カテゴリー「2024年のライブ」の13件の記事

2024年10月 1日 (火)

IRON MAIDEN『THE FUTURE PAST WORLD 2024』@ぴあアリーナMM(2024年9月29日)

Img_9477 9月22日の大阪、24日の名古屋を経て、26日に東京初日公演を行ったIRON MAIDEN。これに続く28日のぴあアリーナMM公演は週末(と、当初のジャパンツアーファイナル)ということもあってソールドアウトを記録。26日の東京ガーデンシアター公演もほぼソールド(のちに追加チケット販売)ということを受けて、29日に同じくピアアリーナMMでの最終公演があとから追加されました。で、僕は東京ガーデンシアター公演を持っていたものの、つい勢いで「これは行かねば!」と追加公演チケットゲット。あとから「こんな高いチケ代払って複数公演に行くべきだったのだろうか?」と悩むことになるわけです(笑)。

結局、26日の公演があまりにも素晴らしかったため、チケットを手放すことなく行くことを決めたのですが、もうひとつ行くことを後押しした理由に、となりのパシフィコ横浜で日中取材が入っていたこともありました。ここで働いてからメイデンに行けばちょうどいい、と。しかし、当日の取材が思うように進まず、結果としてメイデン終了後に再びパシフィコに戻る羽目に。なんなら、パシフィコで行われる別のライブも観てくださいとまで言われてしまう。困った困った……。

でも、心はSTAY METAL。何があってもUP THE IRONS(イミフ)。パシフィコの公演を丁重にお断りし、取材の間抜けをしてぴあアリーナへ。だってさ、取ったチケットがアリーナBブロックの4列目なんだもん。こんな近い距離でメイデン観れるのも最後かもしれないし。

26日は上から眺めるような形でしたが、この日はステージと水平の目線。この違いも大きかったし、スクリーンに映らないメンバーの表情も目視できるという点でもいろんな収穫がありました。眼福すぎ。

Img_9511 セトリや演出含めた内容は、26日公演とほぼ同じ。ただ、この日はジャパンツアー最終公演かつ追加公演で、会場は1万人規模。そこがほぼ満員という状況なのですから、ブルース・ディッキンソン(Vo)やスティーヴ・ハリス(B)をはじめとするメンバーは皆ご満悦。ブルースの「どこまでが本気でどこまでが冗談」か判断難しいMC相変わらずでしたが、それでも喜びはしっかり伝わりましたよ。

セトリの緩急(というか退屈が近づくパート)も一度観て心得ていたので、自分の中での気持ちの上げ下げなどテンションの持って行き方をうまく使い分け、かつ仕事の合間という現実も忘れずに(笑)、この日のコンディション中もっともベストな形でライブを楽しめたと思います。バンド自身の演奏もツアーの疲れをまったく感じさせないものでしたし、むしろ26日公演よりも気合いが入っていたような節すらありましたし。

思えばニコ・マクブレイン(Dr)は2023年1月に脳卒中を患っており、こうやって再び日本でドラムを叩く姿を目撃できるのは奇跡的なこと。ブルースにしてもそう。一瞬一瞬を噛みしめながら、間近で動く6人の姿を目に焼き付けました。もはやライブの内容がどうこうじゃないんですよ。ほかのメンバーに関しても、若々しさと老成ぶりがよいバランスでミックスされていてまったく見飽きないし、老人たち(おっと失礼)を観ているなんて感覚皆無でしたわ。本当、IRON MAIDENはヘヴィメタルというジャンルにおいて能とか歌舞伎の域に達したんじゃないかと思います。

早くも2025年には『IRON MAIDEN』(1980年)から『FEAR OF THE DARK』(1992年)までの9作品を軸にしたセトリのツアーも始まるとのこと。また来年……とは言わないものの、熱が冷めないうちに再び日本を訪れてほしいものです。そのときはまた複数公演行くので!(懲りないな。笑)

追記:
12月7日のライブを持って、ニコがツアーから引退することが発表されました。結果的にこの9月に観た2公演がメイデン第二の黄金期メンバーによる最後のライブになってしまいました。やっぱり複数回、違ったシチュエーションで目に焼き付けておいて正解でした。ニコ、40年以上にわたるメイデンでの活動、本当にお疲れ様でした。

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セットリスト
01. Caught Somewhere In Time
02. Stranger In A Strange Land
03. The Writing On The Wall
04. Days Of Future Past
05. The Time Machine
06. The Prisoner
07. Death Of The Celts
08. Can I Play With Madness
09. Heaven Can Wait
10. Alexander The Great (356-323 B.C.)
11. Fear Of The Dark
12. Iron Maiden
アンコール
13. Hell On Earth
14. The Trooper
15. Wasted Years

2024年9月28日 (土)

IRON MAIDEN『THE FUTURE PAST WORLD 2024』@東京ガーデンシアター(2024年9月26日)

Img_9435 2016年以来約8年半ぶりとなるIRON MAIDENのジャパンツアー、初日公演に足を運びました。筆者は前回の来日に足を運ぶことができず、かつその前は2011年3月、震災とドン被りで中止に。ということは、2008年以来実に16年ぶりの対面だったようです。時間が歪む。

それもあってか、今回は友人に取ってもらったこの東京初日公演に加え、追加公演として発表された9月29日のぴあアリーナMM公演を自分で取り、計2公演を観覧することに決めました。正直、チケットを取った当初は「何公演でも観てやる!」ぐらいの意気込みでしたが、ライブが近づくに連れ自身の忙しさも影響し「どうして複数公演取ったんだろう……1公演でよかったんじゃ?」と慄く始末。ま、とにかく1公演観てからすべてを決めることにします。

約8000人規模の会場は自分と同世代か、さらに上の初先輩方たちにほぼ埋め尽くされた状況。改めて洋楽ロック(というかメタル界隈)の高齢化問題に直面し、いろいろ思うこともありましたが、定刻が近づくにつれてどんどん気持ちが昂っていく。そして、お約束のUFO「Doctor, Doctor」に続いて「Caught Somewhere In Time」の印象的なイントロが聞こえてきた瞬間、身体中の血液が逆流していく感覚が手に取るようにわかるというか、それくらい自分が興奮していることに気づきました。

今回のツアーは最新作『SENJUTSU』(2021年)と6thアルバム『SOMEWHERE IN TIME』(1986年)を軸にしたセットリストで、まさにツアータイトルの“FUTURE”(=『SOMEWHERE IN TIME』)と“PAST”(=『SENJUTSU』)にひっかけたもの(『SENJUTSU』には「Days Of Future Past」という楽曲も含まれていますし)。『SENJUTSU』のみを軸にしたツアーを終えてもなお、こうした過去のアーカイブを活かした形でツアーを続けてくれるのは非常にありがたい。だって、『SENJUTSU』ツアーで日本の来ないの、絶対におかしいもの。

Img_9439 筆者の座席は3階のバルコニー1(実質2階)、下手寄りの若干後方。そこそこ観やすい座席で、前の人次第で座っても楽しめるくらいの程よい感じでした。が、ライブ序盤はずっと立って観ていたかな。だって、1986年当時(地方住みかつ小遣い少なくて)体験できなかった『SOMEWHERE IN TIME』ツアーを追体験できるわけですから。「Caught Somewhere In Time」でテンション上がって、続く地味な「Stranger In A Strange Land」ですら拳上げて歌ってたくらい。

にしても、今回のセトリは全体的に地味。ミディアムテンポ中心で、かつ長尺曲が多数。結果として全15曲(本編12曲、アンコール3曲)で2時間という具合ですからね。もちろん事前にわかっていたし(セトリはツアー中一切変更なし)、そのつもりで臨んだのだけど……これがね、意外と楽しめた。というのも、円熟を通り越してもはや伝統芸能の域に達した演奏や演出、衰えを感じさせないブルース・ディッキンソン(Vo)のボーカルワークというフルコースによって、地味さや退屈さはさほど気にならなかったんです。

とはいえ、新作からの楽曲が3曲くらい続くと多少気持ちが萎えはじめてしまうのですが、そのあとに「The Prisoner」みたいなレア曲があったり、また新曲か……と思っていたら「Can I Play With Madness」や「Heaven Can Wait」が続き、そのまま「Alexander The Great (356-323 B.C.)」「Fear Of The Dark」「Iron Maiden」で本編フィナーレを迎えるのですから、絶妙なバランス感で成り立ってるわけですよ。

ステージ後方の絵柄がLEDではなくいまだにバックドロップを次々と変えていく手法や、要所要所でお着替え(笑)したエディが登場したりと、視覚的にもアナログならではの楽しませ方満載で、こちらも飽きさせない要因として大きかったはず。これを70歳前後でやりきる体力、恐るべしです。

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セットリスト
01. Caught Somewhere In Time
02. Stranger In A Strange Land
03. The Writing On The Wall
04. Days Of Future Past
05. The Time Machine
06. The Prisoner
07. Death Of The Celts
08. Can I Play With Madness
09. Heaven Can Wait
10. Alexander The Great (356-323 B.C.)
11. Fear Of The Dark
12. Iron Maiden
アンコール
13. Hell On Earth
14. The Trooper
15. Wasted Years

