは、一つひとつのライブを大切にしながら地道な活動を行なっていくことになりそうです。まずは、新曲でしょうね。従来の「らしさ」を引き継ぎつつ、今のSOPHIAが鳴らす音/メロディがどんなものになるのか。ハードルは相当高い気がしますが、個人的に次にライブへ足を運ぶのはそういった楽曲がある程度出揃ったタイミングかなと思っています。
【セットリスト】
01. 大切なもの
02. Early summer rain
03. ゴキゲン鳥 〜crawler is crazy〜
04. 君と揺れていたい
05. Eternal Flame
06. Like forever
07. ALIVE
08. 蜘蛛と蝙蝠
09. 黒いブーツ 〜oh my friend〜
10. ビューティフル
11. ヒマワリ
12. KURU KURU
13. little cloud
14. cod-E 〜Eの暗号〜
15. -僕はここにいる-
16. 夢
17. 街
18. エンドロール
19. Thank you
20. Kissing blue memories
21. Believe