HEROES AND MONSTERS『HEROES AND MONSTERS』(2023)
2023年1月20日にリリースされたHEROES AND MONSTERSの1stアルバム。日本盤未発売。
このバンドはSLASH featuring MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORSのベーシストであり、本国カナダでは80年代末から活動を続けるバンドTHE AGE OF ELECTRICの一員でもあるトッド・カーンズ(Vo, B)、Y&TやALICE COOPER BANDなどで活躍したステフ・バーンズ(G)、EVANESCENCEの屋台骨を支えるウィル・ハント(Dr)というミュージシャンズ・ミュージシャンたちにより結成されたトリオバンド。Frontiers Recordsと契約し、昨年秋から「Locked And Loaded」や「Raw Power」「Let's Ride It」といった楽曲を配信してきました。
満を持して発表されたデビューアルバムは、バンドのセルフプロデュースにより完成したもの。長期にわたり北米のメジャーシーンで活躍してきた3人ならではの、安定感の強いパワフルな演奏を楽しむことができます。うん、各メンバーのプレイやアレンジに関してはさすがの一言です。
で、気になるのが楽曲ですよね。オープニングを飾る「Locked And Loaded」こそポストグランジ的側面を漂わせるものの、続く「Raw Power」以降はポップなメロディラインとキャッチーなサビを持つ良質なハードロック/パワーポップを聴かせてくれます。「Let's Ride It」なんて、どことなくトッド・カーンズと同郷のHAREM SCAREMあたりを彷彿とさせますよね。
要所要所でダウンチューニングを効かせたポストグランジ的なリフワークやアレンジが登場するので、一瞬ギョッとするかもしれませんが、(それこそこちらもカナダ出身の)NICKELBACKあたりとの共通点も見つけられ、そういった点からも彼らがこのバンドでやりたいことがなんとなく透けて見えてくるのではないでしょうか。こういうスタイルってお国柄によるものが大きいんですかね?
THE AGE OF ELECTRICではボーカルも担当するトッドのボーカルも古き良き時代のハードロックバンド的で、ハイトーンの伸びもよい。豪快なハードロックもパワーポップもお手のものといった印象で、良質な楽曲と相まって最後まで楽しく聴けてしまう。かつ、どの曲も4分程度にまとめられており、全10曲で39分という尺もちょうど良い。ステフ・バーンズのプレイに関しては、ソロはリフほど惹きつけられるものが少なく、そこだけが今後の課題かな。
トッドが在籍するTHE AGE OF ELECTRICをモダンにした印象の本作。SLASH featuring MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORSのファンやY&T、EVANESCENCEのリスナーにアジャストするかどうかは微妙ですが、これはこれで良質な内容なので、深いことを考えずにリラックスしながら楽しみたいと思います。
▼HEROES AND MONSTERS『HEROES AND MONSTERS』
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