2024年9月 2日 (月)

LOVEBITES『THE THIN LINE BETWEEN LIVE AND HATE - JAPAN 2024』@東京ガーデンシアター(2024年9月1日)

Img_9296 2023年にアルバム『JUDGEMENT DAY』で完全復活を果たしたLOVEBITESは、コロナ禍が明けたこともあって2024年を海外活動に費やすことに。その結果、この日のワンマン公演は今年唯一の日本公演となってしまいました。

直前に大型の台風10号が接近したこともあり、交通機関の影響などで来場できなかったファンも少なくなかったとのこと。実際、僕も会場到着までにゲリラ豪雨に見舞われましたし、開演間近になっても空席がちらほら確認できる状況でした(とはいえ、全体的には大入りと呼んでも嘘ではない状況でしたよ)。それもあってでしょうか、開催数日前に急遽国内および海外へのインターネット配信も実現。1週間のアーカイブ配信もあったので、想像している以上に多くの人たちがこのアリーナ公演を目撃できたのではないでしょうか。

ライブ自体は前年の『JUDGEMENT DAY』ツアーをさらに煮詰めたような、現時点におけるグレイテストヒッツ的な内容。会場が大きくなったぶんステージ上のセットなどもさらに巨大化し、アリーナライブならではの装いでLOVEBITESを楽しむことができました。リリースされたばかりの『LOVEBITES EP II』からの楽曲はリード曲「Unchained」のみにとどめつつも、意外なレア曲なども交えた構成でマンネリ感を払拭。とはいえ、新作(5曲)、前作『ELECTRIC PENTAGRAM』(2020年)から6曲と近作が大半を占めるのは、それだけ直近の自分たちの楽曲に自信があるということなのでしょうか。

演奏、パフォーマンス自体も文句なしで、Asami(Vo)のボーカルも絶好調。Fami(B)が加わって以降の陽の空気感はそのままに、海外での経験も加わりバンドとしてよりいい方向に進んでいることが伝わります。ライブ中、唯一撮影可能パートがあったのですが、それがよりによって激攻めの「Soldier Stands Solitarily」という。スマホ掲げるか頭振るか、どちらか一方に集中させてよ(笑)。

本編18曲、アンコール2曲の計20曲。トータルで約2時間半というライブ尺はLOVEBITES史上最長。それくらいこの公演に力を注いでくれたという証明でもあるのかな。ずっと彼女たちを追ってきた身としても、十二分に満足できた一夜でした。

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セットリスト
01. The Crusade
02. When Destinies Align
03. M.D.O.
04. Rising
05. Wicked Witch
06. Unchained
07. Stand And Deliver (Shoot 'em Down)
08. Set The World On Fire
09. The Final Collision
10. Thunder Vengeance
11. Holy War
12. A Frozen Serenade
13. Soldier Stands Solitarily
14. Judgement Day
15. Raise Some Hell
16. Don't Bite The Dust
17. The Spirit Lives On
18. Under The Red Sky
アンコール
19. Shadowmaker
20. We The United

2024年8月21日 (水)

SUMMER SONIC 2024(2024年8月17日、8月18日)

昨年に続いて、今年も全日参加したサマソニ。2024年夏の野外フェスはこれ1本に集約させるつもりで臨みました。正直、ヘッドライナーとしてMÅNESKINBRING ME THE HORIZON(こちらは当初メインステージのトリと名言されていませんでしたが)が出演するとわかった時点で、行かない選択肢はゼロ。基本的に、それ以外の出演者に関しては“社会見学”という感覚が強いので、誰が出ようと関係ないというか。

そんなこんなで、初日から軽く振り返っていきたいと思います。

 

Ss2024a ●8月17日(土)

VIOLETTE WAUTIER(PACIFIC STAGE)

「タイとベルギーのハーフで横浜生まれ」というプロフィールを持つヴィオレット・ウォーティアですが、ビジュアル的にはセクシーというより可愛らしい印象。サウンドに関してもダンスミュージックというよりは、ダンサブルなポップスと解釈するのが正解か。華があるので、観ていて楽しかったです。

 

BAND-MAID(PACIFIC STAGE)

久しぶりにライブを観たけど、出音の重心がより低くなり、女王感に満ち溢れていた。何曲かでフィーチャーされたKANAMIさんとMISAさんのソロバトルも見応えあってライブ感が増していたけど、ただこういうフェスの場面で強く感じたのは似たり寄ったりの楽曲が多いこと(パターンの画一的な点)とエンディングのワンパターン化。いい感じに成長できているだけに、ここからさらにワンランク上へステップアップしていただきたい。

 

離婚伝説(Spotify RADAR: Early Noise Stage)

数曲流し見。過去に一度ライブを観たことがありましたが、印象は大きく変わらず。もちろん極上のポップスが展開されており、歌を引き立てるための演奏という形ではなく、歌同様にすべての楽器が花形というイメージ。本当は最後まで観たかったけど、次が控えていたので早々に退散。

 

LAUFEY(SONIC STAGE)

予習なしで臨みましたが、遠目に上白石萌音っぽさがあって日本人が好きそうなヴィジュアルだなと。昨年に一度BLUE NOTEで来日公演を行なっているとのことからもわかるように、サウンド自体はジャズ寄り。ただ、かなりポップスとしての解釈が強めで、非常にとっつきやすい。ジャズの敷居を若干低くして、一般のポップスリスナーにも親しみやすくしてくれている印象。レイヴェイ自身は曲によってギター弾いたりピアノ弾いたりチェロ弾いたりと多才ぶりを発揮。声も良いし、これりゃ売れるわけだと納得。最後まで気持ちよく堪能しました。

 

NOTHING BUT THIEVES(MOUNTAIN STAGE)

たぶん8年前も観てるはずだけど、印象は変わらず。スケール感が大きくなったのはわかるんだけど、自分の好み的には今ひとつ、いや今ふたつかな。音源で十分といったところか。

 

BLEACHERS(SONIC STAGE)

初日の個人的目玉。新作音源はTHE 1975のDrity Hitから出ていることもあり、ステージ後方スクリーンのスタイリッシュさはモロにTHE 1975。サウンドのちょっとした味付けにもTHE 1975っぽさが感じられるんだけど、軸にあるのはニュージャージー出身バンドらしいオーソドックスなアメリカンロック。比較対象としてブルース・スプリングスティーンの名前が挙げられるみたいだけど、個人的にはサウスサイド・ジョニー的なのかなと解釈。そういうスタイリッシュさと泥臭さという相反する要素が絶妙なバランスでミックスされていて、しかもそれを極上のエンタテインメント色で表現するわけだから、楽しくないわけがない。プロデューサーとしても著名な存在となったフロントマンのジャック・アントノフの佇まいやアクションからは目が離せないし、6人編成のバンドが曲ごとにパートを次々と変えていくところも素敵。ツインドラム編成でベースレスかと思いきや、次の曲ではドラムのひとりがサックス吹き始めたり、また次の曲ではツインドラム&ベースにギター3本という。これはずっと観ていたい!ということで、最初から最後まで楽しんじゃいました。間違いなく初日のベストアクト! 次に来るときは、さらに大きなステージで観たいな。

セットリスト
01. I Am Right On
02. Modern Girl
03. Jesus Is Dead
04. How Dare You Want More
05. Chinatown
06. Rollercoaster
07. I Wanna Get Better
08. Tiny Moves
09. Don't Take The Money
10. Stop Making This Hurt

 

GLAY(MOUNTAIN STAGE)

デビュー30周年の節目に夏フェス初出演。しかも地元・北海道のライジングではなくサマソニを選ぶという。考えてみたら今年は1999年の幕張20万人ライブから25年という節目でもあるし、そこにデビュー30周年も重なり幕張にまた戻るというのがまた粋といいますか。選曲は1曲目こそ最新の「whodunit」で現役感を提示。そこはヒット曲じゃないのか……と思いきや、ギターソロ前にUNDERWORLD「Born Slippy」を挟んでくる遊び心。これ、以前もやってなかったっけ?(あれ、別のバンド?) サマソニらしさを意識したんでしょうね(前夜のソニマニで、同じステージでUNDERWORLDがプレイしてますしね)。

で、以降は「サバイバル」「口唇」を間髪入れずにぶち込んでくる。そりゃ大合唱になるわな。さらに「SOUL LOVE」からの「HOWEVER」コンボで昇天。ここで多くの人はマリンに移動したようですが、これは全部見ないとダメだと確信しそのまま居座ることに。以降は「夏らしい2曲」と「Blue Jean」「BLEEZE」と2000年代以降の楽曲を連発。MCではTERUさんが「名前だけでも覚えて帰ってください」って……新人か! 初々しいったらありゃしない。で、後半戦は最新曲「会心ノ一撃」を披露しつつも「FATSOUNDS」「SHUTTER SPEEDSのテーマ」と通常運転に戻り、「彼女の"Modern…"」(これを聴かないと帰れない)で盛り上がり、「誘惑」でクライマックス。お見事なセトリでした。あと、スクリーンに歌詞字幕が出てるあたりにも、彼らの優しさを感じました。

セットリスト
01.whodunit 〜 Born Slippy(UNDERWORLD cover)
02.サバイバル
03.口唇
04.SOUL LOVE
05.HOWEVER
06.Blue Jean
07.BLEEZE
08.会心ノ一撃
09.FATSOUNDS
10.SHUTTER SPEEDSのテーマ
11.彼女の"Modern..."
12.誘惑

 

MÅNESKIN(MARINE STAGE)

この日唯一のMARINE STAGE。GLAYを最後まで観てしまったために、移動時間などもあって中盤から参加することに(あとでセトリを確認したら、インストパートから「Gasoline」に入るあたりに会場周辺に到着したので、頭5曲を見逃したのみで3分の2くらいは観れたようです)。スタンド席は通路にまで人が溢れかえっていて、久しぶりにここまでパンパンの“サマソニのマリンスタジアム”を目にした気がします。そんなこんなで、なんとか自分の場所を確保して「Beggin'」あたりからじっくり堪能。

にしても……

 

MÅNESKIN、やっと観れたーっ!(笑)

過去2回の来日は「2022年8月→コロナ感染」「2023年12月→メニエル再発」と、それぞれ観る予定があったものの泣く泣く断念。ということで、2年越しに観ることができたわけです。バンドとしての佇まいなど含め、久しぶりにど真ん中のアリーナ/スタジアムロックバンドらしいヘッドライナーでした。客席を見渡しても、明らかに10代〜20代前半の若年層から自分みたいな高齢者(笑)まで、国籍や男女問わず幅広い層を集まり、マリンスタジアムを満員にしてしまうわけですから。しかも、サウンド的にはオーソドックスなロックサウンド。もっと言ってしまえば、古き良き時代のクラシックロックなわけですよね(もちろん現代的な解釈を施しているわけですが)。映像面などの演出に頼ることなく、メンバーのカリスマ性の高さや破天荒なステージング、曲間に用意された長尺ソロパート(特に、アンコールは5分前後におよぶギターソロから始めるという振り切れっぷり)、そして何より良質な楽曲の数々で90分のステージをやり切るその姿は、圧巻の一言でした。ここ10数年、日本の洋楽ロックフェスでトリを張れる若手バンドがなかなか出てこない中、たった数年でここまで到達できた事実は本当にすごいことだと思います。いやいや、久しぶりに胸がスカッとした夏フェスヘッドライナー公演でした。

セットリスト
01. Don't Wanna Sleep
02. Gossip
03. Zetti E Buoni
04. Honey (Are U Coming?)
05. Supermodel
〜Instrumental Solo〜
06. Gasoline
07. Coraline
08. Beggin'(THE FOUR SEASONS cover)
09. For Your Love
10. I Wanna Be Your Slave
〜Bass & Drum Solo〜
11. Mammamia
12. In Nome Del Padre
13. Bla Bla Bla
14. Kool Kids
アンコール
〜Guitar Solo〜
15. The Loneliest
16. I Wanna Be Your Slave

 

Ss2024b ●8月18日(日)

水曜日のカンパネラ(SONIC STAGE)

詩羽体制になってからライブを観るのは初めてかな。非常にステージ映えしたパフォーマンス含め好印象。前体制時代の「桃太郎」まで飛び出すわけですが、あのデカい透明バルーンに入って客の頭上を転がる演出まで踏襲されていたのには笑ったな。ただ、この日はこうしたクラシックよりも“今”の楽曲のほうが強い光を放っていて、そちらに惹きつけられた。「最新作がベスト」というのはアーティストとしてもっとも幸せなことじゃないですか。この編成でもうひとつ大きな山を迎える日も、そう遠くない印象でした。

 

BODYSLAM(PACIFIC STAGE)

タイのハードロックバンド。シングルギター&キーボードという編成なので、サウンド的にはポップな印象。本当はもっとエッジの効いた音なのかもしれないけど、ドラムやギターの出音含めちょっと引っ込みがちだったので、そこまでガツンと来なかった。事前告知されていたBABYMETALが登場し、「Leave It All Behind」が始まった途端にフロアの様子が一変。後ろからどんどん人が押し寄せ、この日一番の盛り上がりに。彼女たちが引っ込んだあとは、再び平常運転でした。

 

乃紫(Spotify RADAR: Early Noise Stage)

可愛らしいビジュアルと相反し、演奏や楽曲は意外と骨太(いくつかはそのイメージに沿ったポップな楽曲もありましたが)。ステージ慣れしていることもあってか、ライブ自体が気持ちよく進行していくので、気がつけば長々と観ていました。

 

BOYNEXTDOOR(PACIFIC STAGE)

初見。音源のイメージで接したのですが、ライブはバンド編成でより躍動感が強いもの。パフォーマンスのキレ含め、なるほどこりゃカッコいいわと納得。観たのは頭数曲だけでしたが、“Japanese Version”で歌われると……ハングル特有のリズミカルさや刺々しさが気に入っているだけに、そこを奪われてしまうと個人的に感じていた魅力が減退してしまっている気がしました。

 

サバシスター(Spotify RADAR: Early Noise Stage)

裏がCreepy NutsやJO1やBOYNEXTDOORということで、始まる前はかなり客入りが厳しそう。なので進んで前方へ移動しjました。7月上旬のワンマン以来でしたが、この短期間でもバンドとしてのグルーヴ感がさらに増していることが伝わり、メジャーデビュー以降右肩上がりの成長がまだまだ続いていることがしっかり感じ取れました。1曲目とラスト2曲が2年前の初サマソニ出演時と一緒というポイントもエモかった。今年後半もまたさらに進化してくれることに大期待。

 

INI(PACIFIC STAGE)

初見。彼らもバンド編成でのパフォーマンスで、結果的にかなりハードロック的なアレンジに。特に国内のこの手のアーティストの場合、ライブだとこういうアレンジになってしまいがちで、それが良くも悪くもというところも。とはいえ、ここも頭数曲を観たのみなので、その後どういうアレンジだったのかはわかりませんが、個人的にはもっとしなやかさを強調したバンドアンサンブルでもよかったんじゃないかという気がしました。あ、メンバーのパフォーマンスに関しては文句なし。ひたすらカッコよかったです。

 

YVES TUMOR(SONIC STAGE)

去年のフジロックにも出演していたんですね。完全にノーマークで予習なしで臨みましたが、80年代後半から90年代序盤にかけての「エレクトロの要素を取り入れたオルタナ」ロックや、ジミヘンプリンスを彷彿とさせるカラー、時にはグラムロック的なテイストも見せるなど、完全に自分好みの音。曲中は「ぎゃーっ!」と叫んだりアグレッシヴに動いたりとかなり破天荒なのですが、曲間は意外と紳士的な印象。その落差もたまりません。なんだかんだで終盤まで観て、マリンステージへ移動。

 

GRETA VAN FLEET(MARINE STAGE)

この日は初日よりも気温抑えめで、16時くらいでもギリギリ野外ステージを楽しめる環境。日陰を選んで彼らのライブを観たのですが……もちろんパフォーマンス自体は極上なんですが、やはり高気温から生じる不快さが災いしてちゃんと楽しめなかった。曲中、長尺ギターソロなどもあったんだけど、これも環境のせいで心から満喫できたかと言われると……本当に勿体ない。彼らにはまったく罪はないんだけどね。やっぱり単独公演で、室内でじっくり楽しむべきかな。

セットリスト
01. The Falling Sky
02. Safari Song
03. Meeting The Master
04. Heat Above
05. Black Smoke Rising
06. The Archer
07. Highway Tune 〜 Runway Blues

 

CHRISTINA AGUILERA(MARINE STAGE)

ライブを観るのは初めて。1stアルバムリリースから今年で25周年という節目もあって、選曲的には文句なしの内容。しかも、ショーとしての見せ方も古き良き時代からのエンタメを踏襲しつつモダンにアップデート、かつ日本向け要素も随所に散りばめられており(アギレラのヘアアレンジも日本を意識したものでしたよね)、仮に1曲も知らなかったとしても最後まで楽しめたはず。個人的には「Lady Marmalade」でひとつのピークを迎えたあとに訪れる、エモーショナルな3曲の流れに食らいました。BMTHを除けば、2日目のベストアクトだったと断言しておきます。

セットリスト
01. Dirty
02. Can't Hold Us Down
03. Bionic
04. Vanity
05. Genie In A Bottle
06. What A Girl Wants
07. Your Body
08. Feel This Moment(PITBULL cover)
09. Ain't No Other Man
10. Say Something(IAN AXEL cover)
11. Express
12. Lady Marmalade(THE ELEVENTH HOUR cover)
13. Beautiful
14. Fighter
15. Let The Be Love

 

BRING ME THE HORIZON(MARINE STAGE)

昨年11月の『NEX_FEST』との大きな違いは、ジョーダン・フィッシュ(Key)正式脱退後であることと昨年発売されている予定だったニューアルバム『POST HUMAN: NeX GEn』がようやく世に出たこと。おそらく昨年のライブは新作の世界観を踏襲したコンセプチュアルなものになるはずだったところ、中途半端な形になってしまい本来伝えるべきものがちゃんとした形で伝わらなかったんじゃないでしょうか。あと、最近のインタビューでジョーダン中心の体制(オリヴァー・サイクスとジョーダンの2人ですべてのソングライティングとレコーディングを完結してしまうこと) に対してほかのメンバーが不満を持っていたことが明らかになり、ジョーダン離脱以降から着手した楽曲では現在のメンバー4人でまとめていく当初の形に戻り、より“バンドらしく”機能し始めた。そういうタイミングの来日だけに、期待値は昨年以上に高まるわけです。

今回でいえば、例えば家庭用ゲーム機の立ち上げムービー(PlayStationのパロディ)からゲームソフトの待機画面(絵面およびBGM含め、往年の『FINAL FANTASY』シリーズを彷彿とさせるものあり)へと続くオープニングムービー、そこからログインして前回のライブ同様にオペレーターとともにライブを交えた一連の“活動”を一緒に体験していくという形は、アルバムやそれにまつわるさまざまなプロモーションの甲斐もあってよりわかりやすくなっていたのではないでしょうか。そこから「DArkSide」で一気に『POST HUMAN: NeX GEn』の世界へと落とし込まれ、途中で「Happy Song」や「MANTRA」、冒頭にピアノアレンジを加えた「Sleepwalking」など往年の代表曲も交えて『POST HUMAN: NeX GEn』の世界をより深掘りしていく。しかも、それをスタジアムという広大な規模において、爆音で表現していくのだから圧巻以外の言葉が出てこない。

ただ、観客の入りは決してベストと言えるものではありませんでした。開演前はアリーナ(スタジアムのグランド部分)すら埋まっていませんでしたし、スタンド席においてはひとり2〜3席使えるほどの空きっぷりで、正直前日のMÅNESKINとは比較にならないほど。でも、あのゴリゴリのサウンドをマリンスタジアムで爆音にて鳴らし続け、フロアではモッシュやウォール・オブ・デスが発生する“いつも通り”の光景は、かつてサマソニで観たSLIPKNOTLINKIN PARK、あるいはNINE INCH NAILSあたりのステージと重なるものがありました。思えばLINKIN PARK以降この手のニューヒーローは登場しておらず、我々はフェスのトリを張れる次世代ヒーローの登場を待っていたはずなんです。でも、それがうまく機能せずにここまで来てしまった。そんな中、今年で20年選手となるBMTHがようやくそのポジションを掴もうとしている。本当なら満員のスタジアムでその成功を祝福したかったところですが、そこに至るまではもうちょっと時間がかかりそうです(特に今回に関しては、裏にBE:FIRSTがいたことも大きく影響しているんじゃないかな。加えて、隣のBEACH STAGEでは同系統のHOOBASTANKのステージがあったし。とにかく今年は各ステージのコンセプトの希薄さ、ライナップの下手くそな並べ方が目立ちました)。あと、みんなもっと彼らの曲を歌えるようになろうな。あれは前日と比べちゃって正直寂しかったよ。

ネガティブなことばかり書いちゃいましたが、ライブ自体は本当に素晴らしかった。本来のコンセプトをより濃厚に深掘りできるような構成なんだけど、ちゃんとフェスということも意識したセットリストは非常によいバランスで組まれていましたし、前日の大阪公演でライブ初披露となった『POST HUMAN: NeX GEn』収録曲「liMOusIne」も、大阪では出演時間の都合で実現しなかったオーロラとの共演をここで目にすることができたし、お昼にBODYSLAMとコラボしていたことから「これは匂わせでは?」と察したとおりBABYMETALも登場し、昨年の『NEX_FEST』に続いて「Kingslayer」での再共演も果たせたし。前者のダーク&ヘヴィさ、後者の多幸感とそれぞれ今のBMTHならではの見せ方が際立ちました。アンコールは「Doomed」「Drown」「Throne」と『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)からの3連発で完全昇天モード。そういえば、ライブ中何度か飛び出した紙テープ?は、往年のアイドルみたいでちょっと笑えました。

終演後のアナウンスを拒否したこと、客席からの撮影をNGにしたことなど規制も多いライブだったようですが、そういう要素を潰すことで観ている一人ひとりが自身と対峙し、この演出を通じてライブへの没入感を高めていく。その中でオリーやバンドと真正面から向き合っていき、自分は孤独じゃないことに気づかされる。今のBMTHはそういうスタンスで我々と“次の時代(=NeX GEn)”を作ろうとしているんだろうな。そう強く実感させてくれた、唯一無二のスタジアムロック公演でした。

セットリスト
01. DArkSide
02. Happy Song
03. Sleepwalking
04. MANTRA
05. Teardrops
06. Kool-Aid
07. Shadow Moses
08. liMOusIne(feat. AURORA)
09. AmEN!
10. Itch For The Cure (When Will We Be Free?)
  〜 Kingslayer(feat. BABYMETAL)
11. Anti-vist(feat. fan)
12. Follow You
13. LosT
14. Can You Feel My Heart
アンコール
15. Doomed
16. Drown
17. Throne

Ss2024c ●雑感

両日とも、それぞれいろんなジャンルのアーティストをいいとこ取りしながら楽しむことができました。初日は急務が発生し、会場到着が14時からだったにもかかわらず、それでも10組程度楽しむことができましたし、2日目は午前中入りでまったりしながら10組楽しんだ。例年通りのペースだったかなと思います。

もちろん、改善すべきポイントも少なくありませんでした。例えば、今年から幕張メッセの9〜10ホールを新たに借りて、そちらに物販スペースを移動させたほか、新たに休憩スペースを作っていました(僕は用がなかったので行きませんでしたが)。これで、飲食スペースがちょっとは余裕できるのかなと思いきや、新たにお笑いステージを復活させたことで午後遅い時間帯に大混雑する事象が発生。お笑いステージを観ている人が近くに座り込んでしまい、なかなか前に進めないなんてことがあったり、飲食物購入列もえげつないことになっていたりで、結局僕は2日間ここを使うことはありませんでした(食事はSpotify RADAR: Early Noise Stage周辺の餃子やマリンスタジアム周辺で済ませた)。あと、飲食スペースを使って休息する人もいる中で、場内に漫才やコントの叫び声が響き渡るのはどうしたものか。併設していたキッズコーナーでの催しと違って、神経を逆撫られますよねあれは。

あとは、BMTHのところでも書いたように、今年のステージ/アーティストの組み合わせの悪手ぶり。トリがうまく決まらない中でいろいろオファーした結果、パズルのように組み合わせていったんだろうけど、正直今年の並びは過去イチの悪さだと思いました。同ジャンルのアーティストが同じ時間帯に並んでいたり、それこそBMTHにようにサマソニの未来を占うであろう新たなヘッドライナーの裏に集客の固いK-POPやボーイズグループを置いたり。興行主としては正解なのかもしれないけど、特に今回はBMTH目当てのファンにとってあまり気持ちいものではなかったと思います。

ビールもまた値上がってましたね(苦笑)。特に今年はサントリーがスポンサーに入ったためか、オフィシャルバーや会場内で販売するビールがすべてサントリーのもので、会場外では「サントリー以外のビール持ち込み禁止」なんて看板もあったほど。そこまで徹底するならせめて安くしてよと思わずにはいられませんでした(なもんで、会場での飲酒は1日1杯のみ)。

最後くらいは明るい話題で締めくくりたいのですが……今年この形で成功したことが、来年以降にどう響くのか。フジロックがSZAキャンセルで新たな道を切り開けなかったぶん、サマソニは成功と言いたいところですが……サマソニ然りフジロック然り、来年のヘッドライナー選びは今年以上に苦労するんじゃないでしょうか。世界的にもフェスでのヘッドライナー選びが難しくなっている中、円安がまだまだ続くとなると若くて勢いのあるビッグネームは値踏みする可能性が高いし(フジでのSZAや、サマソニが今年オファーしていたトラヴィス・スコットのように)。かといって、旧来の大御所たち中心という過去の形に戻るならば、若者中心の集客観点ではますますK-POPやボーイズグループ頼りになる(フジロックはKやボーイズに頼らないだろうから、また別の悩みが生じるかもしれませんが)。後年「2024年が洋楽ロックフェスの分岐点だった」と言われるようになるのか否か、ここが正念場なのかもしれませんね。

2024年8月 7日 (水)

TURNSTILE Asia 2024 Tour@Zepp DiverCity(2024年7月30日)

Img_9065 今年のフジロック最終日WHITE STAGEの大トリとして、同フェスに初出演したTURNSTILE。過去に2度来日しているものの、どちらも数百人クラスの小箱だったこともあり、この大抜擢は一部音楽ファンからしたら驚きだったかもしれません。が、2021年にリリースされた3rdアルバム『GLOW ON』の傑作ぶりを考えれば、この選出は非常に納得のいくもの。むしろ、コロナ禍によって3年というタイムラグが生じてしまったことが悔やまれるばかり。

そんなですから、当然フジロック3日目は行こうと思っていたんですが、その後に単独公演が決定したこと、そして今のフジロックに何の価値も見出せない体になってしまったことも影響し、「単独があるなら無理して行かなくてもいいか」という結論に。とはいえ、ギリギリまで行こうか行くまいか少々悩んだりもしたのですが、配信も決定したことで潔く諦めることができました。よかったよかった。

で、配信で観たフジロックでのステージ。始まる前から当然のように「絶対に伝説になる!」と確信していましたが、予想通りの展開。ようやく見つかった……安心しました。これによって、単独公演のチケットも開催直前にソールドアウト。うれしいじゃないですか。ねえ。

ただ、懸念事項も勃発。Zeppといえば最近はクラウドサーフやモッシュなどの危険行為を厳しく取り締まっているという話もあり、そんな規制が厳しい会場で目下勢いに乗ったハードコアバンドがどんなステージをやらかしてくれるのか(というより、彼らを前にしたオーディエンスがどんなアクションを起こすのか)。そればかりが気になっていたんです。

当日はBLOW YOUR BRAINS OUT、そしてNUMBがサポートアクトとして出演。てっきり開演時間の19時からBLOW YOUR BRAINS OUTのステージが始まると思っていたら、移動中に開場時間の18:40からステージが始まることを知る。会場到着予定は18:50。完全にやらかした!

もうこうなったら余裕かまして19時に入場しようと、軽く食事を摂ってからZeppへ。しかし、入場口には大勢の人で溢れかえっていて。聞けば入場が今さっき始まったばかりとのこと。1時間押しで開場したおかげで、1組目のサポートアクトに間に合いました。自分は19:20くらいに入場できたのかな。フロアはかなり余裕があったのですが……よく見ると、会場前方のフロアに設置されているはずの柵がすべて外されている。ああ、なるほど。バンド側と会場がギリギリまで話し合った結果、柵を外すことに→開場も1時間遅れる、ってことか(このへんはサポートアクト2組がMCで説明していました)。

自分が入場して10分ほどでBLOW YOUR BRAINS OUTのステージ開始。20分ほどパフォーマンスをしてくれましたが、徐々に埋まっていくフロアをいい感じに温めてくれました(もっと入ってるはず……と思っていたお客の多くは、グッズ購入のため長蛇の列を作っていたようです)。その後も転換時間を短縮して続くNUMBへとバトンタッチ。さすが重鎮NUMB、TURNSTILEとの絆もあってか気迫のステージでオーディエンスをノックアウトしてくれました。こちらも終始動きまくりで楽しませてもらいました。

Img_9073 その後、当初予定していた転換時間を短縮して、20:30過ぎにはTURNSTILEのステージ開始。ここ最近のセトリを見ていると大枠は固定されているようなので、オープニングはフジロック同様「T.L.C. (TURNSTILE LOVE CONNECTION)」始まりかなと思っていたら……予想を大きく裏切り、アルバム『GLOW ON』同様に「MYSTERY」からスタート! やられた! そりゃアガらないわけがない! そのままアルバムと同じく「BLACKOUT」へとつなげ、この2曲のみで完全にノックアクトされましたわ。

ソールドアウトショーということもあってか、また先の柵の件もあってか、バンド側の気合いがビンビン伝わってくる。それは特別なセットリストにも表れているんじゃないでしょうか。初期のEP『STEP 2 RHYTHM』(2013年)からの「7」「Keep It Moving」や『PRESSURE TO SUCCEED』(2011年)からの「The Things You Do」がセレクトされたあたりからも十分に感じ取れました。ライブ中盤、特に「7」以降のオールドスクール・ハードコアのノリの気持ちよさといったら、たまらないものがありました。で、そこに『TIME & SPACE』(2018年)から『GLOW ON』にかけて進化を遂げた「ハードコアのその先」が描かれた現在進行形の音が加わることで、一筋縄ではいかない変幻自在ぶりを示してくれる。この過程が(『GLOW ON』リリース時、『ヘドバン』のコラムにも書きましたが)個人的にはBEASTIE BOYSと重なるんですよね。もちろん、今の彼らはヒップホップをやっているわけではないので、完全にそのまま重ねることはできませんが、バンドとしての生き方に関してはリンクしているのではないでしょうか。個人的にそこをより強く実感できたのも、今回のステージで得られた収穫だったと思います。

面白いものでTURNSTILEを例える際、その人がどんな音楽を聴いてきたか、どんな音楽人生をたどってきたかによってその例えに挙げるバンド、アーティストがまったく異なるんですよね。そこも、今回の来日を通じて興味深くて。「ふむふむ、なるほどね。そういう解釈もあるよね」とか「それは自分の中にはなかった!」とか「それだけは絶対に違う!」とか、いろいろ思うことがありました。で、そこでその人と自分の距離を測ることもできた。2024年に音楽を媒介して自分と他者との関係、距離を確かめる上で、TURNSTILEは非常に重要なバンドなのかもしれませんね。

Img_9075 さて、ライブの話題に戻りましょう。フジロックは1時間程度のステージでしたが、この日はアンコールなしの約90分。トータルで20曲前後披露していたのかな。フジ同様にダニエル(Dr)のドラムソロも用意されていましたが、ここでのドラミングが本当に気持ちよくて。スピード感やミドルテンポでの1音の重さだけでなく、軽やかさやリズミカルさもしっかり備わっていて、そこも単なるハードコアバンドとは一線を画するポイントではないでしょうか。で、そんなハードヒットなソロプレイからキャッチーなアップチューン「Blue by You」へとつなげる構成も完璧。しかも、その前の曲が「FLY AGAIN」ですからね。本当にいい流れだと思いました。

フジロックでは触り程度だった「ALIEN LOVE CALL」もこの日はしっかりフルで演奏し、そこから「HOLIDAY」でクライマックスに突入。しかし、観客をステージに上げることはせず、フロアが阿鼻叫喚の盛り上がり。ここで終わるのかと思いきや、ブレンダン(Vo)が「残り1曲、何をするかわかってるよな? お前らの助けが必要なんだよ!」と呼びかけると……通常はオープニングに演奏する「T.L.C. (TURNSTILE LOVE CONNECTION)」がラストナンバーとして用意され、イントロが始まると同時にオーディエンスが次々にステージへと上がっていく。やってくれた! こうじゃなくちゃ。2分にも満たないファストナンバーだから一瞬で終わってしまったけど、それでもZeppのステージを埋め尽くす大勢の観客。圧巻の光景でした。

エレクトロ調のBGMを流し、余韻を残して終了したTURNSTILEのソールドアウトワンマン公演は、先のフジロック同様新たな伝説を作り上げたと思います。彼らは今後、間違いなく今以上にビッグになることでしょう。もちろん、次に来日する際には会場の規模も大きくなっているだろうし、国内フェスに出演する際もメインステージでパフォーマンスするはず。そんな未来が訪れたとき、この日会場にいた人たちは胸を張って「伝説を観た」と自慢してほしい。そんな、2024年を語る上で絶対に欠かせないベストライブだったと断言しておきます。

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セットリスト
01. MYSTERY
02. BLACKOUT
03. Come Back For More (Intro) 〜 Fazed Out
04. UNDERWTER BOI
05. DON'T PLAY
06. 7
07. Keep It Moving
08. Drop
09. Real Thing
10. Big Smile
11. The Things You Do
12. NEW HEART DESIGN
13. I Don't Wanna Be Blind
14. WILD WRLD
15. FLY AGAIN
16. Drum Solo 〜 Blue by You
17. ENDLESS
18. ALIEN LOVE CALL
19. HOLIDAY
20. T.L.C. (TURNSTILE LOVE CONNECTION)

 

2024年7月19日 (金)

HEAD PHONES PRESIDENT レコ発ワンマンライブ@WildSide Tokyo(2024年7月12日)

Img_9010 HEAD PHONES PRESIDENTのライブを生で観るのも随分と久しぶりのことで、2020年代に入ってからはもちろん初めて(コロナ禍に入ってしまったしね)。下手したら2010年代半ばが最後かも?ってくらい久しく現場に足を運んでいなかったんだけど、音源はリリースされたら毎回しっかり聴き込んでいて。ただ、ここ2作は個人的にあまりピンと来ていなかった(じっくり聴き込めていなかった)のもあって、この6月にリリースされた新作『In The Abyss』もリード曲が平均的だったのでそこまで期待していなかったんです。

ところが、ふいに店頭で見かけた本作を何の気なしに手に取り、気づけばレジへと持っていき。店頭でCDを購入するの、今年に入ってから初めてかもってくらい久しぶりのことで、ちょっとドキドキしました。

で、帰宅してから深夜に再生してみると……ああ、そうだ。HPPってこんなバンドだったよな。そんな懐かしい気持ちにうれしくなったり、久しぶりに心の内側からたぎってくるあの感覚にうれしくなる自分に気づいたり。気づけば数日後に控えたレコ発ワンマンのチケットを確保していました。

WildSide Tokyoに足を運ぶのもコロナ禍以降初めてのことで、改めてそのキャパ感に懐かしく思ったり。帝国を少し過ぎた頃に会場が暗転し、不穏なSEからダークな「Seeds Remain」へとつなげてライブは幕開け。妖艶さ漂うANZA(Vo)の歌声とパフォーマンス、NARUMI(B)&BATCH(Dr)のリズム隊が織りなす浮遊感の強いアンサンブル。そこから「Can You Feel It」で一気にギアが入ると、HIRO(G)のヘヴィでザクザクしたギターワークと骨太なリズム隊、そして鬼気迫る表現を交えたANZAのボーカルがその空気を一変させる。全体的に一本芯が通っているんだけど、その上で曲ごとにいろんな表情を見せるボーカル&バンドアンサンブルはさすがに一言。そうだそうだ、こういうバンドだった!

音源で最初に聴いたときはあまりピンとこなかった「The Moon Chase Me」みたいな曲も、ライブで聴くことでより響くし、そこから「Chain」「Nowhere」といった初期の代表曲をつなげてもまったく違和感なく楽しめる。というか、「Chain」や「Nowhere」といった曲を2024年もライブで楽しめる幸せさよ。さらにこの日は「Labyrinth」や「Light to Die」といった(僕がHPPに触れるきっかけとなったアルバム)『folie a deux』(2007年)からの楽曲が多めに披露され、個人的にも驚き&大満足。

「Light to Die」のあとには長尺のバンドセッションも用意。ANZAは一旦引っ込んで、続く「Stand In The World」ではジャケットを脱いで再登場。ここからは2010年代後半の楽曲を中心に展開されるのですが、上に触れたようにあまりピンと来ていなかった『Realize』(2017年)、『Respawn』(2019年)からの楽曲がライブでは映えまくるという現実を目の当たりにします。なんだ、カッコいいじゃないか、と。最新作で初期の雰囲気がいきなり復調したのではなくて、ここまで自然な流れで変化/進化を遂げながらまたここに辿り着いたんだという事実を、このライブを通してしっかり理解することができました。また、新作を軸にして考えると、今また2000年代の楽曲を引っ張り出すことも、2010年代以降の楽曲と新曲を混ぜ合わせることも、すべてが必然であり地続きなんだと納得させられました。

ライブ終盤、ANZAはコロナ禍中にこのバンドを“諦め”ようとしたことを正直に吐露していました(このへんは新作リリース時にSNSでも明かされていました)。しかし、そういう困難を経てこの力作に到達できたことで、再び前進することを選んだ。もう後戻りはできないし、あと何年これを続けられるのかもわからない。だからこそ、今この一瞬一瞬を尊く思いながら、全力で炎を燃やしていく。その第一歩となるのがこの日のワンマンライブだったのかなと思いました。そう考えると、終盤に立て続けに披露された「Live With」と「For You」、そして「A New World」と「Until I Die」には非常に強い意志を感じずにはいられませんでした。

ライブはアンコールなしの全18曲、約90分。ラストは新作からの「Burn It All Down」で締めくくりでした。この日はニューアルバムからは5曲にとどめられていましたが、ここから全国を回り続ける中で新曲が小出しにされていくのでしょう。再び東京に戻ってきたときに、さらに逞しく成長したHPPを再びライブハウスで見届けたい。その日を楽しみにしながら、再会を待ちたいと思います。とにかく行って大正解の公演でした。

 

セットリスト
01. Seeds Remain
02. Can You Feel It
03. Change the Game
04. The Moon Chase Me
05. Chain
06. Nowhere
07. Labyrinth
08. Light to Die
09. Stand In The World
10. The One To Break
11. Devil Inside Me
12. Walking Life
13. Alive
14. Live With
15. For You
16. A New World
17. Until I Die
18. Burn It All Down

 

2024年7月16日 (火)

DEAFHEAVEN JAPAN TOUR 2024@渋谷CLUB QUATTRO(2024年7月9日)

Img_9002 フェスや対バンで何度か観てきたDEAFHEAVENが、このタイミングに急遽単独来日っていきなりすぎやしないか? 直近のリリースは2021年の5thアルバム『INFINITE GRANITE』だし、去年『SUNBATHER』(2013年)の10周年エディションを発表したとはいえ、どうもこれらの作品を携えたツアーというわけでもなさそうだし。まあ、コロナの影響もあって2020年の10周年タイミングをライブで祝えなかったから、(かつ、異形の進化を遂げた『INFINITE GRANITE』を生で体験できていないから)ファンとしては非常にありがたかったわけですが。

190番台と比較的若い整理番号だったものの、仕事との兼ね合いで整理入場が終わったあとに会場入り。ソールドアウトということで、開演直前にはパンパンに入ってました。自分は下手側の前方柱脇あたりを陣取ったものの、「あ、これだけスピーカーやアンプの側なのに耳栓忘れた」と少し後悔。

で、いざライブが始まると……あれ、思っていた以上に音圧が控えめ? 出音がそこまでデカくなく、かつ音の粒がしっかり聴き取れる絶妙なバランス感。シューゲイザー/ブラックメタルをバックボーンに持つ彼らですが、最新作ではシューゲイザーからドリームポップ/オルタナティヴロック寄りにシフトしていたこともあり、これらの楽曲をより良い形で聴かせるためのセレクトだったのかな。でも、初期〜中期のプログレッシヴなブラックゲイズサウンドもこれくらいのボリューム/バランスで聴かせられるとまた新たな気づきもあったし、何より不快にならないギリギリの線の心地よさがあったのも事実。もっと暴力的なものを求めていた方々には不評だったようですが、僕はあの気持ちよさを好意的に受け取りたいと思います。

とはいえ、ステージ上のメンバーはそれ以前となんら変わらず。特にフロントのジョージ・クラーク(Vo)は派手なアクションの連発で、カッコよさとコミカルさを行ったり来たり。微笑ましいったらありゃしない。このアクションをしながら、随所にグロウル&スクリームを交えながら「In Blur」とか「Great Mass Of Color」みたいな最新モードのサウンドを表現するもんだから、自然と笑いが込み上げてくる。

Img_8992 とにかく1曲が長尺なバンドですから(オープニングの「Brought To The Water」で9分前後、「Sunbather」なんて10分超えですし)、10数曲がっつり演奏するというわけでもなく、ライブ本編は6曲で終了。しかし、この時点でゆうに1時間は超えていたので、長尺曲でもまったく飽きさせることなくオーディエンスを惹きつけることに成功しているわけですね。そりゃあのアクションを観ながら時に耽美で繊細な音、時に豪快な轟音を次々に突きつけられてたら、時間が経つのもあっという間ですよ。

本編ラストは(音源では)12分超えの「Canary Yellow」でドラマチックに締めくくり、アンコールはシングル限定の「Black Brick」(音源では約8分)、そして名曲「Dream House」(約10分)で壮大なクライマックスへ。時間にして80分強という適度な長さのワンマン公演、これならオープニングにゲストアクトがいたほうがよかったんじゃないかと思ったものの、外の猛暑と同じくらい蒸し風呂状態のフロアを目の前にしたらこれでちょうどよかったのかも。

1stアルバム『ROAD TO JUDAH』(2011年)を除く各アルバムから1〜2曲程度ピックアップした、キャリアを総括するようなセトリは、まさに遅れてきた「10周年アニバーサリーライブ」そのもの。もちろん、ほかにもあの曲が聴きたかった、これも観たかったというのは山ほどありますが、これはこれで完成されたセットリストだと思います。

彼らは年内に新作の準備に取り掛かるようですが、『INFINITE GRANITE』で得た経験や今回のツアー(日本以外も基本的に変わっていないよう)が新曲にどのように影響を及ぼすのか。今から楽しみでなりません。

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セットリスト
01. Brought To The Water
02. Sunbather
03. Gift For The Earth
04. In Blur
05. Great Mass Of Color
06. Canary Yellow
アンコール
07. Black Brick
08. Dream House

 

2024年7月 7日 (日)

VOW WOW Beat of Metal Motion 発売40周年記念公演 〜新美俊宏 一周忌追悼〜@CLUB CITTA'(2024年6月30日)

Img_8939 VOW WOWのライブを初めて、そして最後に観たのは、結果として現役活動中最後のライブとなった1990年5月末の日本武道館公演。80年代半ばからイギリスを中心に活動していた彼らが、その拠点をアメリカに移して米レーベルとの契約に着手したものの、結果が思うように結びつかず、この武道館ライブを最後にバンドは同年末に解散。その後はBOW WOW(現在BOWWOW G2)が新たな編成で復活するなどありましたが、個人的には人見元基(Vo)のボーカルに惹かれていたこともあり、こちらには食指が動かず。

その後、2009年12月と2010年12月に一時的復活ライブが実施されたものの、仕事の都合で断念(そもそもチケットが取れていないのでどうにもならない)。ところが、そこから14年。解散から数えても34年(笑)という歳月を経て、再びVOW WOWとしてステージを行うことが発表された。これは「V」名義でのデビューアルバム『BEAT OF METAL MOTION』(1984年)発売40周年記念と同時に、2023年5月にこの世を去った新美俊宏(Dr)の一周忌追悼で実現したもので、山本恭二(G)、厚見玲衣(Key)、人見元基のオリジナルメンバーに永井敏己(B/VIENNA、DEAD CHAPLIN、GERARDなど)、岡本郭男(Dr/スペクトラム、AB'S、SHŌGUNなど)をゲストプレイヤーに迎えて実施。これは行かねば後悔する……そう思って抽選に申し込むも、最初は落選。二度目の抽選でギリギリ滑り込み、2公演(6月29日、30日)あるうちの30日公演を確保することができました。

ソールドアウト公演とはいえ当日は雨模様ということもあり、開場時間から30分遅れで到着。整理番号も後半も後半だったので、待ち時間10分ほどで会場入り。年齢層は非常に高く、自分らが年少組に入るんじゃないか?と思えるほど。モッシュやクラウドサーフで慣れ親しんだクラブチッタだけど、無茶する大人も少ないだろうし、フロアの真ん中上手壁あたりに陣取ることに。

ステージ上手側には高台に乗った「V」仕様の新美ドラムセットが陣取るも、これは単なる演出として設置されたもの。定刻を過ぎた頃にSEに導かれるようにメンバーが次々と入場。前日は『BEAT OF METAL MOTION』のオープニングを飾る「Break Down」から始まることを知っていたので構えていると……印象的な“あの”3声ハーモニーが響き渡るわけです。ああ、やられた。今日は「Beat Of Metal Motion」始まりか、と。確かに、ライブの幕開けとしてはこちらのほうがアガるもんね。演奏はもちろんのこと、人見のボーカルの衰えなさに驚く。いや、引く。現役を引退して、千葉県内で英語教師をしていたことはもちろん知っていたし(いとこが教わってましたから)、その合間を縫ってレコーディングやライブにスポット参加していたわけですが、60代後半の彼がここまで現役感満点の“メタルボーカル”を聴かせてくれるとは……素直に感動してしまいました。

『BEAT OF METAL MOTION』40周年とはいえ、セットリストは同作中心というわけではなく、非常に幅広くピックアップされており、個人的には大満足。ライブよりも音源で馴染んできた名曲たちを、これまた現役感の強い山本&厚見と鉄壁のサポート陣による演奏で楽しめるわけですから、悪いわけがない。曲間には懐かしの“人見節”炸裂なMCも飛び出し、ほっこり。何もかも最高だ。そう思っていたんですよ……。

ところが、ライブ中盤。山本の口から「人見から『ベストな状態を保ちたいから2部制にしたかったんだけど、会場側から断られた。なので、人見を一時休ませるために自分と厚見で数曲やる」との趣旨の発言があり、ギターとピアノのみによるブレイクタイムへ突入します。これ自体はまったく問題ないんだけど……実はそのちょっと前から立ちくらみというか、若干“ブラックアウト”気味状態になってしまいまして。スタンディングライブでこんな体調崩すなんて一度もなかったんだけど……結局、山本&厚見セッションが始まってすぐにフロアを退出。ロビーに座り込んで冷たい水を補給しながら回復を待ちました。山本&厚見セッション自体は決して激しいものではなかったので、体調を整える上でのBGM(大変失礼)として重宝させていただきました。

15分くらい休んでなんとか復調したので、再びフロアへ。再度体調悪化した場合を見越して今度は後方扉付近を陣取り、人見の再登場を待ちます。後半戦はいきなり「Don't Tell Me Lies」「Don't Leave Me Now」の連発で完全に心奪われ、貴重な「Mountain Top」や激エモな「Pains Of Love」、クライマックスに相応しい「Hurricane」や「Shot In The Dark」と代表曲揃いで完全にノックアウト(体調的にではなく精神的にね)。人見のボーカルも曲を追うごとに掠れたり声量が落ちたりということも皆無で、すべての曲においてCDレベル、いやそれ以上に進化した唯一無二の歌声を響かせまくります。気持ちいいったらありゃしない。

Img_8943 アンコールではこれまた劇的なメタルバラード「Shock Waves」という名曲をお見舞いされ、気づいたら涙が。もう、すげえよ……これ、60代後半のおじいちゃんたちなんだよ? 信じられないわ。80年代後半の若々しさ(主にビジュアル面)も捨てがたいけど、自分よりもひとまわり以上も上の世代がここまでやってる現実を目の当たりにしたら、そりゃあこっちを取りますって。

本来はここで終了の予定が、最終日らしいサプライズを用意。なんと「B」のメンバーである斉藤光浩(G, Vo)をステージに呼び込みます。え、それってアリなの? 「B」と「V」は演奏する楽曲含め交わり合うことはないと思ってたのに、奇跡のコラボが2024年に実現するなんて……これも新美が“向こう”から用意したプレゼントなのかもね。ってことで、最後は「B」時代にもよく演奏していた(「V」初期にもプレイされた)「Summertime Blues」を全員でセッションして終了。本編だけでも十分にお釣りがくるほどの内容だったのに、さらにボーナスまでいただいてしまって……途中で自分が体調を崩すハプニングこそあったものの、それを除けば最高以外の何ものでもない奇跡の3時間でした。

来年1月にTOKYO DOME CITY HALLで再び「V」でのライブを開催することもアナウンスされていますが……個人的には「いい思い出」としてここで止めておいてもいいかな、と思ったり。でも、今回やらなかった曲も次はやるだろうから……結局行っちゃうんだろうな(チケットが取れたらだけど)。

 

セットリスト
01. Beat Of Metal Motion
02. Eclipse 〜 Siren Song
03. Break Down
04. I Feel The Power
05. Too Late To Turn Back
06. Rock Me Now
07. Helter Skelter
08. I've Thrown It All Away
09. I'm Gonna Sing The Blues [山本恭司&厚見玲衣]
10. Cry No More [山本恭司&厚見玲衣]
11. I'll Wait A Lifetime [山本恭司&厚見玲衣]
12. Somewhere In The Night [山本恭司&厚見玲衣]
13. Don't Tell Me Lies
14. Don't Leave Me Now
15. Mountain Top
16. Pains Of Love
17. You're The One For Me
18. Nightless City
19. Premoniton 〜 Hurricane
20. Shot In The Dark
アンコール
21. Shock Waves
22. Summertime Blues [Guest: 斉藤光浩]

 

2024年5月26日 (日)

COMPLEX『日本一心』@東京ドーム(2024年5月15日)

Img_8800 2011年7月に同会場で行われた同会場でのライブと同タイトル、前回は東日本大震災チャリティという名目でしたが、今回は今年1月の令和6年能登半島地震の復興支援を目的に13年ぶりに復活。前回のライブは仕事でもプライベートでも行くことができず、あとから発売された映像作品でその模様を確認。ということで、COMPLEXのライブを会場を観るのは1990年11月に東京ドームで実施されたラストライブ以来、34年ぶり(笑)。

その間も吉川晃司布袋寅泰ともにソロ公演は観ていますし、それぞれのライブでCOMPLEXの楽曲を披露してきたものの、やっぱりこの2人が揃ってステージに立つとまったく異なる緊張感が生まれ、“バンドマンとしての吉川晃司”と“フロントマンの横に立ってギタリストに徹する布袋寅泰”というここでしか見られない2人の姿を目撃できる。実は、この要素を楽しみたくて今回足を運んだところもありました。

だって新曲皆無なわけだから、今回のライブだって「1990年の再々放送」になることは想像に難しくないわけで。それでも1万数千円を払ってスタンド席から豆粒大の2人を目撃しようと思えたのは、上記のような理由が大きく。実際、セットリストは最初のアンコールまで1990年、2011年とまったく一緒でした。が、大人になって渋みを増した2人のステージングと、ギタリストとして布袋を凌駕するまでの実力を身に付け、1990年の公演よりもプレイヤーとしての側面がどんどん強まっている吉川の存在感、これらを体感できただけでも今回のチケット代は安いもんだと思っています。

序盤こそ本当に再放送的要素が強かったものの、「BLUE」から始まる中盤のメロウ&ミディアムパートで空気が一変。特にこの曲で見せる吉川の表現の深みが過去の比にならないほどで、グッと引き込まれました。ただ、そういったタイプの曲を数曲続けたおかげで、若干中弛みした感も。正直、「CRY FOR LOVE」あたりで眠気が襲ってきたのも事実。もともとのセトリがこうだったというのもあるし、年齢的にも体力温存パートとして大事なブロックではあるものの、個人的には「BLUE」をピークに少しだけテンションが落ちてしまったかもしれません。

が、奥野真哉(Key)の独壇場とも言えるインスト「ROMANTICA」のアップデートバージョンに続いて「PROPAGANDA」から始まる終盤戦で、バンド側の熱量も、そして観る側のテンションも急上昇。布袋との初コラボとなる湊雅史(Dr)のパワフルなドラミングが楽曲の持つヘヴィさ、プログロック感をさらに強め、「GOOD SAVAGE」では布袋&吉川の豪華なギターバトルが楽しめた。そこから「恋をとめないで」でこの日一番の大合唱が沸き起こり、多幸感に満ちた「MAJESTIC BABY」で本編締めくくり。アンコールは名曲「1990」やライブ感の強い「RAMBLING MAN」と、ここまでは前回、前々回のドーム公演とまったく同じ流れ。でも、ダブルアンコールに過去2回では未披露の「CLOCKWORK RUNNERS」が追加され、それまでの予定調和を一気に崩してくれたんです。1stアルバム『COMPLEX』(1989年)収録曲で唯一ドームで演奏されなかったこの曲が、ついに日の目を見たわけですね。そうか、今年で『COMPLEX』リリース35周年だもんね。大きな節目に同作収録曲をすべて披露したのも、なるほどと頷けるものがありました。

アンコールのMCで布袋の口から「吉川さん、そろそろ新曲作りませんか?」という問いかけがありましたが、これは間に受けずにリップサービスとして受け取っておきます。だって、2024年のCOMPLEXサウンドなんてまったく想像できないですし。COMPLEXって、布袋が『GUITARYTHM』(1988年)というソロ作品で体現した「1980年代半ばから脈々と続くチープなデジロック」サウンドに、同時代のニューウェイヴやニューロマンティックにかぶれていた吉川のセンスが合体することで生まれた奇跡だったわけで、それを今の2人が(テクノロジーが発達した)現代のサウンドで表現しようとしても、うまく作用しないんじゃないかと思うんです。昨今の『GUITARYTHM』シリーズの流れでCOMPLEXをやるのも違うし、だからといって過去2作のアルバムの延長線上にあるサウンドメイクで新曲を作ったとしても、中途半端に古臭いものになってしまいそうで怖いし。だったら、布袋が吉川に楽曲提供して、ギタリストとしてもレコーディングに参加するくらいがちょうどいいんじゃないかと。変に色気を出して過去を上書きするよりも、思い出は思い出のままが一番。そういう意味では、再結成ライブは今回が最後でもいいくらい(そこには、今後彼らが立ちあがろうとしなくてもいいような、安心できる日常が続いてほしいという意味も込められているのですが)。

なお、帰り際BOØWY(布袋)とルースターズ(井上富雄)とニューエストモデル(奥野真哉)とDEAD END(湊雅史)のメンバーが同じバンドにいるなんて、80年代だったら絶対に想像できなかったよな」と思ったのは、ここだけの話。改めて、長生きはするものですね。

<セットリスト>
01. BE MY BABY
02. PRETTY DOLL
03. CRASH COMPLEXION
04. NO MORE LIES
05. 路地裏のVENUS
06. LOVE CHARADE
07. 2人のAnother Twilight
08. MODERN VISION
09. そんな君はほしくない
10. BLUE
11. Can't Stop The Silence
12. CRY FOR LOVE
13. DRAGON CRIME
14. HALF MOON
15. ROMANTICA (2024 Version)
16. PROPAGANDA
17. IMAGINE HEROES
18. GOOD SAVAGE
19. 恋をとめないで
20. MAJESTIC BABY
 アンコール
21. 1990
22. RAMBLING MAN
 ダブルアンコール
23. CLOCKWORK RUNNERS
24. AFTER THE RAIN (朱いChina)

2024年2月15日 (木)

QUEEN + ADAM LAMBERT: THE RHAPSODY TOUR@東京ドーム(2024年2月13日)

Img_8315 QUEENの来日にギリギリ間に合わなかった世代にとって、QUEEN + ADAM LAMBERTが何度も来日してくれるのは非常にうれしい限り。QUEEN + ADAM LAMBERT名義のライブは2014年のサマソニとその次の武道館(2016年9月)は観ているものの、前回のたまアリ(2020年1月)はチケットを取り忘れたので、2016年以来約7年半ぶりみたいです。正直、2016年の時点で「これが最後」のつもりだったので、2020年のときは観れなくてそこまでがっかりはしなかったけど、ここ1〜2年アーティストの訃報が続き、やっぱり「観れるときに観ておこう」と気持ちを切り替えて1日だけ参加(もう1日は悩んだけど、その分をほかの来日に回しました)。

いろんなところで公言してきたけど、自分にとって常に真ん中にあるのがQUEEN。無人島にアルバム3枚だけもっていけるなら『GREATEST HITS』(1981年)と『GREATEST HITS II』(1991年)を絶対に選ぶほど(そこはベスト盤なのかよ、というツッコミはなしで)。思い入れが強すぎるからこそ、始まる前からいろんな感情が込み上げてきたし、ずっとソワソワして、バルコニー席のすぐそばの売店でビールたらふく飲んでたくらい(笑)。

今回こそ最後のつもりでじっくり見届けようと、今回はバルコニー席を確保。ありがたいことに1列目だったこともあって、座ったまま目に焼き付けました(途中、写真や動画を撮ったりもしましたが)。

Img_8334 いやあ……2時間ひたすら歌い続けた。「Machines (or 'Back to Humans')」をイントロダクションに用いて「Radio Ga Ga」へと流れるオープニングの構成にドキドキし、そこからひたすら繰り出される名曲の数々。昨年末の紅白を観て若干心配になっていたロジャー・テイラー(Vo, Dr)も、歌とドラムともども安定していましたし、「I'm In Love With My Car」で見せたパワフルさはこちらがうれしくなるほど。

ブライアン・メイ(Vo, G)のギタープレイも本当に気持ち良いトーンで、とても東京ドームで聴いているとは思えないほどの仕上がりぶり。この会場であれだけクリアにブライアンのギターを楽しめるなんて、予想もしてなかっただけに本当にうれしかったな。

そして、肝心のアダム・ランバート。すべてにおいてパーフェクト! フレディ・マーキュリー(Vo)の魅力と自身の個性を見事に融合させていて、過去2回の比にならないほどの仕上がりぶり。「Bicycle Race」でハーレーダビッドソン(?)に乗って登場したときは、さすがに「メタルゴッドかよ!」と突っ込みたくなりましたが(笑)、お茶目さもありカッコよさもある。こういう人がフロントに立ってQUEENの名曲を引き継いでくれて本当によかった……そう強く思えた一夜でした。

Img_8340 そんな中、今回フレディが降臨する瞬間があったんですよ。もはやお馴染みの演出なわけですが……「Love Of My Life」をブライアンが歌い、ギターを弾く中、終盤のコーラスをスクリーンに登場したフレディが歌うわけですが……これがもう……わかってはいたものの、気づいたら涙が流れてました。あんなに泣いたの、久しぶりだよ。

セットリストに関しては、もちろんあの曲も聴きたいとかいろいろ言いたいこともなくはないけど、「I Want It All」や「The Show Must Go On」のようにフレディの生歌で聴くことができなかった楽曲を、今もこうしてライブで表現し続けてくれているその事実にただただ感謝。これ以上言ったらバチが当たるよ。

おそらく、これが自分にとって最後のQUEENだと思います。「まだまだ続けられるよ」なんて言ってしまえるのは観る側のエゴだと思うので、ひとまずこれで見納めくらいの気持ちでいよう。で、またチャンスがあったらラッキーと思えばいい。とにかくブライアンもロジャーも、みんな健康で長生きしてほしい。あと、アダムはいい加減ソロでもまた来てくれよな!

Img_8324 Img_8325 Img_8338

セットリスト
01. Machines (or 'Back to Humans') / Radio Ga Ga
02. Hammer to Fall
03. Fat Bottomed Girls
04. Another One Bites The Dust
05. I'm In Love With My Car
06. Bicycle Race
07. I Was Born To Love You
08. I Want It All
09. Love Of My Life
10. Teo Torriatte (Let Us Cling Together)
11. Roger Drum Solo
12. Under Pressure
13. Tie Your Mother Down
14. Crazy Little Thing Called Love
15. Who Wants To Live Forever
16. Brian Guitar Solo
17. Is This The World We Created...?
18. A Kind Of Magic
19. Don't Stop Me Now
20. Somebody To Love
21. The Show Must Go On
22. Bohemian Rhapsody
Encore
23. We Will Rock You
24. Radio Ga Ga
25. We Are The Champions

 

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